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銀剣のエルメテウス  作者: UNAGIRAS
星海のペスカトーレ編
1/4

星海のペスカトーレ(1)

1 プロローグ


「 宇 宙 ク ロ マ グ ロ だ ! 逃 げ ろ !」


移動スペースコロニー「アンモナイト・スイセイ」の操舵室では、大音量アラート音声が響き渡っていた。


「冗談じゃねえよ!今日は厄日だぜぇ!」


ジョン・バンダー20歳。

つい先程宇宙スズメバチに刺されたばかりの、サクランボ・ボムのように膨れた頬が痛ましいこの男は、二日酔いで倒れた親父の代わりに全コロニー民の命が掛かった舵を握っていた。


勿論彼にそんな権限はなかったし、操舵経験などある訳がない。

彼の額には冷や汗が浮き上がり、目には涙が浮かんでいた。それもそのはずだ。


宇宙クロマグロはとにかくヤバイ奴だ。 戦艦並みにデカイし、凄まじく速い。


体当たりで幾つものコロニーを滅ぼしてきた宇宙の悪魔だ。いち速く宇宙クロマグロの予測移動ルートの範囲外に移動しなければ、このコロニーも宇宙の藻屑と化してしまう。.....300万人の命と共に。


現在位置が移動ルート範囲内である事を示すアラート音声は未だ鳴り止まない。

......ガッデェム。既に宇宙クロマグロの周辺通過予測時間まで残り15秒を切っていた。


ジョンは死を覚悟した。

もう間に合わない。寝よう。なぜ現実はかくも非常なのか。全て宇宙スズメバチのせいだ。頬が痛い。頰が取れたら痛みも取れるのに。いやその前にもう一度宇宙シャケ・フレークが食べたかった。あと死んだら異世界転生ハーレ-----


-----

----------

[通信を受信しました]


『くははははァーーーー!!!!』


-----KRAAAAASSHH!!!


「ワッザ!?」


突然繋がれた通信、笑い声、轟音。

解凍された宇宙クラーケンのように飛び起きたジョンの頭の中は、掻き乱されたレインボー茶碗蒸しのように混沌としていた。


「一体何が......!!??」


ジーザァァス。モニターに映し出されていたのは驚くべき光景だった。


--宇宙クロマグロの横っ腹に、前時代的な意匠の巨大有線アンカーが突き刺さっていたのだ。

宇宙クロマグロは悶え苦しみ、予測されていた進路から大きく外れていく。


そしてジョンは確かに聞いた。


『くはーーー!!!操縦士よ、後はこのエルメテ様に任せなァ!!---』



----モニターに映る「危険回避!よかったね!」の文字を見たジョンは、安らかな表情のまま、静かに意識を失った。

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