レストラン前での戦闘
賢一たちは、取り敢えず、ピックアップに乗ろうとして、次なる場所を目指す。
「ダニエル、エリーゼの言うとおりだ…………ここに立っていても仕方がないっ! 行くぞっ! 射撃場はヤバそうだから素通りする」
「ああ、こっちも準備できてるから早く出してちょうだいっ!」
「安全運転で頼むぞ」
目標地点である漁港を目指して、賢一はピックアップを走らせると、工場の敷地内から出ていく。
Uターンする車上で、モイラは屋根に両肘を載せて呟き、ジャンは九九式軽機関銃を構える。
「あの邸宅を越えるぞ…………」
「ギャウッ! ギャウッ!」
「ウアアアア」
トラックの突っ込んだ邸宅左側を通りすぎる時に、賢一はチラ見した。
すると、邸宅裏側では死体に貪りつくゾンビ達が、こちらに気がついて、吠えてくる。
また、連中に噛まれて変化したのであろう白人女性ゾンビが騒ぎながら走ってくる。
しかし、ピックアップの速度には追い付けず、車両部隊は追撃を受けることなく逃げていった。
一向は、高級住宅街が並ぶ道路を通りぬけて、十字路にまで、やってきた。
「もうすぐ、橋が見えてくるっ! あそこを越えたら休もう?」
「ギュアアーーーー!!!!」
「グルア~~~~」
「オオオオオオオオッ!!」
十字路に差し掛かった時、賢一は真っ直ぐ進もうとしたが、ゾンビが叫ぶ声が聞こえた。
明らかに、大量のゾンビ達が近くで暴れていることが分かり、群れ迫っているように思えた。
「…………近くだ? だか、狙いは俺たちじゃない? あっちだっ! 誰かが獲物に定められたかっ!!」
「確かに、向こうから聞こえたわね?」
「戦いの準備をしないとなっ! 弾は、まだ残っている」
十字路から、右側に進んだ方向から、凄まじい叫び声が響いてくる。
賢一は、また厄介な出来事に巻き込まれると分かっていたが、それでも戦いに挑むしかない。
モイラも、マチェットを握りしめると、いつでも荷台から飛び降りられるように身構える。
九九式軽機関銃を、寄生が聞こえる方向に向けて、ジャンは真剣な顔つきになった。
「よし、ここだっ! ゾンビの群れはっ!! うわっ! 多すぎるっ!」
「でも、行くしかないわよっ!」
「援護するっ! 先に前に行けっ!」
「ゾンビの声を聞いたから、こっちまで着いてきたら、また戦いかよぉ~~」
「バカ言ってないで、行くわよ」
「ふぁっ!? また、あんなに数がっ!?」
再び十字路に来ると、そこでは右折した先から、右側のレストランに、ゾンビ達が群がっていた。
ピックアップを停めて、賢一は九九式狙撃銃を、構えながら突撃していく。
モイラも、マチェットを振るうべく、荷台からジャンプしながら群れに突っ込んでいった。
二人を援護するため、ジャンは九九式軽機関銃を撃ちまくり、ゾンビ集団を薙ぎ倒しまくる。
ボロナイフとトカレフを握りしめ、ダニエルは走りながら、撃ったり斬ったりを繰り返す。
MP18を連射しながら、エリーゼは走っていき、邪魔なゾンビはキックする。
彼らを援護するべく、メイスーはM1カービンを単発連射して、次々と敵を射殺した。
「グエッ! グオオ…………」
「ガギギッ!?」
「ググゲガッ! ゴガガ、ゴゴッ!」
「ウオオオオーー!!」
「レストランの中が不味いっ! 何匹か、入って行ったぞ」
銃弾を浴びて、ゾンビ&フレッシャーの群れは、数を減らすが、一向に止まる気配がない。
賢一が、ゴボウ銃剣で突き刺し、ストックで殴りながら薙ぎ倒してもだ。
焦る彼は、レストランの割れた窓に向かい、侵入しようと押し寄せる連中を、迎え討たんとする。
そこでも、九九式狙撃銃を振り回しては、アンデッドの猛攻を前に、一人果敢に挑む。
「不味いわっ! あっちに向かっていたんだね? なら、こっちも逆に前に出るよっ!」
「なんだ? 賢一の方に行くなら、俺が止めてやるぜっ!」
マチェットを振るうモイラは、ゾンビの頭を切り落とし、袈裟斬りを放ち、右足を跳ねる。
他の武器を握ったまま、ダニエルは髑髏指輪を嵌めた両手で、ゾンビ達を殴りまくりながら進む。
「お前ら、助かったっ! これで、中には入っていけないだろう? しかし、中の連中は無事だろうか…………」
「グア~~~~」
「ギャウオッ! グルル、ウウッ!」
賢一は、九九式狙撃銃を背中に回すと、十四年式拳を取り出し、一匹ずつ狙いながら発砲する。
それにより、三人の仲間たちによる攻撃を潜り抜けてきた連中を迎撃する。
彼の奮闘は、レストランからゾンビ達を遠ざけていくが、それでも後ろが気になってしまう。
二人の仲間たちも、援護射撃を加えているため、アンデッド集団は、段々と押されていく。
「賢一、レストランに行きな? ここは任せてくれて、大丈夫よっ!」
「この数は、厄介ね? 弾幕を張っても、くぐり抜けてくるわ…………」
「貫通してやがるなっ! このまま殲滅するんだっ!」
「ひぇぇ~~! やっぱり、グロいっ!?」
相変わらず、モイラのマチェットで、ゾンビ&フレッシャー達は、切り捨てられらる。
飛びかかろうとするジャンピンガーも、エリーゼに頭上から、ハチェットを振り下ろされる。
機銃掃射しまくるジャンの攻撃で、蠢く死者たちは、体を貫かれてることで、積み重なっていく。
メイスーの狙い撃ちで、機銃弾を避けてきた敵も、胸や腕などにダメージを受けて、沈黙する。
「みんな、ここは任せたぞっ! 俺は中を見てくるっ! 生存者が隠れているかも知れないからな」
もし、まだレストランの奥で、生きている人間たちが、建て込もっていたなら不味い。
そう考えた賢一は、すぐに彼らを救うべく、店内の開かれたドアを抜けて、探しにいった。
「助けに行かねーーとなっ! 誰か、誰か居な…………」
「来たかっ!?」
「この野郎っ!!」
裏口から、路地裏に出てしまった賢一を待ち構えていたのは、死体の山だった。
さらに、死角から現れた白人警備員が、M4カービンのストックで殴り、黒人警備員は蹴りを放つ。
「うぅ? な、何で…………俺は助けに?」
「コイツ、ゾンビじゃない…………ギャングか?」
「このまま殴り殺してやるっ!」
「止めろおっ!?」
地面に倒れる賢一に、さらなる追撃を喰らわせようと、白人警備員はM4カービンを振り上げる。
黒人警備員も、特殊警棒を腰から抜き取り、鬼の形相で、思いっきり右手を振るった。
トカレフを向けながら、ダニエルが走ってくると、連中は慌てて武器を捨てながら両手を上げた。
そして、背後から他の仲間たちも、ゾロゾロと開かれたドアから現れる。
「お前ら、助けてやったんだから礼くらいしろっとのっ!」
「礼だと、ギャングに礼をするくらいならっ!」
「お前たちのせいで、射撃場はメチャクチャに…………」
「不味い、この野郎、うりゃあっ! この、このっ! このおっ!」
トカレフを向けるダニエルに対して、白人警備員は、腰からコンバットナイフを引き抜いた。
しかし、それよりも彼のバックステップと、射撃が僅差で勝利した。
黒人警備員は、特殊警棒を賢一の右目に向かって、素早く突きき出してきた。
そこで、這い上がった彼は、足元に絡み付き、そのまま押し倒してしまった。
「うぐっ!?」
「がっ! あっ! ぐうあ…………」
胸の中心部を撃ち抜かれた白人警備員は、コンバットナイフを地面に落としながら倒れこんだ。
後頭部を、何度も地面に叩きつけられる黒人警備員は、やがては喋らなくなってしまった。
「助かったぜ? ダニエル、本当に危なかった…………お前が居なかったら、本当に不味かった」
「いいって、ことよ?」
「そんな事より、誰かしら? そこに隠れているのは? 出てきなさい」
「…………フ」
黒人警備員が死んだのを確認すると、賢一は疲れきった顔で、やつを睨みながら立ち上がる。
そして、ダニエルから差し出された手を掴んで、礼を言いながら、助けなきゃ良かったと思う。
その間に、モイラは狭い路地裏で、ゴミ箱に身を隠していた何者かを怒鳴った。
すると、ソイツは一気に走り出して、ここから逃げ出そうとした。




