ただ隣にいること03 side 果琳
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『だいたい、果琳が俺のシャツ、放さないから、こうなった』
「う…っ」
Len…いや、蓮…、奏太さんがどうしてあたしの膝枕で寝ていたのか、理由を追及していくと、彼ははっきりと口にして言った。
それはまるで年に合わず、少し幼くなったような言葉を選んでいる。
やっぱり彼の手話は拙くて、言葉の途中途中で「あー」とか「えー」とか思い出しながら、その手を動かしていく。
でも、習い始めたのが最近とは思えないほど、彼の手の動きは滑らかで、50音の手の形が多いけれど、50音全部を既にマスターしているのが、とてもすごいとあたしは思った。
ただ手話で彼に指摘されて、読唇しなくても直に意味が伝わる分、余計に罪悪感が募るのだけれど…。
「ごめん…なさい」
人ひとり分の距離をソファーの上でとり、互いに見合った体勢で謝罪を述べた。
その時はなぜか、目を見つめたまま彼に謝ったのだけど、奏太さんは1人で笑いをこらえているように見えた。
「てか、なんで、笑ってるの?」
「かわいいなーって思って」
彼の声は聞こえはしないけれど、いつもゆっくり話していくれるから、言葉を読み取りやすい。
「意味、分かんない」
「うん。俺も」
あたしが愚痴をこぼすとなぜか奏太さんもそれに同意する。
なんであなたが笑って意味が分からないって言うのか、全然理解できない。
「なんで、果琳に構いたいんだろう?」
「それをあたしに聞かれても困ります…」
「1つ分かってるのは、果琳だけ本当に特別って事だけだなー」
「本当に、特別?」
呑気に軽そうに動いていく言葉は何かあたしの知らない奏太さんの裏を示しているのか?
窓に向けられた彼の瞳の奥は、ゆったりと揺らめいた。
「俺ね、女って部類が嫌いなんだ」
急に紡がれる言霊は、あたしに分かるように動く。
それはとても憎しみを含んでいるように彼のオーラ――みたいな雰囲気――が黒く圧し掛かってきた。
反対にその口元は、注目しなければ分からないほど、かすかに震えていた。
奏太さんから目が離せない反面、あたしは1人頭の中で別の事を考えていた。
だって、あたしが置かれている状況がどうなってるか分からないのに、今彼のプライベートと呼べる時に彼の心の奥を覗いてもいいのか分からなかったから。
あたしは女だよね?
なら、あたしは何のために呼ばれたの?
あたしはどうして彼に会っているの?
あたしと奏太さんの関係って何?
浮かんでくる疑問は絶えず頭を占める。
「ちょ、…ちょっと、待って、ください」
頭の中を整理しきれなくなって、あたしは彼にたんまをかけた。
「あたし、女…ですよね?」
傍から聞けば、何というか…
虚しい質問が空に消えた気がした。
なんか、無理やり進めてる感が否めない…orz




