表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友ともう一歩。  作者: 薄桜
後編
15/20

大事だからこそ

15話目です。

・・・ではどうぞ。


私はベッドの上で壁にもたれ、膝を抱えていた。

普段ならずっと流しっぱなしの洋楽や、ロックも最近さっぱり聞いてない。全然そんな気分にはなれないから。

ここ最近は、学校から帰ってやる事だけ事務的にやってしまうと、後は段々と暗くなっていく部屋で、灯りも点けずにこうやって、今までの自分を反省していた。

最初のうちは航に対しての怒りが少しはあったけど、段々落ち着いてくると、自分の何が悪くてこうなったのかを延々と考え続けた。そうすると思い当たる事があまりにも有り過ぎて、航に見捨てられても仕方がなかったんだなと・・・落ち込んだ。

気が強い事も、わがままなのも、キツイ性格である事も、それが私なんだと思っていた。私は・・・この自分勝手な私を受け入れてくれた人しか相手にしないって・・・そう思っていた。ふざけんなってくらい傲慢な人間なんだと思って、ますます落ち込んだ。

聡太くんは、今の私はらしくないって言ってくれたけど、やっぱり反省して直さなきゃいけない所はいっぱいある。直したらもう一回航とちゃんと向き合えるかな? それとも、もうこれで駄目かな?


・・・そんなどん底にいる時ノックの音がして、私は返事もしなかったのに勝手にドアが開いた。


荷物だけ部屋に置いて制服のまま朋花の部屋に行った。ノックをしたけど返事は無い。だがそれも今更だなと思いそのままドアを開けた。

うわっ、暗い。

明かりの点いてない薄暗い部屋で、そこにいるはずの妹の姿を探すと、ベッドの上にうずくまっていた。

朋花・・・それはいくら可愛い妹でもさすがに怖えーよ!? 未練たらたらの幽霊みたいじゃないか、それ?

問答無用で電気を点けたが・・・もちろん、朋花が怒りだすのを覚悟してたのだが、少し身をよじっただけで何も言わなかった。

あの安田ってやつのせいで・・・本当にあいつのせいで、朋花はこんなになるのか?

いつもの俺に対する態度とあまりにも違う姿に、半分驚いて・・・半分は悔しかった。

朋花の正面に当たる場所に(じか)に座り、小さくなっている妹を見た。

今までは、いくら母さんにきつく怒られても、前の学校でひどい目にあったって、ここまで落ち込んだ姿は見た事がない。あの時は、落ち込むなんて事はなく『暴れた』が正しいんだが・・・。

「朋花・・・暗いぞ。」

見たままの感想を口にしてみたが、微動だにもしない。

「朋花。さっき安田ってやつと話した。」

やつの名前を出しただけで朋花は顔を上げた。

「・・・なんで航?」

握った手に自然と力が入るのを感じ、大きく陣呼吸をして力を抜いた。

「偶然。・・・色々聞いたぞ、学校での事。」

「何で?」

「心配だからだ。」

「心配なんかしてくれなくていいよ! だって私酷い人間なんだよ!?」

珍しく後ろ向きな言葉を叫ぶ妹に驚き、そんな姿を見たくない俺は慌てて否定した。

「酷くない!朋花はそんなやつじゃないから大丈夫だ!」

「・・・何が大丈夫よ、気休め言わないでよ・・・私航に酷い事したんだよ? 和樹にだっていっぱい酷い事してきたよ!?」

「俺はお前の兄ちゃんだから平気なの! あいつだって平気だ。俺も・・・安田も、お前の事すっごい心配してるんだ。」

「でも・・・、」

敵に塩を送るような事を言うのは癪だが、朋花には元気になってもらいたい。俺の気持ちはとりあえず押さえ込んでおくしかない。

「あいつはお前の事好きだって言ったんだろ? なら信じてやれよ。俺は好きになれないが、悪いやつじゃないとは思う。」

「・・・知ってる。」

くそっ、そんな愛しそうな目をされると、胸に何か鋭い物を差し込まれた気分になる。

「なら、そんな所で小さくなってないで、仲直りする事考えろ。」

俺の言葉に妹は少し表情が緩んだが、それは再び曇った。

「・・・でも、キャンセルって言われたんだよ?」

「は? 何だそれ???」

・・・あいつ、何か都合の悪い事隠してやがったのか?

俺の中にあった、安田に対する信頼は、今この瞬間に消し飛んだ。

むー、ここも少し短いですね。

文脈で区切ってるので、勘弁してください。

次が本編ラストで、少々長いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ