プロローグ 動画:バケツスライム(失敗)
初めての小説です。最近流行りに乗っかっただけです
ある動画サイトに投稿されている動画に1人の青年が映っている。
「どうも、スライム教授です」
白衣と眼鏡を着けて、腕を組んで陽気な声で挨拶をする。自分ができる限りで作ったであろうその笑顔はその動画を見た人たちに良い印象を与える。
「今日はですね。なんと、なんとですね・・・」
青年はそこまで言って目の前にある机に15Lの水は入るバケツを置く。
「このバケツ一杯のスライムを作ろうと思います。材料はこちら。水8L、洗濯ノリ6L、ホウ砂いっぱい、お湯1Lでございます」
青年が材料を言うとともに材料が1つずつ映像に映し出される。映像で見る限り材料は相当な量だということがわかる。
「では、さっそく作っていきたいと思います」
青年がそこまで言い終えると映像が切り替わり、スライムを作る工程の映像に移る。
「まずは水と洗濯のりをバケツに入れ混ぜていきます」
バケツに水と洗濯ノリを入れる。そして腕の力を入れて中身を混ぜていく。量が多い分混ぜるのも苦労しているのが青年の様子を見ればうかがえる。
その後も青年はあらかじめ調べておいた手順通りにスライムを作っていき、ついにスライムが完成する。
「ようやく、スライムが完成しました。まだ、バケツの中にあるんですが早速、披露したいと思います」
青年はバケツを逆さにし、完成したであろうスライムを取り出していく。青年の目論見通り、スライムがしっかり完成しているのであるなら机の上にしっかりと留まるはずであった。そう、失敗していなければ・・・
「ギャー。机からはみ出るな。床が、床が汚れる」
スライムは青年の想像と違い、机からはみ出て床に落ちる。清潔にしてあった床は青いスライムに侵食されていく。
「じゃあ、今日はここまでです。ご視聴ありがとう・・・ああっこぼれるな」
青年がそう言うと、画面が一瞬暗くなる。そして切り替わり、また新しい映像が流れる。
「もう、せっかく今朝掃除したばっかなのにまた掃除しなきゃだよ。こら、スラ男。いたずらはダメだと言ったじゃないか」
愚痴りながらも床を雑巾で拭いていく青年の姿が映し出される。そして、再びバケツに入れたであろうスライムに叱る姿でその動画は締めくくられた。
そう、この話はyoutuberスライム教授こと佐瀬弘樹の面白い物語である。
次回から本編に入っていきます