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「吾輩をここへ喚んだのは貴方か」
「喚んだ?」
「自覚もなしか」
うっすらと細められた「猫」の瞳に蔑みの色をみて取った青年は先程の恐怖も忘れて「猫」を睨んだ。
こちらとて、何がどうなったかさっぱり事態が呑み込めずにいるというのに。
「しかし、馬鹿ではないか」
「何だって?」
青年は「猫」へと聞き返す。
「おい、ブツブツとうるさいぞ」
「一体何を…」
粉挽き小屋からのっそりと顔を出した男達は示し合わせたようにあんぐりと口を開けたままその動きを止めた。
「ふむ、この似た反応から察するに…」
「僕の兄達だ」
「成る程」
男達のその目が驚愕から恐れへと塗り変えられる。
「な、ななな、何だそいつは!!」
「し、喋った!!」
「猫」の目が、威嚇するようにギラリと光る。
「ひっ!!」
「たっ、助け…!」
「猫」の気配に危機を感じ、身を翻そうと後ろにいた男とぶつかり、足を絡ませてその場で転ぶ。
「ひぃ!!」
「い、命だけは…」
「猫」が再び二人の男を見る。男達は腰を抜かしたまま必死でお互いを押しのけ合い、その場から逃れようともがいている。
「成る程。喚んだのが貴方で正解であったらしい」
「猫」は満足げに嗤った