駐車場の避難民
賢一は、朝早くから、ピックアップに乗ると、そこにはモイラも屋根に座っていた。
「おはよう、モイラ? ゾンビは出なかったようだな?」
「ええ、おはよーー! だけど、気は抜けないわよっ!」
賢一とモイラ達が乗るとともに、ピックアップは入口へと走りだす。
中型トラックは、すでに退かされており、テクニカルが走ってゆく後ろ姿が見える。
「運転手は、ジャンさ? 向こうはダニエルだね?」
「メイスーは、エリーゼと一緒か? なら、安心だな」
M1ガーランドを片手に、背中を座席部分に預けながら、モイラは後ろを走るピックアップを見た。
賢一も、AR15を片手にして、荷台に立ちながら、同じ方向をボンヤリと眺める。
「軽トラの連中も、着いて来てるな」
「それより後ろは、頼むわよっ! ゾンビやクズ連中を見張らないと成らないし」
後ろを向いたまま、無気力な顔の賢一が呟くと、モイラは前を向いて、建物の上部を眺めた。
ビルの上から、ジャンピンガー&ギャング等に奇襲されるかも知れないからだ。
四台の車両が、一列になって並びながら走っていくと、やはり敵が現れる。
ゾロゾロと歩くゾンビ達は、こちらの姿を見るなり、小走りしてくる。
「弾が、勿体ないからね? それに銃撃は敵を呼ぶからっ! おりゃっ!」
「ギギーー! ギギャッ!!」
「だな、喰らえっ!」
「グアア、グエッ!」
右側から、近づいてくるゾンビに対して、モイラは、M1ガーランドのストックで頭を殴る。
賢一も、ジャンピンガーが下から飛びかかってくると、顎を思いっきり蹴飛ばす。
「やあっ! 来ないでってば」
「うりゃ」
「グゲゲッ!! ガアッ!?」
前方では、立ちはだかる敵をテクニカルが、はね飛ばしたり、引き殺している様子が見えた。
後方では、メイスーが荷台に登ってきたフレッシャーの胸を、ヌンチャクで叩いた。
その隙に、ハチェットを横から振るい、エリーゼが首を切り落とす。
こうして、殺られた死体が捨てられると、最後尾を走る軽トラが踏み潰していく。
「ここからは、オフィス街から繁華街に入るね? 雑踏の中だから注意しないと」
「分かってるぜ、ブラックホークダウン見たいなもんだし、ここは荒野のウエスタンだからな」
赤や青、オレンジや緑色などの看板や垂れ幕が、建ち並ぶ、小さな店を彩る。
ここは、幾つかある商店街らしく、路肩にはバジャイやバイクも置いてあった。
「敵が来たぞっ! 銃撃はするなっ! 昨日みたいに、他の奴らまで集まってしまう」
「ギャギャギャ~~~~~~!?」
「ゲゲ、ゲゲゲゲーーーー!!!!」
「喰らえっ! 喰らえっ!」
何処からか、生存者らしき男性の声とともに、ゾンビ達が叫ぶようすが聞こえてきた。
また、女性の生存者も戦っているらしく、何かを投げている音が何回か響く。
「曲がるぞっ! 救助に向かうらしいっ!」
「どうやら、そのようだな? はあ、武器を用意するしかないな」
「助けに入るしか無いわねっ!」
ヴィラス達のテクニカルが、右側にある小さな雑貨屋を曲がっていく。
その後を追って、ジャンは荷台に立っている二人に声をかけながら、ピックアップを走らせる。
ゴボウ銃剣を抜き取り、賢一は騒々しい方に目を向けて、深く息を吸い込んだ。
モイラは、M1ガーランドを床に置くと、マチェットを抜き取る準備をした。
「ギャアアアア~~~~」
「グアアーーーー!!」
「反撃しろっ! バリケードを越えて来やがるっ!」
「今、行くわっ! 殲滅するのよっ!」
T字路を曲がった一行は、路上を走るフレッシャー達の群れを見かける。
その中には、ゾンビやジャンピンガー達も混ざり、周辺から続々と集まってきている。
連中は、右側にあるコの字型をした駐車場に真っ直ぐ向かっていた。
そこでは、施設への侵入を阻む、商品棚やパレット等で作成された簡易バリケードがあった。
「ギャアアァァァァ」
「グルアアッ!! グワッ!?」
「援軍だっ! 撃つなっ! ゾンビを倒してやるっ! そっちに向かうっ!」
「ゾンビ達を殲滅するわよっ!」
「救助が必要なようだなっ! 行くぞっ!」
白人フレッシャーが商品棚を越えると、黒人フレッシャーも、パレットを飛び越えようとする。
だが、その前に後ろから、賢一に襟首を捕まれてしまい、後頭部を地面に叩きつけられた。
モイラは、駐車場に飛び込んで、周りを走るゾンビ達の背中を追いかけていく。
それに続き、ジャンも敵を狙い、懐から取り出したペティナイフを連投した。
「グゲゲ? ギ…………」
「当たれっ!」
「首を差し出しなっ!」
「グヤーー?」
ペティナイフが後頭部に突き刺さり、白人女性フレッシャーは、前のめりに倒れた。
後ろに振り返り、ジャンは他のフレッシャー達にも、投擲攻撃を行う。
マチェットで、アジア系フレッシャーの胴を、モイラは通りすぎるとともに斬り捨てる。
それから、黒人女性ジャンピンガーを目指して、彼女は猛然と襲いかかっていく。
「二人とも、やってるなっ! うわ、この野郎っ!」
「ギャイーー!! ギブッ!?」
「グルア~~~~! ブビ?」
「援軍だなっ! 助太刀してくれて、助かるっ!」
「やったわ、アイツらを一緒に叩き出しましょうっ!!」
左右から飛びかかってくる男女のジャンピンガー達を、賢一はバックステップで回避する。
それとともに、白人生存者が、トンファーを握りしめながら現れた。
黒人女性の生存者も、トマホークを投げながら、女性ジャンピンガーを攻撃する。
彼ら以外にも、何人かの生存者たちが奥から白兵専用武器などを持って、走ってくる。
「助かったぜっ! 他のは?」
「ガアッ!?」
「グルゲラアアーー」
「ギギギギ~~~~!!」
「フギャアアァァァァ」
コの字型をした建物屋上を、フレッシャー&ジャンピンガー達が走り、左右両側から挟撃してきた。
もちろん、バリケードの方でも、ウォーリアー&ゾンビ達が暴ている。
左右から迫るゾンビ達に、賢一はゴボウ銃剣を構えて、アゴや顔面に刃を突き刺そうと身構える。
そんな中、彼を狙おうとして、竹槍を持つ、ウォーリアーが背後から迫ってきてきた。
「私も仕留めますっ!」
「ウギャッ!」
「メイスー、助かったっ!」
ピックアップの屋根に上がっているメイスーが、弓を引き、ウォーリアーを後ろから射ち抜いた。
背後に振り返り、後頭部に矢尻が突き刺さった敵が崩れるさまを見て、賢一は彼女に礼を言う。
「この野郎っ! 近付くんじゃねぇっ! オラ、オラ、オラッ! 喰らいやがれっ!」
「ふっ! くばりなさい…………」
「ギャッ!? ゲッ! ガフッ!!」
「ゴフッ!?」
バリケードである商品棚に上がり、アジア人フレッシャーの側頭部を、ダニエルは殴りまくる。
その右側では、アラブ系フレッシャーを、ハチェットを真上から振り下ろして、エリーゼが倒す。
「アイツらも、派手にやっているな? なら、俺も活躍しないとなっ!」
「グエ、ガハッ!!」
「グベアアアア~~~~!?」
「た、助かったぞっ!」
「この勢いのままっ!」
黒人女性フレッシャーは、眉間に真っ直ぐ、ゴボウ銃剣を突き刺されて倒れてしまう。
白人女性フレッシャーも、思いっきり脇腹を蹴られて、地面に押し倒される。
それ以外のゾンビ集団を殲滅するべく、賢一は群がる連中を相手に、自信もすばやく動き回る。
奥から現れた東アジア系の生存者は、ハーフパイクを突きだし、黒人ジャンピンガーを追い払う。
同じく、走ってきた東南アジア系の生存者は、ポリスモデルを振り回す。
彼らだけでなく、何人かの生存者たちも、駐車場で敵と戦っている。
銃声を出せないため、まるで、合戦場のように人間とゾンビ達は、互いに入り乱れていた。
■ 武器説明。
⭕️ ハーフパイク。
4メートルもあるパイクと言う長槍を、短くした物で、別名スポントゥーンとも呼ばれる。




