彩りピース09 side Len
真実は突然訪れる。
心の準備ができもせずにいる俺を押しつぶすように。
目の前にほら、また。
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ベッドに潜りこんでから、自然と目が今日も覚めた。
目を開いて、カーテンを閉めていなかった窓から光が差し込んでいる。
その光を目にいっぱいとりこんで、俺は半身に力を入れて起き上がった。
『今日の関東地方は全体的に晴れでしょう。南からの風により……』
田原さんが昨日、短い時間で唯一片づけてくれたダイニングテーブルに、朝食の準備をしながらトーストが出来るまでぼーっとテレビを眺める。
(今日は朝食を食べてから掃除…だな)
と頭の中で予定を組み立てると、ちょうどいいくらいでトーストが焼きあがった。
トーストをかじりながら、リビングの現状を見てため息をつく。
先ほどとってきた新聞に目を向けると、新聞入れに手紙の束が目に入った。
ズキリ……
その手紙の束を見た瞬間、何か予感がして頭の中に痛みが走った。
「なんで……」
今更出てくるのか、そう思うと、そう言えば昨日めちゃくちゃにした時に、こいつが入った引き出しを投げ飛ばした事に気がついた。
そして、それを見つけた田原さんがご丁寧にも新聞入れにしている所に入れておいてくれたんだと気がついた。
触りたくない過去。
誰もが持っているはずだ。
でも禍々しいと思っていた過去に決別をするためではないけれど、自然とその手紙の束に手が伸びていた。
8年ぶりに見る、母親の字だ。
8年たった今も変わらずに書かれてある、『永井 悟様』の字が手元に残っていた。
(『永井』…?)
なぜかそこに書かれた名字に引っかかりを覚えると、8年前には無かった信じられない自分の行動が、今起きようとしている。
束ねられている紐をハサミでカットすると、拘束を緩められて今まで見えなかった紙の洪水が、テーブルの上に雪崩を起こしていた。
「なんだ? この量…」
自分で絶った拘束の果てに見つけた新たな真実。
そこに広がったのは、『永井 悟様』よりも数を増やした、『奏太へ』と書かれた、初めて見る切手も張られていない、俺宛の母からの手紙だった。




