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洗浄のピラニア

作者: けにゃタン

ピラニアのディックは海水浴をしていた。

そこにジャポンのアユが侵攻してくる。

第二次淡水魚戦争である。


ピラニアはアユに迫害を受け、アマゾン川へと強制移住させられてしまった。


最初の頃、アマゾンまでアユは登っては来なかった。

ピラルクーと共に迫害から耐え忍び、淡水浴しかできないながらも、穏やかに過ごしていた。


しかし、やがてディック以外のピラニアもラウリコチャ湖へと収容されてしまう。

ピラルクーだけはウカヤリ川へと逃げおおせるものの、ディックはなんとか生き延びようとレッドピラニア軍の一斉蜂起に参加するも、コアユ部隊により壊滅してしまう。

逃亡の末アマゾン川下流へと戻ったディックは、そこでオオアユ部隊の将校と鉢合わせしてしまう。

その将校は呟いた。


「刺し身にはなれんのか……」


アユとの差別化をはかろうと画策するディックは閃いた。

塩焼きこそ鮎の本領。

ならば刺し身になれば争わなくて済む、と。


そしてアユの将校にこう告げたのだ。


「塩焼きだけにはならないので、どうか見逃してください!」


それを聞いてオオアユ大尉は告げた。


「淡白なこの身なれど、塩焼きだけが我らの本領と思われるのは心外だな。しかしその心意気に免じ、お前を見逃してやろう」


こうして、ピラニアのディックは見逃され、ナッテリー軍の到着により安寧を得た。


それから程なくして、妙に手足の長い、毛のないジャポンの猿がアマゾン川にやってきた。

そして、ディックを見つけるやいなや、つぶやく。


「いけんだろ……たぶん」


そしてディックは網で捉えられ、身ぐるみを剥がされ、酒と塩で洗われた。

それはもう、ごしごし、ごしごしと。

そして薄切りにされた無残な彼の死体に、猿は焦げ茶色のソースをけか、緑色の物体を少量付けて食べ始めた。


「お? 意外といけんじゃねーか」


そうして彼の魚生は終わりを告げた。


その後、その猿は寄生虫によって苦しむことになるのだが、それはまた別の話。

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