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豪邸での睨み合い


 塀の上から、白人生存者や黒人警備員たちが、上半身だけを出して、こちらに銃を構えている。


 そこに、護衛を連れた初老の黒人男性が現れると、笑顔で話し始めた。



「銃を下ろしたまえ、この人数では勝てないだろう? 他に仲間でも居るのかな?」


「仲間は殺されたっ! 射撃場の連中に撃たれたんだっ! 奴らは、老人や子供たちまで狙ったぞ」


 黒人男性は、賢一たちを前にしても、堂々としており、にこやかな笑み浮かべる。



「お前ら、射撃場で助けを求めた連中を撃ってただろう? そっちに撃たれた奴だって、こっちに居るんだぞっ!」


「射撃場か…………確かに、色々なギャングや私兵部隊が、射撃場の武器弾薬を狙っていた」


 賢一は、黒人男性を全然信用しないで、対峙するしかないが、相手は穏やかな口調で語る。



「ふぅ…………最後は、アジア系のギャングか? ゾンビが撃たれたと聞いているが? 彼らのことだからな? どうせ、一般人を狙ったんだろう」


 黒人男性は、目を瞑りながら首を横に振って、ため息を吐きながら話した。



「なあ? アジア系ってのは、資産家のチャンか? その右腕のリーか? 竹細工職人のサカタか? いや、整備工場のユンか? パン屋のライか?」


 人質に取られているリカルドは、とにかく早口で適当な名前を上げていく。



「…………ユンだ? 肩を撃たれたが」


「整備士じゃなくて、事務所の職員だろう? 故障した時とかは、あそこで世話になっていたからなっ! エンジンやブレーキ系、それから車検は向こうの頼んでたし」


 賢一が反応すると、リカルドは知っていることを全て吐いて、自分とユンが知人であると語る。



「俺は、奴とは知り合いなんだよっ! アーサーさんも、知っているはずだっ!」


「ユンなら覚えている? 私の愛車を修理させたり、甥っ子の車を買うのも、手伝ってもらったからな」


「…………はあ」


「賢一、悪い人間じゃなさそうだわ? 取り敢えず、抵抗しても勝ち目はないわよ」


 リカルドとアーサー達は、ユンの知人であると分かると、賢一は真っ赤な顔を蒼くさせた。


 疲れきった彼の表情を見ながら、エリーゼは静かにMP28を下ろした。



「話しは終わったのか? 中に車を入れてもいいのか? 待ちくたびれたぜ~~」


「私たちも、入れて貰いたいです」


「いいだろう、ただし、武器は預からせてもらうが? それから、もう夕方に近くなる…………海でも眺めながら、一晩は泊まっていくといい」


 ピックアップの車内から、ダニエルが呟くと、左側にある車から、メイスーも不安気な表情で頼む。


 リカルドは、柔和な笑みを浮かべながら、彼らを歓迎したが、同時に彼の部下たちが動く。



「さあ、荷物検査だ」


「武器は、持ち込み禁止だ」


 武装解除に応じた彼らを、左右から白人警備員と黒人警備員たちが、衣服やズボンなどを探る。



「やれやれ、終わったねーー」


「本当に信用できるのだろうか?」


 両手を上げながら、モイラは大人しく、アジア系の生存者や白人警備員たちに、武器を取られる。


 ジャンは、眉間にシワを寄せて、黒人女性警備員と太平洋系の警備員たちに、道具を預ける。



 こうして、検査が終わると、開かれた正門からピックアップが駐車場に入っていく。


 それから、彼らは豪邸の正面玄関から、シャンデリアが明るく照らすホールに案内された。



「君たちを客人として迎えよう? 今夜は食事をともにしよう」


「その前に、無線機を取られたから、代わりに電話を使わせてくれないか? アンタらが本当に、ユンと知人なのか? 知りたいからな」


 アーサーは、シャンデリアの真下にくると、ゆっくりと両手を広げてみせた。


 そんな彼を前にして、疑り深くなっている賢一は、甘に連絡するために頼んでみた。



「無線機は、後で変えそう? 電話か? 部屋に案内するから、そこの固定電話を使いなさい…………後で、リカルドを行かせるから、それで誤解は解けるはずだ」


「なら? その前に、マリンブルー・パラダイス・ホテルに電話しろ? そこの甘と言う科学者と話せば、俺たちがチンピラじゃないと分かるはずだ」


 アーサーは、そう言いながら踵を返して、護衛を引き連れながら、自室に向かおうとした。


 その背中を眺めながら、賢一は連絡だけでもしてくれと呟き、彼を引き留めようとする。



「分かったが、今は休んでおいてくれ」


 それだけ言うと、アーサーは白人執事を呼んで、彼に用事を伝えようとした。



「レオナルド、頼む」


「畏まりました」


 アーサーから、ラテン系の壮年男性が呼ばれると、賢一たちは部屋にまで案内される。


 そこは、建物の一番左側にあり、男女三人ずつで、泊まることとなった。



「で? 豪華なスイートルームみたいだが? どうするよ? 俺は大人しくなんかしてられないぜっ!」


「だが、彼らの支持に従わないと、不味いだろう」


「…………ふぅ? 取り敢えず、屋根と寝床はあるな」


「ちょっと、男子たちぃーー? 騒がないでくれる」


 ダニエルは、ベッドに飛び乗りながら呟き、ジャンは壁に背中を預けながら話す。


 緊張感が切れたのか、賢一はぐったりとした表情で、天井を見つめ、モイラは彼らを注意する。



「でも、これで、今晩はまた豪華な食事を食べられますよ」


「だと言いけどね? それじゃ、私は疲れたから先に休ませて貰うわ…………ZZ」


 メイスーは、安全地帯で食事ができると思い、胸から息を吐き、エリーゼはベッドで眠ってしまう。



「眠ったか? 豪胆な女だぜ」


 そう呟きながら、賢一は窓から外の景色を眺めると、青い海と砂浜が見えた。



「はぁ…………」


 ゲンナリとした顔つきで、賢一は深いため息を吐きながら、裏庭の石畳を見つめる。



「ありゃ? 相当、頭にきてるな~~」


「殴られた事で、とうとう精神が参ったんだろう」


 ダニエルとジャン達は、窓辺に立っている賢一の背中を見ながら呟いた。



「さて、武器は取られたし、する事はないし、どうする?」


「うぅん? 取り敢えず、食事までは休んでおきましょう…………漁港の探索は明日にしましょう」


 モイラの問いに、メイスーは冷静に少しだけ考えこみ、すぐに返事をした。



「お前ら、無線機を返しに来たぞ? あと、さっきは話す機械もなかったが、ユンと連絡が取れた」


『整備工場で助けてくれた人たちだな? リカルドは友人だっ! 信用していい』


 無線機とスマホを、同時に取り出しながら、リカルドは元気なユンの声を聞かせた。



「ユン、無事にホテルまでは着いたんだな? そっちも休んでいろっ! 俺たちは、アーサーとか言う爺さんに助けられたから安心してくれ」


『ああ、そっちが無事なら良かったっ! アーサー氏は、とても穏やかな人だから安心してくれ…………彼は信用できるっ! あと、リカルドに変わってくれるか』


 賢一が、スマホを借りて、ユンと話し合って、互いに無事か確かめた。

 


「分かった、返すぞ」


「リカルドだ? で、他の連中は? ああ、あ? 待ってくれっ! ユンと話があるから出ていくぞ」


 賢一は、スマホをリカルドに返すと、彼は大きな声で話しながら、部屋から出ていった。



「慌ただしかったな」


 そう呟くと、賢一は無線機を握りしめ、今度は甘に連絡を取ろうとする。



「甘、電話から話しは聞いているか? ある場所で、一泊する事になった」


『賢一、話しは聞いている…………明日、ボートエンジンを持ってきてくれ? 第二チームはエンジニアを連れてきたからな? アーサー氏は区長だった人物だ、信頼はできるだろう』


 賢一は、甘と話し合いながら、背中を窓辺に預けて、天井の円形ライトを眺める。



「ああ、じゃあ、こっちは明日エンジンをピックアップで、載せてくるわ」


『頼んだぞ、君たちの活躍に期待がかかっているんだからな…………無線を切るぞ』


 賢一と甘たちは、もう互いに話すことがなくなったため、無線での会話を終わらせた。

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