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悪い

逃したか…と、少し不機嫌になっていると

「ユキーーーー!」

という、夜桜の声。後ろからだ。

俺がわざわざ出て行ったのに、自ら追いかけてくるなんてな。

あえて振り返らない。

「手紙みて、電話の履歴確認して、大変だったんだから!」

息が荒いな。走ったのか。

「悪い。ほんと、悪い」

俺は先に謝った。この言葉は、多分夜桜を傷つけるから。

「こっちから出てってやったんだ、追うなよ!お前も俺が出てって満足だろ!?」

こんなこと、思っていない。

「女物の服着せられるし、飯はまずい。あんな家、いたくなかったんだよ!」

こうでもしないと、夜桜はひかない。

「でも、美味しいって……」

「あんなの嘘に決まってんだろ!?馬鹿みたいに信じたのか?だいたいお前は…」

もう後戻り出来ない。

「ユキの馬鹿!!もうしらない…好きにすれば?」

そう、それでいい。

俺から離れていく足音が消え去ってから、振り向く。

縁があれば、また会おう。

その時はちゃんと謝るから。

「さて、と」

大きく伸びをして、次の街へと歩いていく。

煙幕野郎とは、また会いそうだ。

やって来た街は、サクファというそうだ。

もう夜中。宿を探すか。

町中歩いて決めたのは、小洒落たホテル。

値段的にもいい感じだ。

ベッドに入るなり、疲労からか眠ってしまった。

目が冷めればもう午前10時。

仕事探さなければ。

眠い目を擦りつつ、朝飯も食わずに外に出る。

殺しの仕事を適当に選び、依頼人の面会に行く。

「ハーイ、あなたが引き受けてくれるの?」

金髪巻き髪の少女。

性格キツそう。苦手なタイプだ。

「ああ」

短く返事をする。

「私のお父様とお母様を殺して欲しいの」

こりゃまた、特殊なパターンだ。

両親を殺せとは。

「金は?」

ここが重要。

「6億ハントでどう?」

「交渉成立だ」

俺は早速行こうとする。

「待って。通り名は?信頼できる人じゃないとダメなの」

「虐殺王。ここにまで噂が届いてるといいが」

「あなた、あの虐殺王なんだ。イメージと違って華奢ね」

むっとしたので無視した。

ちなみに報酬は前払いで頂いた。

なので、サクッとやって、帰ろう。

…と、思ったんだが………

やけにガードマンの数が多く、時間がかかった。

掃除屋に後を頼み、ホテルに戻る。

暫く仕事しなくていいや。

6億も貰ったし。

今頃夜桜、どうしてるかな?

不意に、そんなことを考えてしまった。

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