夜間の逃走劇
賢一とジャン達は、ピックアップ運転して、漁協事務所から逃げ出そうとする。
「出すぞっ! 二人とも、いいかっ?」
「乗ったわっ! 出してっ! きゃあっ!」
「大丈夫だっ! 頼むぞ、うわあっ!」
「うがああっ!?」
「ギャギィィーーーー!!」
ピックアップを走らせるため、背後の荷台に乗ったであろう二人に、賢一は声をかけた。
エリーゼとダニエル達は、無事に荷台へと着地したが、そこに何者かが落下してきた。
それは、アジア系の男性生存者とフレッシャー達であり、揉み合いながら転げ回る。
彼は、相手の頭を、ベルグマンMP28で連射したが、反対に側頭部を殴られてしまった。
「両方とも死んだわね?」
「運が悪かったんだな…………」
MP28を拾ったばかりのエリーゼは、死体から弾帯やハーネスなども剥ぎ取る。
その隣で、ダニエルは呟きながらも、敵が追って来ないかと、すぐに後ろを見張る。。
「ヴィラス…………どこに行く積もりだっ!」
「グワッ!?」
「ギャアア~~~~!!」
「メイスー、撃ちまくれっ!」
「ギギギギィィーーーー!!」
「はいっ!? や、やります」
「しつこい、ゾンビ達だねっ! 大人しく死になっ!」
漁協事務所の裏に回り込むテクニカルを追って、賢一はピックアップを走らせ続ける。
事務所裏に来た彼らの前にも、ゾンビ集団が現れるが、バンパーに当たっては、ド派手に吹き飛ぶ。
それから、タイヤに踏み潰されたり、擦り潰されて、ゾンビ達は何匹も殺されていく。
鉄パイプ槍やマチェットなどを、振り回すウォーリアー達を、ジャンは勢いよく引き殺していく。
メイスーは、26年式拳銃を撃ちまくり、後部の鉄板を掴もうとするフレッシャーを射殺する。
ヘンリー小銃の弾が切れたため、モイラはM1ガーランドを取り出し、ライフル弾を放っていく。
「俺たちも、撃つぜ~~!!」
「サブマシンガンに撃たれなさいっ!」
トンプソンを撃ちまくり、ダニエルは弾幕を張って、ゾンビ達を寄せ付けまいとする。
それと同時に、MP28を右から左へと振り回し、エリーゼもゾンビの群れを一掃する。
「ん? 後方に別な車が?」
「誰よ…………?」
水色の軽トラが走って来たため、賢一はサイドミラーを、チラ見しながら呟く。
エリーゼも、M28を連射しながら、後ろから来る車両に弾丸を当たらぬように気を使う。
「賢一、彼らも脱出しようとしているんだろうっ! 助けてやろうっ!」
「ギュアアアアッ!! ゲッ!?」
「グフッ!!」
モイラは、そう叫びながら、次々とM1ガーランドから弾丸を放っていく。
群れを成すゾンビ達は、射線上に体が重なっており、ライフル弾が貫通してしまう。
「ああ、だろうなっ!」
前を走るテクニカルを追って、ひたすらピックアップを賢一は走らせる。
漁協事務所の敷地内から、左側へと曲がり、ヴィラスは道路に出ていく。
そこから、彼らは車列を作りながら、暫くはビル街を走り抜ける。
途中の道では、避難する生存者や、それを追いかけるゾンビ達が見える。
「いやああっ!? 来ないでよっ!」
「グアアーーーーーー」
「うわ…………痛い、痛い、痛いっ!?」
「ギャギャギャギャ」
「くっ! くるなあーー!!」
「援護するわ、先に逃げてっ!」
地獄絵図と化した安全区域で、人々は訳も分からず、ただだだ逃げ惑う。
右側では、アラブ系の女性生存者は、フレッシャーに追われながら、道路から狭い路地に逃げ込む。
左側の歩道では、白人警察官が背後から地面に押し倒されてしまい、後頭部をゾンビに噛まれる。
白人生存者は、トレンチメイスを振り回して、ゾンビ達を殴りまくっている。
その後ろでは、黒人女性生存者が、コルト45を撃ちまくっている。
「ゾンビ達が、邪魔だぜぇっ! 逃げる連中を襲ってやがるっ!」
「この状況じゃ、援護射撃しか出来ないわっ!」
「援護してやらないとっ!」
「ひぇっ! …………出来るだけ助けましょう」
「ギャギャギャ、ギッ!?」
「グャッ!? グヘッ!!」
「ウ…………ガ」
「グヒィッ!?」
ダニエルとエリーゼ達は、サブマシンガンで通りを走るゾンビ集団に機銃掃射を浴びせる。
モイラは、逃げる群衆を救うべく、M1ガーランドで、右側の歩道を走るゾンビ達を狙う。
メイスーも、26年式拳銃で続けざまに、民間人を狙っているフレッシャー達を倒す。
こうして、彼らは人々を援護しながら、どこか安全な場所を探して、ひたすら逃走していく。
そうしていると、ヘスコ防壁の破壊された箇所から、安全区域を抜け出てしまった。
「グアアアララッ!?」
「ギエオ~~」
「ゾンビ達は、アチコチから出やがるっ!」
「ん? どうやら、あそこに逃げ込むようだねっ!」
爆発音により、ゾンビ達の群れは漁協事務所に、周辺から集まってきている。
賢一は、ピックアップで、邪魔な敵を引き殺しながらも、走る速度は落とさない。
そうこうしている内に、ビル街や工場などを抜けていった彼らの前に、地下駐車場が現れた。
モイラは、後ろより前方から、ゾンビの群れが来るようになったため、そちらに注意を向けていた。
すると、ヴィラス達が、ビルの下に作られた地下駐車場へと入っていく姿が見えた。
「あの中に入れば助かるなっ!?」
「賢一、頼むわよっ!?」
緩やかなカーブを、賢一とモイラ達が乗っているピックアップも下っていった。
「賢一、はやく降りるんだっ! ここで、ゾンビ達を、迎撃するっ!」
「私たちは戦わないとっ!」
「バリケードを作りましょうっ!」
「あのトラックが使えそうだな、行ってくるっ!」
テクニカルを停車させると、ミニM14を構えて、ヴィラスは車の後ろから出てくる。
アイリスは、車上のM60機関銃を掴み、デイネは料理包丁を握りしめながら走る。
マエワも、奥の角に、赤い中型トラックを見つけて、それを目指して向かっていった。
こうして、エンジン音と排気煙の匂いを嗅いで、ここにも集まってくる敵を迎え討つことになった。
「ここが、俺たちの正念場かっ! 下手したら…………いや? 言わないでおこう」
「ヴィラス、アイリス、銃撃はダメだわっ! 奴らを集めるだけよっ!」
「なら、どうするんだ? 我々は、ここを墓場にするのか?」
「どうしろって、言うのよっ!」
ピックアップを止めると、座席から降りた賢一は鞘から、ゴボウ銃剣を抜きとった。
マチェットと多用途銃剣を、両手に持ちながら、身を低くして、モイラは叫んだ。
ヴィラスは、ミニM14の弾倉を抜いて、弾数を確かめながら、真顔で怒鳴る。
アイリスは、M60を旋回させて、入口の方を睨んみながら、何時でも敵を撃てるように身構える。
「ガアアアアァァアアアア~~~~」
「グオーーーーーー」
「グワアアアア~~~~!?」
「ギギギギギギッ!!」
「白兵戦用の武器を使うんだっ! マエワが来るまで、刀や鉄パイプを振り回すしかない」
「メイスー、ジャン、頼んだわよっ? 弓とクロスボウを持ってたわよね?」
「あ、はいっ! こう言う時のために使えると思って、持ってきました」
「任せろ、コイツで向かってくる連中の数は減らしてやるっ!」
地下駐車場まで、地上から迫るゾンビ達の奇声と走る足音が響いてくる。
それを聞いて、賢一は後少しで、乱戦になるだろうと思い、異様な恐怖と興奮で呼吸が荒くなる。
同じく、モイラも冷や汗をかきながら、敵が来たら回し蹴りや、刃物の連撃を繰り出そうと考えた。
メイスーは、ミニボウを構えながら、緩やかな下り坂を走ってくるゾンビ達を待ち伏せる。
ジャンも、クロスボウに矢を装填すると、膝だちになって、敵が現れるのを黙って待つ。
■ ビークル説明。
⭕️ 軽トラ。
日本の中古品が、市内やビーチ沿いを走っており、大工や漁師がよく使う。
特に、ハイゼットが人気で、様々な目的で使用されており、軍や警察なども作業では使用する。




