脱出の後は籠城戦
メイスーとジャン達が、無音武器を構える中、その手前に、四人は立つ。
そこから左側では、デイネ、ヴィラス、アイリス達が、ゾンビが来るのを待ち構えている。
「ギュオオオオーーーー!?」
「グルアア~~~~!!」
「ゲゲギガーーーーーー」
「ウオッ! ギュエエエエーーーー!」
いよいよ、マエワが運転する中型トラックのエンジン音を聞いて、ゾンビ達が集まってくる。
地下駐車場へと続く、緩やかな坂を走っている足音が空間内に、叫び声とともに木霊した。
「来たか…………来るなら、二度目の死を覚悟しろよ」
ゴボウ銃剣を右手に握りしめ、賢一は何時でも素早い突きを繰りだす準備をする。
「こ、こりゃあ、不味いっ!」
「ひぇぇ…………ついてくるんじゃなかった」
賢一&ヴィラスのチームに挟まれる形で、軽トラから降りた人物たちも、敵と戦おうとする。
探検家の男性は、スコップを両手に持ちながら、斜め上に構えている。
アラブの富豪に見える男性も、ダガーを片手に持ち、ガタガタと震えながら、ゾンビ達を待つ。
そうしている間に、いよいよ、ゾンビ集団の第一陣である、フレッシャー達が迫ってきた。
「アイツら、さっきの漁協事務所で、一緒に戦ってくれた…………」
賢一は、左側に立っている二人を、チラリと見ると、また前を向いた。
「アンタら、助けてくれっ!」
「もう、おしまいだっ!」
探検家と富豪たちは、パニックになっているようだが、敵は待ってくれない。
「グワイイーーーー! グフッ!」
「ギャギャ、ギャーーーー!! ゲ…………」
「ピギイッ!?」
「やった、当たりましたっ!」
「クロスボウは、貫通するようだな」
赤シャツのフレッシャーは、右目に弓矢が突き刺さってしまい、力なく後ろに倒れてしまう。
クロスボウに射たれた事で、青シャツと黄色シャツのフレッシャー達は、衝撃で吹き飛ぶ。
メイスーは、次々と矢を放ち、走ってくるゾンビ集団を仕留めていく。
玄を強く引っぱり、ジャンは敵が近づく前に、次の敵を、すばやく狙う。
「お前ら、ここは俺たちが前に出るから下がっていろっ!」
「グアアアア、グフッ!!」
「ギュアア~~~~!? カハッ!?」
「でも、そっちに行ったら、きちんと仕留めるんだよっ!」
ゴボウ銃剣を、黒人女性フレッシャーの右目に突き刺し、賢一は相手を蹴っ飛ばす。
白人ゾンビの首を、マチェットで跳ね飛ばし、モイラは次なる一撃を繰り出さんと前に出る。
「わ、分かった、何とかするっ! このっ!」
「ギィィ~~~~ゲアン?」
「やってやるしか無いのか? トホホ…………」
「グヤヤーーーー!! ウゲ」
大量のゾンビ達は、第一陣は数人だったが、段々と勢いと数が増してきた。
当然ながら、枝分かれするように、フレッシャーやゾンビの群れは分散して、全員に向かってくる。
アラブの富豪は、ダガーを必死で振り回し、相手が振るった腕を切り裂く。
探検家も、スコップで走るゾンビの頬を左側から叩いてやり、一瞬だけ怯ませる。
「ガアアアアアア」
「ウギャアアァァァァ」
「くっ! 次から次へと来やがるっ!」
「私たちが、踏ん張るしかないわよ」
「だぜっ! 勢いに任せるしかない」
「切って、切って、切るのよ」
フレッシャーの爪を避けた賢一は、お返しとばかりに、ゴボウ銃剣を口内へと突き刺す。
ウォーリアーによる竹槍の刺突を、モイラは右にサイドステップして回避する。
そして、回し蹴りを叩きこみ、奴が怯んだ一瞬を狙って、首を切り跳ねる。
ダニエルは、髑髏指輪を填めた両手から、連続パンチを繰り出し、押し寄せるゾンビ達を転ばせる。
ハチェットを、両手で頭上に掲げジャンピンガーの顔面を、エリーゼは一気に叩き割る。
「まだか? まだ、トラックは来ないのか? 何時までも、押さえられないぞっ!」
「今、来たわっ!! このっ!? 鉄パイプに殺られろっ!」
「神よ、我らを救いたまえ」
「早くしてっ! マエワ、トラックで引き潰すのよっ!」
ゾンビ達の群れは、途切れることなく走ってきて、矢に当たらなかった連中が突っ込んでくる。
ゴボウ銃剣による尽き刺しを、何度も繰りだし、賢一は汗だくに成りながら戦いを続ける。
鉄パイプで、ゾンビの頭を叩き、アイリスは姿勢を崩した隙を狙って、もう一撃を喰らわせる。
ヴィラスは、天に祈りを捧げ、ミニM14のストックで、敵の腹を殴りつけた。
料理包丁を振るいまくり、デイネは必死で、ウォーリアー達と距離を取ろうと後ずさりした。
「待ってろっ! あんまし、スピード出したら事故ってしまうからな」
「ギエエーーグアアアーー!?」
「グルヤアーーーー!!!!」
マエワの運転する中型トラックは、ゾンビ達を引き潰しながら走ってくる。
べちゃっと、フロントガラスに血飛沫が付着するが、それはワイパーに拭われる。
「うへぇっ! おしっ! 塞ぐぞっ!」
真っ赤な血は、多少残り、マエワは前方が見辛くなったため、中型トラックの速度を遅くした。
だが、彼は入口に対して、車両を横付けしながら、ゾンビ達が入れないようにする。
「うわああああっ!!」
「ギャッ! ギャッ! ギャッ!」
「ギエエェェェェ」
「早く逃げろっ! 俺たちが相手してやるっ! このっ! 首を刺せばっ!」
「マエワ、早く逃げるのよっ! こっちが、包丁を振るっている間にっ!」
車両の向こう側からは、窓や荷台を叩く音とともに、ゾンビ達が騒ぐ声がする。
それを聞くや否や、マエワは座席のドアを開き、体格に似合わない速さで、走ってきた。
ひたすら逃げる彼を狙って、中型トラックの上下から、ゾンビ集団が現れる。
車上や車体下部の隙間を、すり抜けながら連中は、まだまだ現れ続ける。
ゴボウ銃剣を、フレッシャーの右側頭部に突っ込み、賢一は奴を蹴り倒す。
料理包丁を振るい、ジャンピンガーの下顎を、デイネは見事に切り離す。
「上の連中は、私たちが倒しますっ!!」
「落ちる前に殺すから、任せてくれっ!」
「ギエ…………」
「グヤーー!!」
「下から抜けて来たのは、私が殺るわよ」
「俺にも、活躍させてくれよ」
「グワ? ガッ!」
メイスーとジャン達は、荷台を抜けてくるフレッシャー達を狙い射つ。
モイラは、マチェットを頭上から振るい、ジャンピンガーの腕を切り落とす。
その隙を突いて、ダニエルは右手に握るボロナイフで、額を切った。
こうして、中型トラックの隙間から現れる敵は、段々と減っていった。
「頭を狙えば…………潰れろっ!」
「ウッ?」
「ほいっ! コイツで、最後かしら?」
「グエッ!?」
鉄パイプを、マチェットを握るフレッシャーに対して、アイリスは思いっきり、フルスイングする。
ハチェットを振るいまくり、エリーゼは、何度も動かなくなるまで、ゾンビの腹を叩いた。
「どうやら、終わりね? アンタら、無事?」
エリーゼは、ハチェットを灰色のコンクリート床に下ろして、ため息を吐こうとした。
「ああ、終わったのか…………神よ、災いから私たちを救ってくれて、感謝します」
「危うく、餌になるところだったぜ~~ふぅ」
「ギキィィィィ」
ヴィラスは、ミニM14を持つ左手を下ろすと、右手で目を瞑りながら十字を切る。
両膝を押さえながら、マエワは終わったと思うと、しゃがもうとした。
完全に、油断していた生存者たちを、一匹のゾンビが車体下部から飛び出てきて襲わんとする。
だが、ここで奇襲を受けるのを防ぐべく、賢一だけが動きだしていた。
「このおおっ! 斬ってやるっ! ぐっ!」
「ギャッ! グワアアーーーー!? ガア」
体当たりした賢一に、ゾンビは押し飛ばされたが、反撃で彼の手首に噛みついてしまった。




