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03 街へすすめ

体が痛てぇ…


昨夜はなかなか寝付けなかった。


地面に直接寝そべったせいで寝心地が悪かったってのもあるけど、横になって目を閉じるといろんなことが頭を巡った。


目が覚めてもここは洞穴の中。

やはり認めるしかない。これは異世界転生だ。いや、正確には転移か?

まぁどっちでもいい。問題は、これからどうするかだ。



なぜ異世界に来てしまったのか。これからどうすればいいのか。

なるようにしかならないと言い聞かせてみても不安はしんしんと募っていく。

どうしてこんなことになってしまったのか。


そんなこんなで実際眠りに落ちたのが遅く、目を覚ました時には太陽がてっぺんを過ぎていた。


改めて明るい時間に見渡す街並みは、夜のそれとは違った意味で幻想的に見えた。


街は全周を壁に囲まれており、橙色の屋根の一軒家が立ち並んでいる。街の中心には区画を分ける様に壁で囲まれたエリアがあり、周囲よりも大きめの家、そして城がそびえている。そんなに壁で囲って、街の土地を広げる時はどうするんだろうな。


街の周囲は綺麗な平地となっているが、少し先は森になっている。


見た感じ、なかなかに大きな街なのではないだろうか。


そして自分の掘った洞窟の出口の周囲…いま自分がいる場所の周りだが、目の前は崖になっていて、後ろは森が茂っている。森に入ってすぐの所には古びた建物が建っているのが見えた。



さて、これから俺がとるべきであろう行動は3つ。


1つ、森の中に見えている建物を探索する。これは単なる好奇心


2つ、食べ物を調達する。これは深刻な問題だ、ただし方法は不明。


そして3つ目。

俺は手元の髪飾りを見る。これは洞窟の中に落ちていたものだ、今朝気づいた。おそらく昨日洞窟に落ちてきた少女、クレイのものだろう。これを返しに行く事だ。ただし居場所は不明。


順当に考えたら1かな。建物を調べれば、あわよくば食べ物も見つかるかもしれない。


というわけで森に入って数分、洞窟出口から屋根だけ見えていた建物に到着した。


教会っぽいな。


三角屋根に鐘を携えたのそ建物は大きめの扉を備えており、公共の施設だったんだろうなということが伺えた。


中は随分と荒れていた。

壊れた長椅子が散乱し、正面最奥に備えられた宗教的なモニュメントもボロボロに傷つき、その奥の壁に彩られていたであろうステンドグラスも見るも無残に割れていた。


ひと通り建物内を見て回った。空の酒瓶などは転がっていたが食べ物は見つからなかった。

ボロだがフード付きのマントが落ちていたので拾っておいた。とりあえずこれで服装は隠せる。この世界の服がどんなものかは分からないが、ワイシャツにスラックスって事はないだろう。


やっぱり街に出るしかないか。


とはいっても、街が見えてる正面は崖だから回り込むルートで森を抜けなければならないんだろうが……森の中に入って大丈夫だろうか


悪いが腕の細さに関してはちょっと自信がある。格闘技どころか喧嘩もしたことはない。モンスターなんぞに出られた日には秒で餌になる自信がある。


崖の高さは30メートルはあるんじゃなかろうか。ロッククライミングも勘弁だ。



よし、掘るか。


思いついてしまえばなんてことはない。崖の下まで穴を掘っていけばいい。


俺は早速、崖沿いから下に向かって穴を掘り始める。といっても真下ではなく、下り坂になるよう斜め下に掘り進めていく。


数メートルしたら180度ターンを繰り返してビルの階段のような形で掘り進めていく。

螺旋状に掘ろうかと思ったんだけどそれだとどっちが崖側かわからなくなると思ったからだ。


地面の中を進む以上、外の景色が見えないからな。そのへんは感覚でやるしかない。


2度程、崖の中腹に横穴を開けて現在の高さを確認。目論見通りに崖の下に降りることが出来た。


街の壁に沿って歩いていくと門が見えた。門には入場を待つ列ができている。


何人かがそこを通るのを観察したが、何らかのカードを見せて、貨幣と思しきものを渡していた。


当然、俺は身分証もなければお金もない。ぼろマント装備で衛兵の前に行くのはあまりにも無謀に思えた。


よし、掘るか。


今日の俺のトレンドワード『よし、掘るか』だ。


街を囲う壁の下を掘り抜けて街の中に侵入する作戦だ。自在に穴を掘れる能力は何気に便利だな。


そうと決まれば、俺は降りてきた崖の近くまで戻った。


人通りの多い門近くで掘ると見つかるかもしれないしな。

そう考えると壁際から掘るよりも、少し離れた見通しの悪い茂みから掘った方がいいかもな。


という訳で、壁から少し距離をとって茂みから街へ向けて掘り進めることにした。



そろそろ街に入っただろうか。いや、もう少しだろうか。


土の中だと景色が見えないため距離感がわからない。


外壁ギリギリに出るのが理想。建物の床に穴を開けたりいきなり人と遭遇するようなことは避けたいところだ。


なんて考えながら進んでいると空洞に出てしまった。


しまった、地下室か!


薄暗くて湿気た部屋、静かだけど人の気配がする。


警戒しつつ見回す。暗さに慣れてきた俺の目に映ったのは複数の縛られた子供の姿だった。

各話にサブタイトルあった方がいいのだろうか

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