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ゾンビ軍団の猛攻


 ヘスコ防壁まで、後退してきた賢一たちを含む人間側は、ゾンビ軍団の猛攻を耐えしのごうとする。



「ここまで来たら、俺が押さえるしかないな」


 賢一は、AR15を背中に回すと、鞘からゴボウ銃剣を抜き取る。


 彼は、ヘスコ防壁を登ってくるゾンビの群れを撃退しつつ、前衛を務めようとした。



「二人とも、無事だなっ! よし…………このまま、ここで戦うぞっ!」


「噛まれてたとしても、私たちは抗体持ちだから平気だよっ!」


「ああ、そうだっ! だから、迎撃に集中するんだっ!」


「もう、ここまで…………やるしかないですね」


 賢一は、込み上げる恐怖により、ゴボウ銃剣を握る手は震えているが、それを押し殺していた。


 なんとか奮い起ち、白兵戦を仕掛ける彼を援護するため、モイラはヘンリー小銃を撃ちまくる。



 その左側では、ハリガンバーを両手に握りしめて、ジャンが堂々と立つ。


 彼らの後ろから防壁を上がってくると、メイスーは26年式拳銃を発砲する。



「ギャ、ギャ? ンギイーーーー!!」


「グビッ! ガババ…………」


「グルアアーーーー!!」


「ウェア~~~~」


 二人の女性たちから射撃を受けて、ヘスコ防壁を上がってくるゾンビ達は、力なく落下する。


 普通なら普通のゾンビも、壁を上がる事はできないはずである。



 だが、夜になって凶暴化しているせいか、連中もフレッシャー達とともに押し寄せてくる。


 走る速度は少し遅いが、それでも勢いよく迫る動く死者たちを前にして、人間側は苦戦してしまう。



「グルアアアアーー!!」


「ウガアア~~~~!?」


「ぐっ! は、はやいっ! ぐうっ!」


「ザコの癖にっ! いや、凄い力だっ!」


 ただのゾンビだと思っていたため、賢一は油断してしまい、額を思いっきり敵に殴られた。


 ジャンピンガーが連続パンチを繰り出すと、ハリガンバーと両手で、ジャンは防御に徹する。



「二人とも、下がってなっ!」


「ウギャギャッ!」


「ギュイイ~~!?」


 レバーと引き金を素早く動かしながら、モイラは群がるゾンビ達に、ヘンリー小銃の銃口を向けた。


 連射を浴びせられた連中は、何発か弾丸を浴びながらも、怯むだけで再び向かってくる。



「不味いですっ! このままじゃ負けちゃいますっ!」


「ガア、ガッ!」


「ギャーー?」


「ウオオオオッ!」


「グオオオオッ!」


 中華包丁を振るって、メイスーは向かってくる二体のゾンビ達を倒す。


 ただ、それも一時しのぎに過ぎず、ゾンビ集団は次から次へと走ってくる。



 しかも、マッスラー達まで早歩きで来てしまい、ヘスコ防壁をドンドンと両手で叩きはじめた。


 そのお陰で、壁上に立っている人間たちは、慌てて体制を維持しようとする。



「うわっ! 今度は揺れやがったっ! 奴らが犯人かっ!」


「このくらいっ! 訓練を受けているっ!」


「とは言え、危ないわよっ!」


「ひぇぇ~~!? こう言うアトラクション、嫌いですっ!!」


 賢一は、四つん這いに成りながら、下を覗いて、マッスラー達を目にする。


 ジャンも、何とか立ったまま、敵の攻撃を耐えようと踏ん張りながら呟く。



 モイラは、ヘスコ防壁に伏せたあと、コルト45を下に向けて、何度も乱射する。


 取り乱しながらも、メイスーは中華包丁を構えながら中腰になり、次なる攻撃を警戒する。



「他の連中は、どうなっているんだっ?」


「うぐ? ウぐぐ…………グアアッ!?」


「ギャあ~~~~」


「う、うわあ~~!? ここも、ダメだっ!」


「もう押さえきれないっ! 後方に下がるぞ」


「痛い、痛い、いやあーー!!」


 片手に握りしめる十四年式拳銃を、マッスラーの眉間に向けて、賢一は南部弾を発砲する。


 この距離ならば、頑丈な大型ゾンビと言えど、顔に何発も、弾丸を喰らえば一溜りもない。



 奴が、ヘスコ防壁に凭れかかるように倒れた姿を確認した彼は、左右に目を向ける。


 そこでは、当然ながら様々な人々が、ゾンビ集団を相手に奮戦していた。



 とは言え、押し寄せる津波が如く、ゾンビ達の数は多く、ゆえに苦戦している様子が伺える。



 さっき、スピットゲローの強酸を浴びてしまった白人兵士が、転がり起きながら、ゾンビ化した。


 いつの間にか、殺害されていた黒人警察官も、転化してから起き上がると、フラフラと歩きだす。



 灰色の半袖&短パン姿をしている白人生存者は、ダガーを振り回しながら、必死で逃げていく。


 スコップを抱えるアラブ系の生存者も、すばやく壁上から飛び降りていった。



 白人女性兵士は、M4カービンを撃ちまくっていたが、周囲から襲いかかる敵の餌食となった。



「おいっ! お前らっ! そこは、ヤベーーから今すぐ下がれっ! 援軍を連れてきたぞっ!」


「私たちが、ここから援護するわっ!」


 ダニエルとエリーゼ達が、漁協事務所の二階から援護射撃をしてくれる。



「援護するっ! 頭を下げろよっ!」


「今だわっ!!」


「分かったぞっ! 今下に向かうっ!」


「ひえっ!! 待ってくださいっ!?」


「いったん、下がるしか無いわね」


「ぐ、ここは捨てざる負えないか?」


 ダニエルは、トンプソンを構えて、壁上に登ってくるゾンビ達を撃ち落とす。


 エリーゼも、スカンジウムで狙いを定め、フレッシャー&ジャンピンガー達を攻撃する。



 賢一は、十四年式拳銃をホルスターに仕舞い、サッと、壁下に飛び降りた。


 それに続き、メイスーは敵が近づかぬように振り回していた中華包丁を持ったまま彼の後を追った。



 モイラは、コルト45を片手で乱射していたが、迫るゾンビ軍団を前にして、踵を返して逃げだす。


 ジャンも、ハリガンバーを勢いよく振るってから、ゾンビ達を押し退けて、退散する。



「グアアッ!?」


「ギャアーー!!」


「は? ウォーリアーが見えたぞっ!」


「今、殺られた連中かしら? いや、それを含めた敵の増援ね…………」


 壁上から誰も居なくなると、今度はウォーリアー達が、竹槍などを持ちながら登る姿が見えた。


 他にも、連中はマチェットや日本刀を持ちながら、大集団に紛れつつ突撃してくる。



 ダニエルは叫び、エリーゼは目を細めて、武器を持つ敵を優先的に撃っていく。


 しかし、フレッシャー&ジャンピンガー達が、壁を超えて、次々と現れる。



「この区域にも、敵がっ!!」


「あっちが収まったから来て見ればっ!」


「やるわよ、撃ちまくるしかないわ」


「ここで、敵を押さえれば、私たちの勝利よっ!」


 アジア系の兵士は、二階左側から、M16A2を構えて、三発ずつ弾丸を発射し続ける。


 黒人女性兵士も、M4カービンを連射しながら叫び、壁から飛び降りんとするゾンビ達を射殺する。



 白人女性の生存者は、ポリスモデルで、壁上に登ってきた敵を、次々と倒していく。


 東南アジア系の生存者は、ベルグマンMP18を、左右に振り回しながら撃ちまくる。



「上からも援護があるっ! ここを何としても、守り抜くぞっ!」


「ん? 賢一、上からも援軍が来たわよっ!」


 ゴボウ銃剣を引き抜いて、襲いくる大量のゾンビ集団を待ち構える賢一。


 そんな彼の側で、マチェットを握るモイラは、上を向いて、軍用ヘリコプターを見つけた。



 夜空を飛ぶ機体からは、左右両側からガトリングガンを撃ちまくり、ゾンビ達を肉片に変えていく。


 おそらく、この機体はイロコイであり、ゾンビが飛びかれないほど高い位置を飛んでいる。



「よしっ! 空からも援軍が来てくれたっ! このまま押し返すぞっ!」


「決まってるじゃないっ! 海兵隊員は、白兵戦も得意なのよっ!」


「ああ、やってやるっ! 民間人を守るためだっ! このくらいの数、どうって事はないっ!」


「わ、わわわわ、私は…………ふぅ? やるしかないですよね…………」


「こっちも援護してやるぜっ!!」


「喋ってないで、手を動かすのっ!」


 フレッシャーが、壁から飛び降りた隙を狙って、賢一は、ゴボウ銃剣で貫こうと走りだしていく。


 マチェットを真っ直ぐに構え、モイラも近づいてきたばかりのジャンピンガーに向かっていった。



 モスバーグ500の銃口を、ゾンビ達に向けながら、ジャンは険しい表情で怒鳴った。


 パイプガンを両手で持ち、敵を怖がりながらも、メイスーは深く息を吸い込みながら呟く。



 トンプソンの弾倉を、すばやく取り替えようとしながら、ダニエルは叫ぶ。


 その隣で、エリーゼは両手に握るスカンジウムから何発も、弾丸を発射する。



 こうして、六人とも迫る敵を前にして、ここから押し返そうとした。


 ■ ビークル説明。



 ⭕️ UHー1イロコイ。



 UHー1は、アメリカ合衆国のベル・エアクラフト社が開発した汎用ヘリコプターである。


 アメリカ軍での公式愛称は、イロコイだが、ヒューイとしても広く知られている。



 1959年より、アメリカ陸軍で採用されて以来、ベトナム戦争などで活躍した。


 現在は、後継機種のシコルスキーUHー60ブラックホークに置き換えが進んでいる。



 とは言え、陸上自衛隊を含めて、多くの国々では現役で配備されている状況である。

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