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閻魔庁総務課の月子さん  作者: 泪
プロローグ
1/7

厄日

 新連載です、よろしくお願いします。


今日から3話は毎日0時更新、それ以降は毎週日曜日0時更新になります。

「はい、須賀商事総務課 西です。えっ、岡野さん? 何言って、ちょっと…………嘘でしょう?!」

 始業開始のベルが鳴った直後にかかってきた電話をとった、西さんが叫び声をあげる。

 そういえば岡野さんは、まだ出社していなかったわね……また遅刻の連絡なのかしら、今月だけで遅刻5回目よ何考えてるのかしら。

「西君、岡野君はまた遅刻かね」

 田中課長が呆れた顔で西さんに問いかけると、

「岡野さんですが、赤ちゃん出来たので仕事辞めます、今月分の給料と退職金はちゃんと振り込んでくださいねって……」

「はぁぁ、辞める? 電話一本でか? 引継ぎ、いや岡野君に頼んであった書類はどうなってるんだ!!」

 課長の言葉に慌てて岡野さんの机で書類を探すと、明日の会議に使う資料として、1週間前に岡野さんに渡した書類が手つかずで残っていた。

 しかも岡野さんの使っていたパソコンは、文書や顧客データを全て消去されていた……これは、冗談じゃ済まないわよ。


「はぁぁ、エラい目にあった」

 あの後、怒り狂った田中課長が人事課と話をしに行ってる間に、岡野さんの持っていた仕事を残りの子達に割り振って、明日の会議書類は私がやる事にしたのだけれど、それに必要なデータまで破棄されていて思っていたより時間がかかった、その上……

「私は、彼女が仕事もしないで携帯ばっかりいじってたから注意しただけよ、それをパワハラ? リストラ対象?」

 終電間際、疲れた顔のサラリーマン達の後ろに並んで電車を待つ間に、そんな独り言が口をついて出てくる……お一人様が長いと、独り言がクセになって嫌ね。

 20台前半で、病気で子供が出来ない体だと分かってから仕事一筋、気が付いたらアラフォーで若い女の子達からお局様とかババアなんて言われるようになっていた。

 リストラ対象か、会社としても私みたいなオバサンより若い女の子の方が、他の社員のやる気に繋がるって事かしら……岡野さんが専務の愛人って噂は関係ないわよね。


『居た、高本月緒!! くっそー、てめえが遅いから合コン遅刻じゃねえか、ふざけんなよ! さっさと死ね!!』


 ん? 何か聞こえた?


「ヒャ~ハハハ~、死ね、死ね、死ね~!!」

「「キャーッ!」」

「うわぁー!! 人殺しだーっ」

「逃げろっ、人殺しだー!」

 後ろからドンッと衝撃を受け、駅のホームに倒れる私が最後に見た光景は、血塗れのナイフを振り回す若い男と、逃げまどう人達だった。


 高木月子、享年42歳……薬物中毒者による、駅構内での無差別殺人により死亡。

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