表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Miracle Sound 【本編】  作者: 柏田 華蓮
第5章 ほんねとたてまえ
54/73

心ん中と表面上の自分01 side Len

お久しぶりです。

かなり短いですが、Lenサイドプロローグということで。



「なぁーLen。番組収録中ってなに考えてる?」

「え?」


それはイオがテレビに出始めて、ようやく世間にもイオの顔が認識され始めた頃。


「例えば~…」

「歌う事しか頭にない」

「やっぱまじめだな~…」


珍しく間延びしたイオの言葉に、俺は読みかけの雑誌を閉じて面と向き合って言った。


「じゃないと聴いてる人に失礼だし、自分が納得しないだろ?」


俺が眉間にしわを集めて言うとイオは納得したように頷いた。


一応、歌に関してはストイックな自分と自由に絡みあうイオの音楽が、歌うことを離れた最近になってやっと好きだと思えるようになってきた。


「俺はさ、」


思いに浸っていた俺とは逆に、今度はイオが眉間にしわを寄せて言葉をつむぎ始めた。


「たった一人に聞いてもらえたら、自分の音楽としては満足なんだよね。…って言ってもわがまま…なんだろうけど」


俯きがちな顔は少し疲れたように見えて、きっと俺とは違う仕事を今、一生懸命覚えている最中なのだろう。


聞くところによると最近では、海外のアーティストのプロデュースも手がけるようになって来て、プライベートの時間がとれずに、癒しとなる彼女と会う時間すらないのかもしれないと思った。


ただ、


「たった一人に…ね」


俺は、この仕事を始めてからそんなこと考えたこともなくて、ただ自分が気持ちよく歌えたら良いとか、究極の音楽を生み出したいとしか考えてなった。


「それは自分の歌をたった一人のために歌うってことか?」


考えればすぐ答えは出るはずなのに、俺は当たり前な質問をイオに投げかけていた。


「そうだよ? 俺はLenのように“万人のために歌う”ってことに慣れてないから、歌番とかに出るといつもどうやったらいいか戸惑うんだよね」


それなら彼女のために歌いたいし、と半ば呆れそうな答えが返ってきた。


彼女のため、オウム返しのように俺が呟くとイオは縦に激しく首を振っていた。


彼女と俺が声に出して思い浮かんだのは、やっぱり果琳だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまけページ
キラリ。

お気に召していただけたら、ポチりをお願いします。
cont_access.php?citi_cont_id=672012870&s
【恋愛遊牧民R+】
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ