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親友ともう一歩。  作者: 薄桜
後編
12/20

関係者の焦燥

12話目です。

・・・ではどうぞ。


今朝もやっぱり二人だった。

聡太に昨日皆川ちゃんのとこに行った事を話した。もちろん、聡太に関係しそうな所は微妙にぼかして話したんだが、聡太は何も聞かずに頷いた。・・・あれ? ひょっとしてばれてるのか?

・・・とにかく、ああいう状況になると朋花はパニックを起こす。きっとそれは前の学校に原因があって、それを知りたい。でも皆川ちゃんは教えてくれなかった。俺もそれをきちんと知るまでは、朋花と真正面から向き合う事ができない・・・できないのは朋花の方なんだが・・・もちろん俺は何でもOKだ。でも、朋花に後ろめたい思いをさせたままってのは何か嫌だ。

・・・と、真剣に語ったつもりだったんだが、聡太は笑った。

あれ? 俺何かおかしな事言ったか???

「こっちの事。航、頑張れ。」

そうエールを送られただけだった。当てにすんなって事か?



学校が終わって朋花はあっという間にいなくなり、聡太も用事ができたと言ってさっさと消えてしまった。

俺はと言えば、その後運悪く皆川ちゃんに捕まり、数学の時間に寝てた事の小言を聞かされて・・・ようやく帰り始めた時には、既に空にはオレンジ色が混じっていた。

一人でトボトボと歩き、もう少しで家につくって辺りで自転車とぶつかりそうになった。ここまでついてないのか俺!?

「ごめんっ! 大丈夫かい?」

「いや、こっちこそあんま前見て無かっ・・・。」

そう、まぁ確かに下ばっか見て前見てなかった。

よく見ると見覚えがあって、聞き覚えもある声で・・・

「あーっ、朋花の兄ちゃん!?」

大声を出すと、向こうも気付いたらしく。

「あぁ妹の友達か? ・・・君、あんまり妹の事呼び捨てにしないでくれるかな・・・?」

先程の心配した様子からは表情と声が一変し、引きつった顔で睨んでくる。

「・・・じゃ、朋花・・・さんのお兄さん、俺はこれで。」

怖い顔する危ない人から一刻も早く離れようと・・・以前、妹に路上で蹴り倒された姿はそうそう忘れられるものじゃない。その原因が妹を尾行ってんだから、相当に怪しい。いくら好きな子の兄でも・・・いや、だからか?

俺、本能的に避けようとしてんのかな・・・

何か言ってたような気がしたけど、振り返りもせず走って逃げた。



どうも最近妹の元気が無い。無意味に絡んできて悪態をつく事も、話しかけると3倍返し位の非難も・・・一時は10倍ぐらいあったのが減ったのは、有り難かったんだが、それが今は気のない返事や無言に変わってしまった。

「なぁ、朋花・・・大丈夫か?」

「・・・別に。」

何が別に!? なぁ、お兄ちゃんとっても気にして、心配してんだぞ???

「何かあったんじゃないのか? 学校は楽しいか?」

「・・・それなり。私もう部屋戻る。」

結局ものすごい低いテンションのまま逃げられて、一人やきもきする俺が廊下に残される・・・と。ここ数日はいつもこのパターンだ。

・・・あいつ何か知ってねーかな?

今日ぶつかりそうになった、妹を呼び捨てにする無礼でムカつくヤツを思い浮かべた。



「昨日さ、あの朋花の兄ちゃんにあったぞ。」

「はっ?どこで?」

驚く聡太を横目に、俺はすぐ手前の角を指差した。

「そこ、そこの角で自転車の兄ちゃんとぶつかりそうになった。」

「で?」

「あ? 朋花の兄ちゃんって叫んだら、妹呼び捨てにすんなって怒られた。」

「そうじゃなくて・・・。転校する前の事は聞いてないのか?」

そっか、その手があったか・・・俺は咄嗟に逃げる事しか考えてなかった。

「聞いてない。・・・そうだよな、絶対知ってるよな、そういや。」

「次会えたら聞いてみろ。素直に教えてもらえるかは分からないけど、朋ちゃんの態度が学校と同じなら、向こうも理由知りたいんじゃないか?」

・・・交換条件ってやつか。

「そううまくいくかなぁ? 怒らせた理由話すと、怒られそうな気がすんだけと?」

呼び捨てにするくらいで睨んでくるんだ。泣かせたのが知れたら、シメられそうな気がする。

「そこは、航の腕の見せ所。バカ正直だけが手段じゃないぞ。美術室の一件でもいいんじゃないか?」

「そっか、それならいけるな。うっしゃ、会えたらやってみる。」


昨日と同じくらいの時間に、同じ場所で待ってみたけど、朋花の兄ちゃんとは出会えなかった。

そして、この何もできない状態の、もやもやした状態のまま土日の休みを過ごす事になった・・・。

ここの話から、聡太くん分岐始まります。

最初の前書きや、活動報告に書いた「おまけ」です。

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