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10 肉料理のおすすめ

うまい、うますぎる、殺人的だ、ありがてぇ、ありがてぇ、涙が出そうだ。


肉だ、やはり食事は肉に限る。


孤児院の精進料理は心に染みたが、肉は全身の細胞に染み渡る。


俺とクレイはバーカウンターで食事をしている。目の前に並ぶのは豪快で大味な肉料理だ。それと酒。


俺はそれを一心に貪る。


後ろでは山賊のような風貌の冒険者たちが宴会の如く騒いでいる。


部屋の隅ではクレイにつっかかった小柄な男が気を失って転がっている。




あの時、俺たちに絡んできた小柄な男がクレイに飛びかかると同時に店内の全員が動いた。


しかしその他大勢が拳を向けたのは俺たちではなく、小柄な男の方だった。


そいつを全員で取り押さえ、ボコボコにして店の隅に放った。


それで事態は万事収束というわけだ。




ちなみに俺はクレイを連れて穴を掘って逃げようとしたが、穴掘りは発動しなかった。


店内の床は抜けられなかったようだ。あのまま襲われていたらヤバかった。


「すまねぇな。あいつは新人で教育もなっちゃいなくて、姫の事も知らなかったんだ。後でよぉく躾ておくからよ」


あれだけボコボコにされて、まだ後があるのか。


「にしても、なんでそんな変装じみた格好してたんだ」

「今日は1人ではなかったので。私が街を歩くと色々とうるさいでしょう」

「ま、そりゃそうだが。姫が男を連れてくるたぁなぁ」


そういってバーカウンターの向こうに立つ大男は値踏みするようにまじまじと俺を見る。


このハゲで眼帯で悪人面で2mはゆうに超えているであろうクマのような大男はこの店を、しいては今この店にいる山賊…もとい、冒険者たちを率いる男。ギルド:リユースコレクションのリーダー、アーヴァインだ。


アーヴァインは俺たちに顔を寄せて、落ち着いたトーンで話す。


「んで、いきなりタダ飯食わせろだなんて、それだけじゃねぇんだろ?本当の用事はなんだ」

「いえ、今日の用事は本当にこれだけです」

「は?本当に飯だけ食いに来たのか?」

「いけないのですか?ここは酒場でしょう」

「もっとうまい店というか、デートならそれに相応しい店があんだろうよ」

「まぁ、デートだなんて。いえ、これはそういうのではなくてですね、その……タダでご飯を食べれる場所は私、実家とここしか存じ上げませんので」

「いや、うちもタダではないんだが」

「あら、私はお代を払ったことは1度もありませんよ」

「そりゃ、姫からは取れねぇよ」

「そうですか、では今後ともススム様の食事をお願いしますね」

「は?」

「あら、聞こえませんでしたか?」

「いや聞こえてるよ。こいつに一生タダ飯食わせろっていってんのか?」

「はい」

「…………………」

「なにか?」

「なんもねぇよ」


アーヴァインは大きくため息をついてドカリと椅子に腰を落とし、そっぽを向いてしまった。


「ススム様、お腹がすいた時はいつでもここをご利用ください」

「え、いいの?」

「もちろんですわ」

「あの………いいんですか?」

「もちろんですわ」


2度目は目の前で厳しい顔をしているアーヴァインに確認をとったつもりだったのだが、クレイから返事が返ってきた。


「あ、あぁうん。ありがと」


本当にいいのだろうか。というか大丈夫なのだろうか。


クレイがここでどんなポジションなのかは知らないが、強引に俺の飯の話をつけてくれた。


ありがたいが、渋々というか、致し方なく引き受けさせられたようにしか見えなかったが。


そして俺は飯にありつくために夜の繁華街を1人で進んでここまで辿り着き、野蛮な山賊共に囲まれながら仕方なくタダで出されたご飯を食べるわけだ。


…………俺の心が折れそうなんだが。


これは断るべきだったか?選択を誤ったか?いや、まだ今なら取り返しがつくのでは。


「あの、でもやっぱり悪いような―――」


俺の言葉を叩き潰すように新しい料理の乗った皿が目の前に降ってきた。


「うちの飯はまずいか?」

「いえ……おおおいしいです。はい、すごく」

「そうか、ならいい」


アーヴァインはそれだけ言って厨房へと姿を消した。


「気に入られたみたいですね」

「そう、なんですか、ねぇ。はは」


とりあえず、ご飯の心配がなくなった。その分、命の心配が増えた気がした。


次回は、みんな大好き幼女がでます。


無口でとてとてしてます!


みんなぁぁ!!!幼女は好きかァァァァァ!!!!!!

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