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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

嘘吐きの恋

作者: N

「好きですよ」


嘘吐き。

彼方が好きなのは私じゃなくて、違う人だってことぐらい知っている。


「何度も言ってるじゃないですか?」


いつになったら信じてくれるんです、と。

それが嘘だと理解しているのに、その嘘ごと理解しろと、彼方は言う。薄く微笑う表情の下。目の前にいるのは私のはずなのに、彼方の眼は、私ではなく違う人を見ているんですね。

ああ、所詮。私は身代わり人形なのです。

彼方が望むのなら、私はそれにすら気がつかない振りをし続けましょう。


「    」


彼方が呼ぶ声は、決して、私のモノにはなりはしない。


「好きですよ」


それが解っているのに、あえて、私は彼方に騙された振りをする。


「いつになったら君に、この想いは届くのでしょうね」

「さあ」


本当。

嘘ばかりの恋でした。

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