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40 ぴょん太♂の×××

「―――さま―――んさま」


ん……なんだ………


「―――さま、ごしゅじんさま」


誰だ……俺を呼んでいるのか?


「ご主人様、ご主人様、起きてくださいぴょん」


声に応えてゆっくりと目を開く。


目に映ったのは可愛い女の子、その頭には黒いうさ耳が揺れている。


改めて状況を見返す。


間違いない、裸のうさ耳娘が俺に馬乗りになっている。


「やっと起きたぴょん」

「え……へ?あの……………どちらさま?」

「僕は昨日、ご主人様に創造して頂いたぴょん太だぴょん」

「ぴょん太!ってウサギの」

「そうだぴょん」

「ぴょん太!なんで人の姿に。てか、お前女の子だったのか」

「何言ってるぴょん。ぴょん太は立派な男だぴょん」

「へ?」


目線を下にやると、ご立派様が天に向かって反り勃っていた。


「ご主人様に愛して欲しくてこの姿になったんだぴょん。さぁご主人様、今すぐいっぱい愛して欲しいぴょん。昨日みたいに全身撫で回して、それからもっと凄いことも―――」


ぴょん太が覆いかぶさるようにその身を乗せてくる。


「待てぴょん太、急に駄目だって、心の準備が、男の子同士でそんな……あああああああ―――」



ハッと目が覚めた。


ぴょん太は昨日と変わらない姿で、俺の胸元に乗って顔色を伺うかのようにこちらを覗き込んでいる。


「夢か…」


全身に嫌な汗が浮き上がっている。寝たのに余計に疲れた。

改めて寝直したいところだけど、昨日は夜を食べずに寝たから腹も減っている。さてどうするか……


「はぁ、なんか食うか」


腹が減りすぎていては眠るのもままならない。とりあえずリユースコレクションで飯にしよう。


俺は肉の入った籠をしょって寝床をあとにした。




「なーんか騒がしいなぁ」


街はいつもよりざわついて浮き足立っているように感じた。

兵達も何やら慌ただしく動いているようだ。


行きがけにギルドによってクエストの報告もしたかったのだが、ギルドも外から見て分かるほどに混雑していたので諦めた。


「おやじー!飯くれー!」


いつもの掛け声で無遠慮にリユースコレクションの扉を開けると、中にいた全員の注目を集めてしまった。


「えっと…どったの?皆さんお揃いで」


今は朝と昼の間の時間でいつもなら人がいることなど皆無なのだが、店の中にはリユースコレクションのメンバーの半分近くが集まっていた。


「もう終わるから大人しくしとけ」


雰囲気にも押され、アーヴァインに言われるまま隅の席に腰掛けた。


「まぁ大体のことは今話した通りだ。外から帰ってきたメンバーがいたら遠出しないよう伝えてくれ、以上だ」


俺が来てすぐだがアーヴァインの締めの言葉で会は解散、メンバーはすぐに店を出たりその場でだべったり自由にしている。


俺はカウンター席に移動してアーヴァインに尋ねる。


「何かあったのか?」

「はぁ、お前は本当に………。朝はどこにいた、鐘の音が聴こえなかったのか?」

「鐘?朝は寝てたからな、全く聞こえなかった」

「寝てたって、お前さんの家は地中にでもあるってのか?」


ご名答。

俺の寝室は地中の奥深くにある。

黒鎧の野郎とやり合ってからというもの、いつ仕返しにこられても大丈夫なように寝る時は部屋の深度を大きく下げている。


「まぁいい。お前にも関係あることだし話しておく。今朝、魔物の襲撃があった」

「どこに?」

「ここだよ」

「ここに?あー、ここの連中、恨み買ってそうなやつばっかだもんなぁ。魔物使いにでもけしかけられたのか」

「アホか、うちじゃない。この街、首都プロンタルトに魔物が攻めてきたんだよ」

「ふーん」

「おまえ、これがどれだけ大変なことか全然わかってねぇな…」

「まぁ、わからんな。で、どうなったんだ?街が無事なんだからどうもなってないんだろ」

「そりゃそうだが。攻めてきたのはゴブリンが80ほどにマッドボアが20ほど、それに大物も何匹かいたって話だ。全部王国騎士団によって排除された」

「おー、さすが騎士団。それじゃそれでめでたしめでたしってことか」

「それがそうでもない。攻めてきた魔物は全て、黒獣だったんだ」

「は?黒獣って魔王が生み出すっていう」

「それは知ってんだな。その黒獣だ。最近ちらほらと噂にはなっていたんだが、今朝の事で存在が確定したって訳だ。対処はほぼ騎士団だけで行ったんだが、なにぶん街の近くだ、目撃者も多くてな。既に話は街中に広がっている」

「そうなんだ、ふーん、でももう黒獣も退治されて一件落着なんだろ?」

「んなわけねぇだろ。黒獣が現れたってこたぁつまりだ。魔王が復活したって事なんだよ」


ですよねぇ、そうなりますよね当然。


「あの、そうなると、その、どうなるのでしょう」

「決まってんだろ、魔王退治だよ。国をあげて、いや、世界をあげて魔王に対処する事になる」


ですよねぇ、そうなりますよね当然。


「まったく、魔王は200年おきにしか現れねぇんじゃなかったのかよ。とりあえずだ、今後の襲撃に備えて冒険者もなるべく街に留まるようにってお達しだ。まぁEランクのお前が前線に出される事もねぇとは思うが、あまり遠くに出かけるんじゃねえぞ」

「今後の襲撃って、またここが襲撃されるのか?」

「分からねぇがその可能性が高いらしい。どうにも黒獣の動きが統率されてたらしくてな。明らかに指揮者がいるって話になってる。全く、プロンタルトは魔界から1番遠いってのによ。こんな話聞いたことがねぇぜ」

「ふーん」

「なんにしても、5年前の二の舞いは踏まないさ」

「5年前?」

「いや、なんでもねぇよ。とにかくしばらくは遠出は控えろ。有事の際にはここに集まるように」


厳しい顔を見せたアーヴァインは俺との会話を嫌うように店の奥に行ってしまった。


何があったかは知らないけど、この街に孤児や浮浪者が多いのは5年前の出来事が原因だとは聞いたことがある。


アーヴァインも5年前の事に何かしらの傷を持っているのかもな。


それにしても、黒獣で王国を襲う魔王か。実にけしからんな。

時期じゃないってことでみんな魔王には無警戒だったのに、魔王探しなんて始まったら俺の平穏が脅かされてしまう。

別に今が平穏だとは思ってないけど。せっかく生活が基盤に乗ってきたってのにこれはタイミングが悪すぎる。魔王許すまじ。



てか俺、ご飯食べれてない。


さっきの流れ的に今からアーヴァインを呼び戻して飯を要求するのもなんだか野暮な気がする。

仕方がない、別の場所でとるか。


俺は籠をしょってリユースコレクションを後にした。

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