初ダメージ、めちゃくちゃ痛いです。
「ほっ、ふっ、よいしょおっ!」
まるで運動をしているかのような息遣い、そして漏れ出る声はJKそのもの。いったい誰が何をしているんだ!?
「んー、ピークって難しいな...腰から上だけ動かした方がいんだろうけど...バランスがとりずらい...あとしゃがみながらもできないとなぁ...」
なんということでしょう、そこにいたのは運動ではなくピーク練習をしているJKの姿が!
...文字に起こすとよくわからんな、なんかのスポーツ用語と間違われてもおかしくない。
ピーク、それはFPSにおいて重要な動作。どういう動作かって言うと、壁から顔やら体を出すこと。まぁピークにも色々あるが、今は置いておこう。
「んー、まぁその時その時で対応すればいいかな...ってそうだチュートリアル!」
実は俺、チュートリアルを初めて20分経つが、まだ10分の1もクリアしてない。なんかジャンプしろーだとかしゃがんでみろーとか、一番最初は基本動作をやってみろって言われたんだけど、なんか楽しくなっちゃってね、基本動作だけで15分ぐらい食っちゃった。んでいまピークの練習してたってわけ。
「んん、次の指示ばっちり出てますねぇ、エーとどれどれ...?」
文章がすべて英語で書かれているもんだから、その隣に出てくる「こんな感じにしろ!」と言わんばかりのGUIから大体何をしろ~ってのを察してる。まさかここで日本人固有スキル、「察する」を使うとは思わなかったぜ。
「この感じだと...来たみたいやなぁ、射撃」
どうやら立撃ちをしろみたいなのを感じ取ったので、とりあえず目の前に出てきたNK416とマガジンを取る。ちなみにチュートリアル開始前に持ってたNKは消滅していったぜ。
「さーてさて、マガジンを入れろと?はい。んでチャーハンを引けと?んで構えろと...」
すべての動作が終わったら...お、PIN刺された。それじゃそのターゲットを狙って...一発。
キーン
「んん、ヒット時の金属音いいねぇ♡」
撃った弾丸は見事命中。そしたら次の指示だ...が...?
「えーと...あ、「1/10」って書いてあるから10発当てなきゃいけないのね...OK」
そういうと、1秒間隔で引き金を引いていった。
「...7、8、9、10!おけぃ!」
そしたら今度こそ次の指示...んん、どうやらフルオートで撃てとのこと。ご丁寧にレバーの説明もついてる。
「んじゃあレバーをフルオートに合わせまして~~~」
そうして残り20発の弾丸を打ち切ると、今度はリロードの説明。
「ふ~...んと、マガジン変えて、ボルトリリースして...OK、次は~...」
...とまぁこんな感じでチュートリアルを進めていったわけだ。
「ふへ~疲れた、かれこれ1時間ぐらいはやったんじゃない?まぁ最初のほうでグダついてたからもっと時間かかってるとは思うけど」
まぁ~ね、あれからというもの色々やりましたよ...テントの説明、重量制限、アイテムサイズ、インベントリ、アイテム回収、スキル、装備類、弾込め、その他もろもろ...はぁ、これだけやってやっと最後のチュートリアルだよ...
「んん、早く終わらせて寝ないといけないってのに...最後なんだろ、まだやってないこと...なんかあるか?」
ただ今のリアル時刻9時12分。11時には寝ないと怒られる、アカン。
「これ終わったら1試合ぐらいしようと思ってるしなぁ...早くオワラセないと...ってなんか書いてある、りあるだめーじ?」
ただただreal damageとだけ書いてあるGUI...ん?なんだぁ?あれ...
「んん~...なんか俺が作ったキャラとまったく同じキャラが銃持って銃口こっちに向けてるんだけど気のせいなぁ?...いやいや、JKに撃たれるとか前代未聞だぜ?」
おいおいおいちょっとまてや、確かにリアルダメージが売りなこのゲームだけど、まさかチュートリアルで来るとは思ってねーよ!ってかダメージを受けさせるチュートリアルなんてこのゲーム以外見たことねえぞ!ってなんか体動かなくなってるし!?
「おいっ動け!体動いてくれ!撃たれたくないんだよボケナス!?」
どんなに力を入れても動かない体、体制としては普通にHKもってて立ち撃ちするような姿勢...これはもうだめだな、はっはっはっ。
観念して体の力を抜いた瞬間、1発の弾丸が脚に当たった。
「っっっだぁあああああああああ!!!?!??!??」
あああああ何だってんだクソったれ!痛すぎるってんだよぉ!
「バッカなんじゃねえの!?痛すぎるだろ!??!?」
太ももに激痛が...熱い鉄棒をねじ込まれるとか聞いたことあるけど、確かにそんな感じだなぁ!?
そうして俺はすぐに手を被弾したところにやった、そして同時にしゃがんだ。当然だ、あんな状態で立ってられるわけがない...
そしてなんか、視界端が若干かすんでる?
「んだあぁああぁあ...しっかしまぁ、なんとか落ち着いてきたか...」
まだ太ももはかなり痛むが、あの地獄みたいな激痛からは解放された...よかった...
ここまで10秒ほどの出来事だ。そう考えてくると、あの激痛は約5秒ほどしか続かないってことか...?そのあとは段々痛みが引いていったし...現実だったら1分は悶えてもおかしくないぞ...
「ま、まぁでもそこは悪魔でもゲームってことか...?そら現実とまったく同じだったらヤバイしな...それこそほんとに死んじまう。あと痛み自体も軽減されてそうやな、一般人からしたらほぼ意味ないけど...」
こうして俺の初ダメージは終了した。ちなみにこの後、バンテージの使い方ついでに出血も止めた。
「はぁ、はぁぁぁぁぁ...終わったか...?」
あれからというもの、30分ほどRDを体験させてもらった。全部痛かった。
「にしてもダメージの種類多すぎだろ、10種類...いやもっとか。」
ちなみに、それぞれのダメージに対応する回復が存在するが、このチュートリアルで回復すべて使い方を教えてもらったよ。全部覚えられる気がしなかったけどなんか重要そうだったから気合で覚えたわ。あとアーマーがやばいね。受け止めてくれれば痛みゼロとか...マジですげぇ。あでも衝撃はあるけど...
「まぁなんにしてもだ...これでチュートリアルは終わったわけで、この後どうなるんだ?」
そう、これにてチュートリアルend。終了!ってわけだが...普通にTPで戻されるのか?
「一応指令出てたGUI見てみるか...ん、えくいすちょん(acquisition)?意味わからんけどこれしか押せないし押す!」
そーして押した俺なんだが...
「うわぁ...」
ふむ...想像はしてたが...えぐいな
さて諸君に問題だ、俺は一体、何を見たと思う?そうだね大量のアイテムだね
「ってなに一人芝居してんだー?」
...にしてもひどい、目の前に現れたクソでかGUIには、GET!の文字とともにドバァとアイテムが表示されている。GUIの大きさ?20M×40Mぐらいか?長方形ってのは分かる、あと目の前に表示されたアイテムが回復用注射器ってのもな、とりあえずOK押すか...
「さておしたが...ん、10秒あとにテレポートか」
押したと同時にGUIが消え、代わりにカウントがでてきた。TPの文字もあるから、そういうこったろう。
「3,2,1...ん、キャンプか」
目を開けるとリス地点にいた...けど...ちょ...
「あの...え?あぁえ?」
「I met you again!」
「や、えぇあ...どうも...っていうか...」
人多すぎだろろっろろおおお!??!?
なんだよこれ!?何人!?50...いや100はいんぞ!?あぁ?んでみんな俺を見てるし...反応からして俺のキャラを見たかったってこったろうけど...にしても多い...
「すっげー!マジでいたんだ!」
「いやー一目見れてよかった、にしてもかわいいなおい...まぁ帰ろうぜ」
...え?日本語?ん?
「ちょっとまて!お前ら日本人だろ!」
「んえっ」
「え?」
最前列でこっちを見てたやつらが一斉に振り返ってきた。
「だーから、そこの男二人、お前ら日本人だろ!?」
「え...あ...そうですけど...」
明らかに動揺してるが、なんでだ?
「ちょっと聞きたいんだが、俺ってどこまで知られてんの?っていうかこの群衆はなに?なんか知らない?」
自分のシンプルな疑問をぶつけたんだが、男らは黙ったまま...そして10秒ほどして一人が口を開く。
「いや...君、男?」
「...え?あぁ中身はそうだけ...あ」
...なるほど、通りで困惑されてるわけだ。
俺今JKだったわ
「い、いやいやお兄さん方、逆に聞きますが、男だったら何だってんですかい?ねぇ?」
「いや別にどうもしないが...いかんせんしゃべり方がキャラとあってなさ過ぎてな...」
「うん、それは俺も同感...なんだかなぁ、期待外れだわ」
「え、えぇ...」
あの後群衆は帰っていった、どうやら俺たちが喧嘩してるとでも思ったのだろう。
「っていうかそうだ、あんたらどうやって俺のこと知ったんだ...?」
そういや聞いてなかった、この人らどうやって俺のこと知ったんだ...
「ん~?どうやって知ったかって?...うーん」
男は腕を組んで一瞬考えたと思ったら、すぐに返事が来た。
「教えねー」
「...は?」
意味が分からなかったが...掲示板民か?こいつ、なめやがって。
「いやいや、教えないって...じゃああんたは?」
もう一人の男に話しかけるが...
「んじゃ俺も教えねー」
「えぇ...」
どういうことだよ、マジで...
「それじゃあ、何したら教えてくれるんですか?」
別にどこで知ったかにこだわる必要もないんだが、あれだけの人が見にこようとしてんなら気になるってものよ。
「ん~?そだなぁ...ん~...あ」
男はニヤっとしながら言ってきた。
「ご主人様好きです~って言え、そしたら教えてやんよ。あ、もちろん本気でな」
「...」
なるほど...まぁどうせそういうキャラを演じるつもりだったしちょうどいいや...あと声を変えないでできる分 こっち(FRD)のほうが楽だな。俺にそれをお願いしたことを後悔するがよい
「お?まぁやらなくてもいいけどな~?そしたら教えないだけだ」
「はぁ...全く、しょうがない人ですねぇ」
「...え?」
俺の豹変ぶりに驚いたのか、「ご主人」は一歩後ろに下がった
「ご主人様好きです~」
手を広げてご主人のほうに寄って行く。そして射程にとらえたところで...
ジャンプ
相手は動かないので、そのままご主人にダイブして後ろに倒れこませれば...
「うおっ!?」
「えへへ~、つーかまーえた」
こいつの上に乗りながら、満面の笑みで言ってやった。目は笑ってないけどねぇ♪
「え...あ..あえぇあぁ...」
この時点で俺は完全にメンヘラかヤンデレか...ともかく「怖い人」という印象を付ければ何でもいい
「よし、あんたはもういいかな~...そしたら~♪」
「ちょっ...何してんだ...」
「ん~?もう一人のご主人にも乗ってあげようと思ってね~?」
立ち上がりつつそういうと、もう一人も腰が抜けちゃったみたいだねぇ、そのまま座りこんじゃった。
「や、その..あぁ...」
「冗談だよ~、私の可愛さに驚いた?んん?」
「いや...えと、それもそうなんですけどね?あの...目が...」
「んんん~?」
「...っログアウト!」
「おいちょっとまて!おい!...行っちゃった」
「あ、あぁ...」
「っ!そうだあんた!いったからには情報はいてもらおうかっ!」
「ぇあ...はい...怖い...」
「...ふんふん、つまりあんたは掲示板民で、俺の...私のゲーム板は見たことないけど、別のところでそういうやつがいると聞いた..ねぇ?」
「...はい、それで待ってたら海外のプレイヤーに声をかけられて、今の話をしたらどんどん人が集まってきちゃって...しかも中にはあなたのこと知ってる人もいたみたいでさらに広がって...ごめんなさい...」
「はぁ...あの最初にあった人達か...まぁいいや、とりあえず立てる?」
「え...あ、はい...」
どうやらこの男もネット民の様子、案の定掲示板から流れたのか...んでさらにこいつがFRDに流したと...これは大変なことに...
「あ、あの...JKさん?」
「ん、はいはいどうしたの」
「いや...噂で聞いてた時から思ってたんですけど、なんで女性キャラなんて作ったんですか?」
「...え?だってキャラはカワイイほうが絶対いいじゃん?実際それで注目を浴びてるわけだし...」
「いや、JKさん...それはもちろんなんですけど...女性キャラだと男性キャラより一部能力が3倍落ちますよ...?それでもキャラの見た目にこだわったんですか...?」
「...は?」