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おもてなしスープレックス  作者: わび わさび
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商店街プロレス 希望の若手

 ある日、平野は猛田と共に格闘の試合のセコンドについていた。

 この試合は猛田人脈でブッキングしたカード。


 相手は全盛を過ぎているが過去ワンデートーナメントで優勝し脚光も浴びた事がある選手。


 下馬評では相手の圧勝だったが、猛田はひょっとしたら勝てるのではないかと思っていた。


 若井は名前がコールされる際に”商店街プロレス所属”とプロレスラーとしてコールされると嬉しそうに拳を上げて応えた。

プロレスラーとして戦いたい、そんな思いが象徴される場面だ。


 試合が始まる。

 猛田の予想通り互角の展開となった。


 プロレスとはルールも違うため地味な展開。

 グランドでの腹の探り合い、関節の狙い合い地味な展開であってもそこには高度な駆け引きが展開されている。


 平野は若井との練習で、試合の高度なやり取りがわかるようになっていた。

 また時に的確なアドバイスもできるようになっていた。


 「もう少し我慢我慢」

  昔の平野ならプロレスベースのアイディアしか浮かばなかったが今は地味な展開の中のアドバイスも送れるようになっていた。

 やるのと見るのとは違うとはこの事か。


 そこに猛田の経験に基づいた的確なアドバイス。

 良いバランスの中で若井は試合ができている。


 この日の試合は若井の大金星、一気に業界からも注目を浴びる事になった。


 そんな若井はごくごく稀にプロレスの試合にも出る。

 格闘の有望選手のスポットで、プロレスの試合も徐々に盛り上がってきていた。


 ワサビの頑張りで、運営も安定して来ていた。

 そのおかげで社長の権力は益々強くなり、皮肉な事に平野にとっては会社が安定すればするほどチャンスをもらえない厳しい状況に陥る状態を生んでいた。

 社長は自分の経営能力と実務能力を高いと勘違いし、駒をうまく動かすことがすべてとばかりに育成や地味な積み重ねは全くなく、0を1にするような仕事は殆ど平野に任せていた。


 支えているのは、平野をはじめとする格下とされたメンバーが地味にコツコツと仕事をして若手を育成し、また活躍の場を作っていたのである。

 そんな状態の為、中堅以上のカオス部門のメンバーは社長に不満をもっていた。


 そこを調整していたのも平野だった。

 平野はたまに思う。

 おれはこのまま、レスラーとしては朽ちるかな・・・、早めに運営側に回った方がいいかな・・。


 若井以外にも社長のいう格の高い選手が入っていた。

 その中で、平野はベテランの仕事で必要な存在ではあったが、社長は全くねぎらう事も無く執事のような扱いで便利に使われている状態は、さらにひどい状態になっていた。


 偶に、その話を猛田にする事もあったが、猛田はあっさりと、

 「なにぐちぐち言ってんすか使われる方が悪いんですよ。」と言い放たれていた。

 また、

 「いやなら辞めて他団体行きゃーいんですよ」

   ”やっぱり猛田とは合わねー”と思った。


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