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親友ともう一歩。  作者: 薄桜
後編
11/20

部外者の焦燥

11話目です。

・・・ではどうぞ。

帰りも朋ちゃんは姿を消した。そして航は上の空だった。これで本当に丸く収まるのか?僕には美晴さんの考えてる事が、さっぱり分からない。

「理佐、頼みがあるんだけど。」

家に帰って、携帯片手にソファに転がっていた妹にそう言った。

「お兄ちゃんが私に?・・・一体何?」

妹は僕を不思議そうに眺めてきた。・・・確かに僕でも同じ反応を返すだろう。昨日の妹の行動に僕も同じように戸惑った。

「美晴さんにメールして欲しいんだけど。」

「・・・何て?」

「僕にできることないかって。」

「航兄ちゃんの事?」

「そう。」

「それってさー、きっと長くなるよね? 美晴さんのアドレス教えるから、自分のでやりなよ。」

拒絶だな・・・兄に付き合うのはそんなに嫌なのか? でも妹の提案には乗れない。

「・・・それは、あの人にアドレス知られるのは、何か嫌だ。」

「失礼だな~、ひど~い。」

「・・・理佐は、あの人の恐ろしさを知らないんだよ。」

「お兄ちゃんこそ、あの人の事何も知らないんだよ!」

もの凄い速さで反論され、少し睨み合う事になったが、それでも妹は仕方ないといった様子で、僕に携帯を渡してきた、

「好きに使って。」

そう言って妹は反対側の床に座り込み、柔軟体操を始めた。

・・・これは最近の日課らしい。


----------------------------------

To 美晴さん

Sb 教えて下さい


航達の事なんですが、本当に僕にでき

る事ないんですか?

----------------------------------


少しして返事が返ってきた。


----------------------------------

From 美晴さん

Sb Re.教えて下さい


聡太くん?

できる事っていうか、手を出しちゃ駄

目だよ?間に挟まれて大変かもしれな

いけど、それは当人同士の問題!部外

者が勝手に首突っ込んじゃ駄目。

----------------------------------


----------------------------------

To 美晴さん

Sb Re.Re.教えて下さい


そういわれても、行き違い起こしてる

だけみたいだから、周りから働きかけ

ればまとまらないかなって思うんです

が?

----------------------------------


返事を待ってると急に携帯が鳴った。妹がこっちを気にしたが、表示された名前は美晴さんなのでそのまま何も言わず勝手に出た。

『聡太くん。直接話そう・・・文字打つのが面倒になった。』

「はぁ、」

『あのね、とにかく駄目なの。喧嘩は思いっきりやっとく方がいいの。』

その声はいい含めるようで、自信にあふれた説得力があり驚いた。

「でも、喧嘩にもなってませんよ? 朋ちゃん逃げちゃうし、航は捕まえられないしで、話なんかしてませんよ?」

『でもじゃない、それは聡太くんが部外者だから分からないだけ。聡太くんなら喧嘩したくない人と喧嘩しちゃって、でも理由が分からなかったらどうする?』

「そりゃ、何が悪かったのか考えますよ。」

『うん。じゃぁ、逆に怒らせる気がないのに怒らせちゃって、逃げる相手を無理やり捕まえてでも謝る?』

「・・・それも違うかな、」

『ほら、そういう事。いくら航だって何か考えてるよ。それに、ズレがあったなら、それは早いうちに修正した方がいい。自分達で気付いて、自分達でどうにかするのが一番いいの、分かる?」

「・・・理屈としては。」

『そう、理屈なんだ。変な見栄で誤魔化したり、人任せにして終わった気になってると、結局ズレはそのまんま広がって取り返しのつかない事になるんだよ。だからそんな時には真剣に向き合っとくべきなの。きっと・・・。』

「きっと? 最後あやふやですね?」

『理屈だって言ったろ? 理想って置き換えでもっていいけど。・・・そもそも私に相談するのが間違いなんだ。』

「そうなんですか?」

『そうだよ。理屈ならいくらでもこねるけど、私、経験からは何も語れないよ?』

「でも、自信に満ちた答えが返ってくるから結構安心感ありますよ。」

『・・・そう? 役に立つならいいんだけどね。』


僕の負けらしい。

妹の言う事は一理ある。確かに僕は美晴さんの事を何も知らなかったらしい・・・人事なのに、ここまで真面目に考え、真摯に答えてくれた事は驚きだった。

いや、距離を置きたい人物に相談してる時点で、既に負けているような気がする。弟の事を姉に・・・というのも酷な気がするし、だからといって他に相談するような人物に心当たりが無いというのが正直な話だ。

電話を終え、液晶部分を軽く拭いてから礼を添えて携帯を理佐に返すと、即刻その場で丹念に拭かれた。

「やっぱりアドレスと番号渡す。お兄ちゃんの携帯貸して。」

何か携帯を操作しながら左手を僕の方へ伸ばしてくる。

・・・さっきの行動といい、今の迷惑そうに眉をしかめてる姿はかなり傷つく。それでもポケットから携帯を出して渡すと僕の携帯も操作し、両方の赤外線ポートを合わせた。

でも、美晴さんに僕のアドレスを知られる事は、今はそんなに嫌じゃない。

私の書く妹キャラが強いのは、きっとうちの子供たちのせいです。

私の書く男の子が弱いのも、きっとうちの子供たちのせいです。

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