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書き出すことになった、きっかけ。
小説を描く場合、何故こんなことを書くことになったのか、、。それを読者は知りたい。ある人はそんなことよりも話の続きを早く読みたいというかもしれない。フェルメールの「首飾りの少女」という絵がある。これは振り向いた少女の口が少し開いていて、何かを考えているような不思議な表情の少女の肖像画である。シュバリエという女流作家はこの絵を子供のときから時分の部屋に飾っていた。毎日この絵と向かいあっていたわけである。大きくなってから、ふと、この表情は何なんだろうと考える、そして、作家である彼女は「小説の構想、と着想」を得る。この小さな聡明な使用人と絵描きのフェルメールとの関係は、主人の奥方は私のことをどう考えているのだろうか、トルコ風の衣装を着て主人と二人きりになるこの密室に入ることをみんなはどんな風に噂しているのだろうか?
そんなことを作家「シュバリエ」はとりとめもなく頭のノートブックに大きく書き出してみた。僕もそんな風に着想と構想を書き出してみる。表の世界と中の世界をそれまでとは違う印象と実際の価値観を計りにかけながら。