殲滅完了しない…………
賢一たちは、背後で戦っていた仲間たちを、狙撃で援護していた。
「次は…………お前だ」
バンッと大きな音が鳴り響くたびに、賢一の右肩に大きな衝撃が伝わる。
九九式狙撃銃による射撃で、メイスーを狙っていたスピットゲローが、屋上から落下してくる。
「おわっ! こっちも来たぜ? スカルヘッドが、二体もだっ! デブ野郎も来やがったっ!」
「今度は何?」
焦りまくるダニエルは、トンプソンを左右に振り回しながら連射して、サイドステップしまくる。
慌てる彼の声に反応して、エリーゼは振り向きざまに、M700から、ライフル弾を撃つ。
「グガッ? カアーーー!」
「ガア~~~~~!?」
「ヴルオオオオオオォォッ!!」
右側の骸骨頭は、腹に穴が開いて、真っ赤な血液を垂らすも、レーザー照射で反撃してきた。
左側の骸骨頭も、両目からビームを放って、自動車を攻撃してくる。
真ん中のファットゲローは、咆哮を上げると、口から強酸を大量に吐き散らした。
道路が緑色に染まる中、さらに左右の建物から、ゾンビ達がノロノロと歩いてくる。
「不味いな? 今度は全力で相手してやるぜっ! 銃弾を惜しみなく使わせてもらうっ!」
九九式狙撃銃を背中に回した賢一は、レーザー照射や強酸を避けるべく、自動車の裏側に走った。
そこで、ボルトを引いて、右側の骸骨頭をスコープではなく、照準を合わせて狙撃する。
「グへエッ!?」
胸部を撃たれた骸骨頭は、怯んでしまい、レーザーを放出するのを中断した。
「怯んでいる暇は無いぞっ! 次は、小口径弾を喰らえっ!! 即座に殲滅だっ!」
「ガ、カアーーーー!」
「グガ~~~~!?」
「グルアアアアアアーー」
AR15を撃ちまくる賢一に対して、左右から赤いビーム&レーザーが放たれる。
しかも、中央からは強酸が弧を描いて、すごい勢いで、吐き飛ばされた。
「うわっ! コイツら、凄い攻撃だっ! 頭に運良く当てない限り、倒すのは無理そうだなっ! ん? 他の二人は?」
自動車の陰に身を隠す、賢一は人間を相手しているように、ゾンビ達による射撃に苦戦する。
そして、彼は仲間たちの姿が見えない事に気がついて、辺りを見渡す。
「はあ? アイツら、何処に行ったんだ? 手榴弾も無いのにっ!」
賢一は、ポケットや弾帯を調べていると、エリーゼとダニエル達が、消えたことに気がついた。
その間、自動車からは焼け焦げた音と、鼻を刺激する臭いが漂う。
レーザー攻撃と強酸が、鉄板を焼き溶かして、赤と緑に染めたのだ。
しかも、作業員ゾンビや女性会社員ゾンビ達が、自動車に回り込んで来ようとする。
「ギャアーーーー!! グワッ!」
「グルルッ!! グゲェ…………」
「うわわっ! 次はザコかっ! このっ! このっ! アイツら、逃げたとは思わないが? 何処に隠れた?」
十四年式拳銃とCF98を、両手に持ちながら、迫るゾンビ達を、賢一は迎えうつ。
「グオオオオオオ」
「カアーーーー!!」
「ガア~~!?」
「お前ら、うるさいんだよっ!! 俺の弾丸を喰らえっ!」
賢一が遮蔽物にしている自動車を狙い、ファットゲローは、ゲロを撒き散らしながら歩いてくる。
奴は、もう少し近づいてから、強酸を吐き飛ばす積もりのようだ。
骸骨頭も、レーザーを照射しようとした瞬間、ダニエルが建物の中からトンプソンを撃ちまくった。
その結果、右側に立っていた奴が、体中を攻撃されて、怯んでしまう。
「ダニエル、良くやったっ! 援護するっ!」
「ギャアアアアーー!! グヘ?」
「グルアッ!?」
「ガ? ガアーーーー!」
「賢一、レーザー野郎を頼むっ! 狙い撃ちしてくれっ!」
賢一は、十四年式拳銃を握りしめ、防弾悪漢ゾンビと白人兵士ゾンビ達を射殺する。
それから、すぐに銃口を右側の骸骨頭に向けて、とにかく拳銃弾を浴びせた。
撃たれながら、怯んでしまった奴に向かって、ダニエルは走っていき、背後を取った。
そして、トンプソンの銃床で思いっきり殴ると、首を羽交い締めにした。
「ガアーーーー!!」
「グオオッ!!」
「ガ、カ、カアーーーー!!」
「おりゃあ」
左側の骸骨頭は、賢一に対して、両目からビームを何回も放ち、窓ガラスを割る。
ファットゲローは、両手で垂れ下がる腸を持ち上げ、毒血を噴射しようと、腰を低く身構えた。
ダニエルに横から奇襲された右側の奴は、羽交い締めにされたまま、口からレーザーを放った。
それで、向かいの建物を焼き上げながら、黒焦げ跡を作っていく。
「このまま、お前らも攻撃してやるっ!」
「カアーー! ガアーー!」
ダニエルは、そのまま骸骨頭を激しく揺さぶって、ファットゲローに狙いを定めた。
そのため、口から放出される血流レーザーが、頭を横から照射した。
「ゥアアアアーーーー!!」
「カアーーーーー!」
「ガアーー!?」
「よし、もう良いぜっ! 後は盾になれっ!」
ファットゲローが咆哮を上げながら怒り、左側の骸骨頭は、ダニエルに血流レーザーを向ける。
しかし、彼は右側の奴を肉盾にしているため、熱ダメージを受けずに済んだ。
「ダニエル、良くやったぞっ! オラ、オラ、オラ、コノヤローー!」
「ヴルアアアアッ!?」
「ああっ! 後は死んでくれや、屑やろうっ!」
「ギャアーーーー!!」
「私も忘れないでね? 撃つわよ」
「ギャア、ギャ、グベエーーーー!」
AR15で、ファットゲローの腹や胸などを狙った賢一は、連続射撃で腸にダメージを与える。
羽交い締めにしている骸骨頭の首に、ダニエルは右手で引き抜いた、ボロナイフをブッ刺した。
さらに、右側にある建物の二階からエリーゼは、スカンジウムで、もう一体を攻撃する。
そして、窓から飛び降りながら、ハチェットを頭上に掲げて、振り下ろした。
「グベベ…………」
「終わったわ、後はコイツだけ…………」
「ヴアア?」
骸骨頭を倒したエリーゼは、残るファットゲローを睨み、踵を返して建物の方へと逃げていった。
当然、奴は彼女を追って、巨体を揺らしながら、ドシドシと足音を立てつつ歩く。
「殺られるかっ! 次いでに、一発だっ!」
「グアアーー! グエア? オ…………」
ファットゲローに、単発連射を繰り返しながら、AR15を構えて、賢一は近づいていく。
攻撃に反応して、振り向いた奴は、強酸を滝のように吐こうと、口を大きく開いた。
だが、薄まった強酸の上を、彼は素早く走り、九九式狙撃銃を突きだした。
その先端に装着された、ゴボウ銃剣が口内を貫き、刃身が後頭部を貫いてしまった。
最後に、ボルトが引かれて、ライフル弾が発射されると、後頭部から大量の髄液が吹きでた。
「うわっと? 危なっ! 終わりか?」
ドタッと音を立て、自ら吐いた緑色のゲロに、ファットゲローは倒れてしまった。
「オラオラ、斬りまくってやるぜっ!」
「ガ、ギ? グエ」
「フッ! …………終わりよ」
「ギャィィ~~」
ダニエルは、一気にジャンプして、会社員ゾンビの首を、ボロナイフで袈裟斬りにする。
大工ゾンビの腹を、マチェットで何度も抉り、エリーゼは止めを刺した。
「これで、全滅させたか? 後ろの連中は?」
賢一は、ファットゲローの頭を蹴っ飛ばしたあと、後ろに振り向く。
「弾切れだわ? ふぅ~~終わった、終わった」
「やっと、殲滅させましたね…………」
「ああ、だが? どうする? もう、車は使えない?」
M4カービンを下げて、モイラは路上に横たわるスピットゲローの死体を見下ろす。
疲れはてて、呆然とするメイスーは、右手のヌンチャクを仕舞おうとする。
ジャンは、傾いたピックアップと破壊された残骸を見ながら、険しい顔になる。
彼らは、無事な車両に近づいて行ったが、収納ボックスだけは、奇跡的に無傷で残っていた。




