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逆転戦争5

「耳塞いで、目を閉じとけ」

俺は胡蝶にそう命令し、銃を出した。

ちょうど勢力が分かれ、ぶつかりあっている真ん中辺りに、銃口を向けた。

隣で胡蝶が言われた通りにしているのを確認すると、自身もなるべく目と耳を塞ぐ。

引き金を引く。

ドガァアァァァァァァァァン

耳を塞いでいても少しダメージが来るほどの爆音。

目を閉じていてもはっきりとわかる光。

背中で庇っていたので、胡蝶の光によるダメージは無いだろう。

皆の動きが止まる。

どちら側からの攻撃なのかわからない以上、迂闊には動けないだろう。

バタバタと、俺が撃った方から人が倒れている。

俺が撃ったのは、自分で開発した特殊な弾だ。

音、光、ガスを放出する。

毒ガスを入れることもあれば、今回のように催眠ガスを入れることも出来る。

我先にと最前列に来ていた敵味方の両方が、ガスの餌食になる。

ここは少し離れているので、ガスは届かない。はず。

「胡蝶、大丈夫か?」

俺の方は少し視界がチカチカするが、見える。問題無い。

「うん、大丈夫。すごいね、ユキおにいちゃん」

そうか?と、首を傾げた。

昏い瞳で笑いながら、そうだよ、と胡蝶は返す。

だが。

「これからどうするかは考えてない。正直、動き止めることしか考えてなかった」

そう、問題はこの後だ。

縛り上げようにも、この人数だ。

殺そうにも、きりがない。

味方まで眠らすんじゃなかった。

「おい」

背後から、野太い声がした。

バッと振り返る。

「っ!?」

いきなり腹を殴られる。

声を出さなかったのは奇跡だ。

胡蝶が目を見開く。

声の正体は、ガタイの良い大男だった。

大きな片手剣を背に、構えている。

素早く長剣を取り出し、体勢を立て直した。

口には薄く笑みが浮かぶ。

骨は…無事だ。

咄嗟に受身を取ったおかげだろう。

距離は10メートルといったところ。

一気に間合いを詰めるか…

いや、動いた瞬間に対策されかねない。

お互い一歩も動かずに、時だけが過ぎる。

まずい。下手したら、兵が起きてしまう。

いきなり、バッと男が腕を上げた。

構えたが、何かを防いだだけのようだ。

よくみると、腕に矢が刺さっている。

驚いたが、俺は今動いてなかった。

とすると。

「胡蝶っ!」

男が体に似合わぬ素早い動きで剣を抜く。

それを、胡蝶に振り下ろす。

考えるより体が動いた。

長剣を二刀流して防ぐ。

重い一撃。

力に耐えられるだろうか。

今は男でも、前世では女だ。

足で踏ん張るが、身動きが取れない。

不意に、剣を握る腕が軽くなる。

気付くと男は少し離れたところにいた。

胡蝶が、刃渡20㎝ほどのナイフを持っていた。

「お前が、(さかき) 有希(ゆき)か」

俺は、その一言に驚愕した。

ここに来てからは、有希としか名乗っていない。

苗字を知っているのは、前の世界の人だけなはず。

「何故、知ってる…?」

警戒を、一気に強めた。

「お前は、転生ではなく世界を越えた」

転生を知ってる…?

何者だ、コイツ!

「答えろ。てめぇは何者(なにもん)だ」

お互いに間合いをはかり、仕掛けようとはしない。

一瞬の気の緩みが、生死を分ける。

「オレは、多数平行世界維持統合体(たすうへいこうせかいいじとうごうたい)

聞き慣れぬ長い言葉が飛び出る。

「その、何万体もいるうちの一体だ」

説明を求めようとして、一旦口をつぐむ。

目はギラギラと闘志に満ちており、今にも飛びかかってきそうだ。

まさしく、獣の目。

どうやら、話の続きは捕まえてからにまりそうだ。

そっと、胡蝶に手は出すなと視線を送る。

胡蝶は黙って武器を仕舞った。

なるべく早く、なんとかしないと…

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