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駐車場の戦闘


 コの字型をした建物は、青い屋根から、カンカンカンと金属音を鳴らす。


 ここは、テナントビルになっているらしく、二階建てで、色々な店舗や事務所が入っている。



 左側のレストランからは、フレッシャー達が我先にと、降り落ちてくる。


 右側のコインランドリーからも、ジャンピンガー達が、続々と飛び降りてきている。



 中央では、ゾンビ集団が店内へと入り込まないように、何人かの人間たちが立ち塞がる。



「グオオッ!?」


「ギャギャ~~~~」


「また、左右から来やがったか?」


「グルヤーー!」


「ギエエエエーー」


 東アジア系フレッシャーは、駐車場に飛び降りるとともに、立ち上がりながら走ってくる。


 それとともに、東南アジア系の女性フレッシャーは、まっすぐ突撃してきた。



 右からの強襲を受けて、賢一は自分を狙ってくる連中を引き付けようとする。



 アラブ系ジャンピンガーは、飛びかかってきて、地面をピョンピョンと跳ねながら接近してくる。


 ニューギニア系の女性ジャンピンガーも、勢いよく屋根から飛んできた。



「うわっ! 危なっ! 避けなきゃっ!」


「ギィーーーー!」


「グルルルルッ!」


「今、助けるわっ! こっちよ」


「銃が使えれば…………」


 賢一を追いかけながら、フレッシャー&ジャンピンガー達の群れは、寄生を上げる。


 彼が逃げた先では、金髪ロングヘアの白人女性警備員が、テーザガンを射った。



 白いYシャツの黒人は、スカンジウムを振り回し、グリップで、敵を叩こうとする。


 二人とも、正面左右から迫ってくるゾンビ集団を、何とか迎撃した。



「ギャギャギャギャッ!?」


「グアッ!」


 テーザガンを受けて、アラブ系フレッシャーは、感電しながら苦しむ。


 ニューギニア系ジャンピンガーも、ラリアットするように顔を叩かれたことで、よろけてしまう。



「助かったぜっ! ここから反撃だっ! うらあーー!」


「グヒ、キャッ!」


 正面から襲いかかるフレッシャーの体を掴むと、賢一は地面に投げ飛ばしてしまった。


 次いで、ゴボウ銃剣を眉間に差し込み、起き上がろうとする奴に止めを刺した。



「他の連中は? 大丈夫なのか?」


 賢一は、他の敵を狙うと同時に、仲間たちを救うべく、辺りを見回した。



「ギギガッ! グへーー!」


「うらっと、次はアンタだね?」


「ガガガガ~~~~!? ヒェ?」


「ウガアアアアッ!? グア…………」


「ガルルルルッ!! ガヒッ!?」


「ふんっ! 纏めて、かかってこい」


 モイラは、白人女性フレッシャーを蹴り倒しながら、首を袈裟斬りにする。


 次いで、白人フレッシャーが背後から襲いかかってきたため、顔面に裏拳を叩きこむ。



 白人フレッシャーと黒人ジャンピンガー達が、正面に回り込んだため、ジャンは堂々と待ち構える。


 そして、ある程度まで近付くと、ハリガンバーを二度も振り回しながら頭蓋骨を叩き割った。



「もう終わり見たいだな? 数は少なくなっているし…………」


 冷静に状況を見極め、賢一は敵が上手く倒され続けていると感じて、生存者たちを助けにいく。



「このっ! 近付かないでっ!」


「退くんだっ! 邪魔なんだよっ!」


 ミニボウを射ち、東南アジア系の女性生存者は、遠くから迫るゾンビ達を倒す。


 ポリスモデルを振るい、木製ストックで、東南アジア系の生存者は、黒人フレッシャーを殴る。



「もう終わりか? ラストシーンの活躍は要らなかったようだな?」


 以外にも、賢一が助けに入る間もなく、あっさりと戦闘は終わってしまった。



「生存者だな? どうして、ここが襲われたんだ?」


「分からない? 偶然、奴らに発見されたのかも知れない」


「群れが歩いているらしいから? それじゃないかしら?」


 さっき、コの字型をした建物正面を守るように戦っていた人物たちに、賢一は近付いていく。


 黒人生存者と白人女性の警備員たちは、武器を下ろして、彼と向き合う。



「俺は、賢一だ? こっちは海の方に向かうが? アンタ達はどうする?」


「ブライアン刑事だ、非番中に襲われてな? あと、いく宛はない」


「警備員のシャロンよっ! まだ、私たちの仲間が戻ってきてないの? だから、もう少し待つわ」


 二人を前に、ゴボウ銃剣の刀身に付着した血糊を振り払い、賢一は名前と目的を教えた。


 ブライアンとシャロン達は、太陽の光を受けて、眩しそうな顔をしながら答える。



「そうか? バリソードは強化しておくといい…………もう行くぜ」


「助けてくれて、ありがとうっ! 何も礼を出来なくて、すまない」


「ここが必要なら、いつでも戻ってきて」


 そう言って、賢一はバリケード側に向かって、ゆっくりと歩いていく。


 ブライアンとシャロン達が声をかけると、後ろに振り向いて、彼は手を振った。



「お前ら、派手に活躍したようだな? 俺は、ほとんど走ってるだけだったよ」


「ああ、もちろん派手に戦って、終わったわよ」


「俺の事なんかよりも、民間人は無事なようだな?」


 バリケードに近付く、賢一の前で、モイラとジャン達は呟きながら上に登る。



「ここの連中だが、助けてくれた礼に、いつでも来ていいとよ」


「うらっ! 死ね、死んだか?」

 

「この野郎っ! 二度と起き上がるんじゃないよ」


 賢一は、後ろに振り返り、ゾンビ達の死体を生存者たちが攻撃する様子を見た。


 今度こそ、物言わぬ骸と化した連中を、慎重に近付いて処理しようと言うワケだ。



 鯨骨でできた棍棒コチアトを両手で振り下ろしては、太平洋系の生存者は、死体を叩きまくる。


 同じく、ハチェットを振るって、ニューギニア系の女性生存者は、ゾンビから首を切り離す。



「ここは、もう大丈夫そうだな?」


「おい? 賢一、早くしてくれ? 車を出したいんだよ」


 駐車場のアチコチでは、死体が解体処理されており、生存者たちに被害はなかったようだ。


 辺りを観察する賢一に、バリケードの向こう側からダニエルが声をかけてきた。



「すまん、すまん、こっちも手間がかかったようだなっと?」


「ああ、中に入らないようにしていたからな」


「お陰で、武器が入手できたわ…………ま、格闘武器だけだけど」


「こっちのは、武器を持っているから強かったです」


 バリケードからピックアップの荷台に、賢一は飛び乗ると、謝りながら周りに倒れる死体を眺めた。


 ダニエルは、一仕事を終えたような疲れた顔で、運転席の中から呟く。



 ハチェットを肩に背負いながら、エリーゼも同じような表情で、どこか遠くを見つめていた。


 弓を背中に仕舞い、メイスーは誇らしげに語り、車上に立っていた。



 ツルハシ、マチェット、鉄パイプ槍などの武器が、ピックアップには積まれている。


 たぶん、三人が戦っていた敵は、ウォーリアーだったのだろうと推察できた。



「アンタ達、行くわよ? ここに用は無いからね?」


「分かったっ! さあ、出すようだぜ? 行くぞ」


 最前列のテクニカルから、デイネが左窓を開けて、叫ぶと車は走りだす。


 もちろん、その後に続いて、ダニエルが運転するピックアップも発進した。



「さあて、草むらからベトコンに射たれないように、気を付けないとな」


「ここは道路よ? 地獄の黙示録の川じゃないわ、虎も出ないから安心して」


 そう言いながら、賢一とモイラ達は、ピックアップに揺られつつ喋る。


 屋根に、腕を載せて冗談を呟きながらも、二人は警戒心を全く緩めなかった。



 彼らの車列は、ゾンビが居なくなった明るい日差しを浴びるコンクリート道路を進んでいく。


 キラキラと光る路面を見る暇なく、屋上や出窓から敵が出てこないかと、見張っているからだ。



 やがて、緊張感を持ったまま進んでいた一向の前に、開けた観光リゾートが見えてきた。


 ■ 武器説明。



 ⭕️ コチアト。



 鯨の骨を削って、作られた棍棒であり、マオリ族が使っていた。



 ⭕️ テーザーガン。



 二本の刺を回転させるように放ち、相手を怯ませる低致死性武器。


 これが当たった相手は、電撃により、激痛と筋肉麻痺を起こす。

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