線引きの内側02 side Len
自分のタッチパネル式の携帯で教えてもらった住所を検索をして、だいたいの目印を確認してから車を発進させた。
助手席には眠り姫。
駐車場に着くまでに、手が痺れて落とさないか不安だったが果琳は一切起きる気配が無かった。
目印の地点を過ぎるとそれから車を徐行させて、あらかじめ聞いていた特徴の家を探し始めた。
アイボリーとレンガ造りの門構え一軒家。
それが彼女が東京に引っ越してきてからの家だという。
彼女が「目覚める」前、俺はすでに彼女の両親が離婚調停に入っている事を聞いていた。
親権は母親に渡った事も聞いて知っていた。
ただ、彼女が東京に出てくるとは聞いていなくて、ちょっとした話によると俺が事務所の社長にスカウトされて、上京してきた頃と一緒の時期だと逆算していた。
「NIYAMA」と筆記体でデザインされたネームプレートを見つけると、車を路肩に止めた。
俺は自分の愛車を降りると助手席の方へ回った。
しかし閑静な住宅街に昼間から白くキラ光るフェラーリが一台、違和感を醸し出して存在していた。
自分の車だからなんとなく、内心複雑なのは否めないが、果琳を放って置く事もできないので万を持してインターホンを押す。
ドアホン越しに新山さんの声が聞こえた。
会うのは事故以来。
8年振りになる。
今日はちょっとこのくらいで勘弁して下さい!><泣