白虎丸篇 3
うーん、疑惑度…疑惑…何かを怪しまれているとか?なにか不審に思われるような事したかな
まだ序盤の序盤だし、白虎丸との関わりも少しだけ
攻略の為に近付いているのがバレた…?
いや、そもそもゲームのキャラクターがこの世界は元々ゲームなんですよ〜なんて知る筈が無いよね
それにまだ猛烈なアプローチもしていないし、というかヒロインって何か自分から言い寄って攻略していくものではない気がしてきた…
共に過ごしていくに連れ自然と過ごした時間が長い人からいつの間にか想われてて、なんて現実世界では美人だけだろ!って思う展開があるのが乙女ゲームの良さよね?
あ〜、もう考えてもラチあかないよ!!
「…凛音さん?どうかされました?」
「へっ!?」
「先程から白米だけを黙々と食べ続けていますが…」
斜め前に座り食事をしている龍河が心配そうな眼差しを向けている
そうだ、広間に集まり皆でご飯を食べている最中なんだった
正面には鴉、黄金と白虎丸に挟まれる形で私がいる
「オカズ…口に、合わなかった…?」
「ううん!そういう事じゃないの、鴉くんの作ってくれたもの全部美味しいよ!このお漬物もお家で作ってるの?」
「…そう、俺が全部作ってる…」
「へ〜!すっごく美味しい、私も今度作り方教わりたいなぁ」
「…!、時間が…あったら…」
そういうと鴉は目を伏せて黙々と食事を続けた
「あっれ〜?鴉くんちょっと照れてる?」
「…うるさい、黄金」
「料理褒められるのなんて久々だもんね〜、あっ、僕はいつも美味しいと思ってるよ?言ってないだけで、それよりもやっぱり食事に女の子っていう華があると気分が違うよね、ね?白虎丸」
「あ?なんで俺に振るんだよ」
「だって〜、昨日は僕の可愛い可愛いお姉ちゃんと二人きりでお散歩だったんでしょ?華がある事が一番嬉しいのは白虎丸なのかなぁって!」
女の子…華…可愛い…お姉ちゃん…
黄金の口から出る言葉は、彼氏いない歴=数えたくない、の私に向けられる事なんて人生で無かったであろうものばかり
はぁ、生きてて良かったと本当に思います
神様、ありがとう……!!!
「…これが華ねぇ?急に天井見上げて拝みだす奴のどこに華のような可憐さがあるってんだか」
「はっ!?う、うるさいわね」
まさか行動にまで神への感謝が出ていたなんて…
「ふふ、馴染めているようで安心しました」
戯れる私と白虎丸を見た龍河が微笑み安堵の表情を見せるとコトンと箸を置いた
「凛音さん、昨晩は大変でしたでしょう?初めて妖魔を目のあたりにして」
「あっ、えっと…そう、ですね…妖魔という存在も昨日初めて知りましたし、白虎丸には助けてもらって感謝してもしきれない程です」
「私が言うのも何ですが、お気になさらず、白虎丸含め私達四人は妖魔退治を生業としている者ですので当然の事です。白虎丸も承知の上で凛音さんと散歩へ出かけたのでしょう?」
白虎丸はそっぽを向きながら「まぁな」と軽く返事をした
「その、妖魔って一体…?」
「ふふ、そうですよね、見ただけで全てがわかる筈ないですもんね、ではお話を…っとその前に、皆さん食事の片付けをしましょう、凛音さんは後ほど私の部屋に来ていただけますか?」
「はい、わかりました」
私が返事をすると、龍河は一番に片付けへと向かって行った
「ねぇねぇお姉ちゃん、龍河さんと話が終わったら僕と遊ばない?」
「えっ?」
「ばーか、黄金は俺と仕事、遊んでばっかいねぇで働けエロ餓鬼」
「えー!僕お姉ちゃんと遊ぶ仕事が〜!!」
「あー、餓鬼はうるせぇな」
ハハハ…苦笑いで白虎丸に引きづられていく黄金を見送る
鴉は…あ、いつの間にか居ないや
仕事って、やっぱり妖魔に関する事なのかな?とりあえず、私も早く片付けて龍河の部屋に行かなきゃ
このゲームのキーポイントは妖魔にあるはず。
バッドエンドが死へと繋がるのも妖魔が関係しているに違いない
手に入れられる情報ははやいうちに集めておかないと…
▽
コンコンッ
片付けがひと通り終わった私は龍河の部屋の前まで来ていた
「お入りください」
「失礼します」
ゆっくりと襖を開けると小さな机の前に座る龍河がコチラを見て微笑んでいる
「どーぞ、お座り下さい」
「はい」
「では、早速ですが妖魔についてお話させていただきますね。長くなるかと思うので足は崩して頂いて構いませんよ、畏まる必要はありませんので、ふふ」
と言うと、龍河は穏やかに妖魔について話し始める
私は早速言われた通りに足を軽く崩した、迅速かつ冷静な対応だ
正座が苦手+校長先生の話等も苦手だった私の直感が冴えた
正座で聞くには長そう……!!!