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親友ともう一歩。  作者: 薄桜
後編
14/20

好きだから

14話目です。

・・・ではどうぞ。

聡太に来るなと言われ置いて帰られたが、俺にもやる事がある。

今日こそ朋花の兄ちゃんに会ってやる。いつ帰ってくるかは分かんねーけど、家の近所で待ち構えてたら絶対会えるだろう。こうなったら持久戦覚悟だ。

そして、待ち始めてから2時間半か3時間くらい過ぎた頃になって、やっとそれらしい自転車がやってきた。


「最近元気が無いんだが、その理由・・・」

「だよな、そっちももちろん朋花・・・さんが転校する前の事、当然知ってるよな?」

近くの公園の、日が傾いてかなり冷え込んだベンチの側の街灯下で、お互い斜めに向き合う形に陣取って、お互いに朋花の事を聞きだそうとしている。


俺がこの兄ちゃんを待ってたのと同じように、向こうも俺を探していたらしく、ほぼ同時に片手を上げて「あー、話があるんだけど・・・。」って異口同音に喋った。

それから一瞬お互いを睨んで、同時に作り笑顔になった。

「君は朋花と仲がいいんだよな?」

「お兄さんこそ朋花の事なら何でも知ってるよな?」

しばらく無言で、互いの出方を探りあって・・・道端でする話でもないよなって、公園に場所を移すことになりここにいる。


「・・・転校前の事が何か関係あるのか?」

なぜかこいつは言いたくない事を聞きだそうとしてくる。弱味でも握る気か? 

「直接は関係無いけどさ、けどそれでちょい前に朋花が大変な事になったんだけど・・・それ知りたくないか?」

最初から何か気に入らなかったが、こいつ本気でムカつく。目は真剣で気になる事言ってくるんだが・・・この失礼千万な物言いが我慢ならない。妙な駆け引きしてきやがって・・・聞きたいに決まってんだろ、この野郎。

「お前の言い方が気に入らない! お前には年上に対する敬意は無いのか? 妹の事呼び捨てにすんなって前にも言ったろ? それと、お前に『お兄さん』なんて言われると、虫唾が走るから止めろ。」

苛つく事を順番に勢いで言ってしまうと、ヤツは溜息をついた。

「じゃぁ、聞かないって事だな?」

その投げやりな声を聞いて、俺は即座に反応してしまった。

「待て待て、それは聞きたい。」

・・・何自分から負けに行ってんだ俺?

「あ? じゃぁ転校前の事先に話してくれよ。そしたらたぶん色々納得いくから。」

こいつ絶対そのうちシメる。

「・・・一つ聞いていいか?」

何が納得なのか? 何でこんなに朋花の事を気にしてるのか? ・・・当たって欲しくない予測はあるが・・・理由がはっきりしないのに、んな家の重大事項を他人に話せるかっての。特に、こんな気に入らないやつにだ。

「何でって・・・」

「・・・もし好奇心だってんなら、何も話さんぞ。」

考え込んで言いよどんだ所にきっぱりと言い放つと。急にまた真剣な目を向けてきた。

「違う、そんなんじゃない。俺は心配してるんだ・・・周りを拒絶して、教室でずっと浮いてるあいつが心配なんだ。」

拳を握り締めて、俺の目から視線を外そうとしない。そんな姿は俺の嫌な予測を確信に変える。だからといって、こいつが気に入ったわけではないが・・・むしろ余計に気に入らない。

「やっぱり浮いてんのか・・・。で、聞いてどうする気だ?」

「今は分かんねー、でも、いい方法が無いか探せればいいと思ってる。」

バカ正直のナイト気取り。過保護な俺に勝るとも劣らない、ムカつく朋花への想い。

でもそれ故に、こいつは絶対的に朋花の味方か。

一つ大きく溜息を吐いて、覚悟を決めた。

「分かった・・・話してやる。」


 ・・・・・・。


目の前の人物から語られた言葉に・・・予想よりきついその内容に、正直かなり驚いた。

「・・・そっか、だからか。」

俺はその話を聞きながら、プラモが組みあがっていくように、段々と朋花の態度と行動の理由を理解した。

人に迷惑をかないように距離を取ってる聡太の防御壁なんかとは規模が違う。完全に人間不信なんじゃないか? 俺の手に余るような問題の大きさに、いきなり手詰まりになりそうだ・・・だけど朋花は強い。きっと何か方法があると思う。

「一人で納得すんな、次はお前だ。さっさと話せ。」

乱暴な声に顔を上げると、上からの光で迫力を増した睨みを向けられていた。


 ・・・・・・。


「そんな事があったのか。」

家では暴れたものの、そんな様子は無かった。

似たような状況になるとパニックを起こすのか?それを助けてくれたのなら、こいつには感謝しなければならない・・・かなり癪だが。

「不本意だが・・・君等がいてくれてよかった・・・とは思う。」

「・・・友達だからな。」

ぎりぎりの礼に対するやつの態度が・・・ニッと笑うその無邪気さが更に癪に触る。

「調子に乗るな。」

苛ついてる心のままに、つい足元の小石を蹴り飛ばした。お互いに朋花が大事だという共通の理由はあるが、俺はこいつを好きにはなれない・・・こいつ?

「あ、そうだ、お前名前は?」

「あ?・・・言ってなかったっけ? 俺、安田航ってんだ。」

「安田か・・・俺は、石川和樹だ。」

「おう、朋花から聞いてる。」

やっぱりこいつ、ムカつく。

「・・・だから、呼び捨てにするな。で? 安田・・・今、朋花の元気が無い理由ってのは何だ?」

「ぅぐっ、あー、それは俺と・・・喧嘩中? だから・・・。」

今まであんなに、腹立たしいほどはっきり話していたやつが、いきなり気まずそうに目を逸らし、言いにくそうにし始めた。

「はぁっ? お前と喧嘩したくらいであんなになるか!?」

「・・・現になってんだから、仕方ねーだろ!?」

マジかよ・・・今、こいつの事が更に嫌いになった。

「俺もここんとこ話もできてねーから、仲直りもできねーし。」

「で、喧嘩の原因は?」

「・・・言いたくない。」

「ふーん、じゃぁ朋花に告白したってのはお前か?」

以前に朋花が言ってた事をはっきり言ってやると、明らかに動揺し、わざとらしくすっ呆けやがった。

「・・・な、何の事でしょう?」

やっぱりこいつ気に入らねぇっ!!


「・・・・・・。」の部分は、前編読んで下さい。

前半で手放さなければ、ここで朋花の転校の顛末を和樹に語らせたのに!!

って部分です。

何度も書くのもあれなので、きれいさっぱり割愛しております。

ご了承下さいませ。


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