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親友ともう一歩。  作者: 薄桜
後編
13/20

好きだからこそ

13話目です。

・・・ではどうぞ。

物足りない。

以前は平気で・・・一人で歩いていた事だってあるのに、今は何か寂しい。

学校までの道をぼんやり歩いていると、ついそんな事を考えてしまう。別に無理して友達作ろうなんて思って無いけど・・・って、こういう態度が駄目だったのかな? 全部否定するような人をバカにする態度が駄目なのかな? 考えてみれば酷いよね・・・段々私のそういう所が鼻につくようになって、キャンセルなんて事になったのかな?

考えれば考えるほど、段々自分が嫌いになっていく。

・・・嫌だな、こういうの。

数日前の自分なら、こんな性格に人間は侮蔑の対象で、嫌いだとばっさり切り捨てているだろう。でも今は自分がそんな人間になっている。それがとても腹立たしく、でもどうにもできずとても歯痒い。

しかし、だからと言って今考えてる事をすべて捨てて、結局何も変わらず元の自分に戻るのは絶対に嫌だ。



「朋ちゃん。」

航と一緒にいると逃げられるので、航に「お前は来るな!」と言い置いてやっと朋ちゃんを捕まえる事ができた。

久しぶりにまともに見た朋ちゃんは、目を伏せ視線を合わせようともせずオドオドしていた。元気で、勝気で、少々強引な、いつもの・・・僕の知っている朋ちゃんでは無かった事にかなりの衝撃を受けた。

「・・・聡太くん、何? ・・・航の話なら聞かないよ。」

顔を背けて頑なな態度を見せ、今僕が朋ちゃんの腕を掴んでなければ、確実に逃げ出しているだろう。

「とりあえず、僕と一緒に帰ろう。航は来ないから心配しなくていいよ。」

朋ちゃんは一瞬何かを考えたみたいだけど、首を縦に振ってくれた。

よかった。これで朋ちゃんの様子も探れる。



「何か変な感じ。この辺を二人で歩くなんて初めてなんじゃない?」

朋ちゃんはくすぐったそうに言って、細く笑った。

「僕も変な感じだ。もう何年も航と一緒だからな・・・あぁ、でも三人になって、最近はそれが当たり前になってきてたから、朋ちゃんと二人って、不思議な感じ。」

やたらと元気な航は病欠も無く、三人で行き帰りをするようになってから、欠けた事が無い。ただそれだけのつもりだったのだが、朋ちゃんの機嫌を損ねた。

「ひどっ、私じゃ不満?」

「そうじゃなくて・・・。」

話そうと思っている事をまだ何にも話して無いのにまずい。そう思って慌てたけれど、

「なーんてね。」

・・・見事にやられた。

「うん、それでこそ朋ちゃんだよ。」

「聡太くん?」

満足して笑い出した僕に、朋ちゃんは首をかしげている。

「だってさっきまでの朋ちゃんは別人だよ? 強気に何でも断言するのが朋ちゃんだよ。オドオドして逃げ回ってるのは、らしくない。」

「らしくないって・・・でも私、航にいっぱい酷い事言ったりしちゃったから、だからこうなっちゃったんだよ!? 謝っても今迄と何も変わらなかったら、きっとまた同じ事するし、でも、そうしたくないからどうにかしなきゃいけないのは分かってるけど・・・どうすればいいのか分かんないんだもん・・・。」

さっき、少しだけ笑顔に戻った顔は再び凍りついて、今は感情的に内面を晒して・・・最後はもう泣いていた。

これ航に言ったらきっと首絞められるな。俺の朋花を泣かすな!って、でも、そんな想いは見事に伝わってなくて・・・だから、今朋ちゃんは泣いている。

・・・って事は、結局泣かせてるのは航だな。

やっぱり、掛け違ってるボタンを見つけてしまった僕が、それをちゃんと指摘してやるべきなんだろうな。

本人達が自分で直せるように、気付かせてやるくらいは部外者がやっても問題ないよね? 美晴さんとのやり取りを頭に思い浮かべ、自分に言い訳をした。大丈夫、このくらいなら裏目に出る事も、でしゃばったわけでもない・・・きっと。

「朋ちゃん・・・航には僕以上のからかい方するよね? 好きな子にちょっかいかけたい気持ちは分からなくもないけど、そんなに落ち込むんなら程々にしとこうよ。」

「・・・なっ!?」

急に真っ赤になって足を止めてしまった朋ちゃんの姿が、予想通りでおかしくて、安心して、笑いが堪えきれなかった。

「何で知ってるの!?」

「バレバレ。そのくらい見てたら分かるよ。でもさ、ちょっかい出すより口で伝えた方が賢明だと思うな。航はバカだから、そういうのはっきり言わないと気付かないよ?」

「・・・そ、聡太くんにそんな事言われると思わなかった。仕返しのつもり?」

驚いた後はいかにも心外そうな様子で、涙を手でぬぐった。

あぁそうか、確かに以前の仕返しみたいだなこれ。

その時も学校の帰り道で、二人だけで、朋ちゃんに葵姉の事を言い当てられた。それと似たような状況だけど今の立場は逆だ。

「人の事なら言えるよ。」

「・・・聡太くんも頑張ったら?」

朋ちゃんも同じ事を思ってたらしく、一矢報いようとしてきたので、僕は曖昧な笑みを浮かべるしか無かった。

「それは別の話。」


あれ? ここ短い。

毎度ながらサブタイトル、悩みます。


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