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漁協事務所


 兵士たちに連行されたあと、賢一たちは、漁協組合長の執務室へと来ていた。



「どうやら、君たちは免疫者で、ビーチに行きたいようだね?」


「君たちは解放する事となった…………武器も返却しよう」


 木製の事務机に両肘を置く、組合長である黒人壮年男性が、ゆっくりと呟く。


 その左側に立つ、緑ベレーを被る白人指揮官も、六人に対して、喋りだした。



「あれから刑務所連絡したが、免疫者だと言う事が確認できた? しかし、ここも武器が不足しているため、君たちの持ってきた物で、元々我々の備品だった装備は返却して貰おう」


 市役所の時と同じく、指揮官から解放されて、賢一たちは、胸を撫で下ろす。


 しかし、せっかく集めた軍の武器弾薬は、全てが押収すると言われて、みな動揺してしまう。



「銃器、防弾ベスト、フリッツ・ヘルメットなど…………代わりに、君たちの弾薬の補給を受けさせる? 下に武器商人の男が居るから会いに行くと良い」


「それは構わないのですが、自分たちは疲れてますっ! 司祭たちとともに、今夜は宿泊させてくれると嬉しいのですが」


「海兵隊員として、武器の返却に異論は有りませんっ! ただ、明日のビーチに行く時まで、一時的な滞在許可を下さい」


 指揮官が、要求した武器を渡すことに、賢一とモイラ達は、渋々同意するしかない。


 ただ、代わりに報酬として、自分たちが使っていた銃器の弾薬を提供して貰うこととなった。



 そして、すでに時刻は夕暮れとなり、夜の危険な時間帯が訪れていた。


 このため、二人は一泊して、安全な寝床を得ようと交渉を試みた。



「俺も消防士だからなっ! ここで、できる事は協力しようっ!」


「…………あ? 私は、疲れたからシャワーを浴びたいわ」


「今夜は、野宿しなくて済みそうで、ホッとしました…………」


「それより、飯は出るんだろうな~~? 腹が減ってしまったぜぇ」


 真面目な公務員として、ジャンも何かしようとい着込み、右手の拳をギュッと握る。


 冷理な表情を崩さず、何を言いだすかと思えば、エリーゼは呑気な言葉を吐いた。



 一方、メイスーは安堵したらしく、ため息とともに肩から力を抜いた。


 ダニエルは、腹を擦りながら、グッと疲れた感じの顔をしていた。



「分かった、君たちは下がっていい…………武器に関しては、部下たちに連絡しておく? 防壁内の駐車場に君たちの武器や装備は置いてあるから、受取に行くとよい」


「寝床に関しては、近くのビルを使わせて貰う…………簡易休憩室があるから、そこを使うといい」


「分かりました」


「了解ですっ!」


 指揮官と組合長たちとの話を終えると、賢一とモイラ達は、敬礼しながら退室した。


 他の仲間たちも、部屋から出ると、階段を降りながら一階に向かっていく。



「異常なし、そっちは?」


「こちらも変化なしだ」


「ゾンビ? ギャング達が見えないか?」


「いや、そんなのは見えないぜ」


 MP5を持ち、黒い防弾ベストを着ている警察官が、廊下左側から歩きながら呟く。


 すると、反対側のM4カービンを抱えながら進む兵士も立ち止まり、短く答える。



 この建物や周辺は、警備が厳重に施されており、これなら敵による襲撃は、心配ないだろう。



 そう思えるくらい、彼らの数は多く、さらに白人生存者や黒人生存者達が、並んで会話している。


 駐車場を眺める二人は、ミニM14を持ち、気だるそうな表情を浮かべている。



 ここは、二階の中央部分であり、賢一たちは彼らを見ながら、また階段を降りていった。



「君たちが、救世主か? 着いてきてくれ」


「俺たちのトラックまで、案内を頼む」


 アジア系の兵士が、賢一たちを出迎えると、彼は背中を見せながら、自動ドアから出ていく。


 仲間たちが乗ってきた車両は、漁協事務所の手前左側に並べられており、そこに向かっていった。



「ん? 賢一たちじゃないか? 話は終わったんだな」


「貴方たちが話を通してくれたのね」


「ヴィラス、デイネ? あとの二人は、何処に行ったんだ?」


「仕事かい?」


 テクニカルの陰から、ヴィラスとデイネ達が現れると、こちらに話しかけてきた。


 賢一とモイラ達は、姿の見えないマエワとアイリス達を探して、キョロキョロと視線を動かす。



「アイリスは、軍の連中を手伝うと言って、防壁の改修工事に向かって行ったんだ? 何でも、まだまだ強化するらしいが?」


「マエワは、トイレに行くと言って、漁協の建物に入って行ったわよ」


「そうか? 俺たちは休憩室に向かうよ」


「疲れたからね…………さっさと、雑魚寝できる場所が欲しいわ」


 ヴィラスとデイネ達から話を聞いて、賢一とモイラ達は、ここから去ろうとする。



「休憩室は、彼方のビルの四階にありますっ! では、私は失礼します」


「ああ、案内してくれて、ありがとう」


 アジア系の兵士は、漁協から見て、右側にあるビルを指差して、休憩場所を教えてくれた。


 賢一は、彼に対して、礼を言いながら背中に向けて、ゆっくりと手を振った。



「軍の連中、武器を返してくれたが? 君たちの物も、ボックスに入っているらしい…………箱は後で、返してくれと言ってたな」


「アサルトライフルとかは、殆ど持っていかれたわ」


「でも、他の武器は残っているわね」


「必要な物は残して、他は売るとするか?」


 ヴィラスは、ピックアップの荷台に置かれた収納ボックスを指差しながら話す。


 両手を、大袈裟に振り回しながら、デイネは残念そうな表情を浮かべる。



 車上に登り、箱から蓋を持ち上げながら、モイラは中身を確認する。


 たくさんの武器を手に入れたが、使いどころが無いため、これを処分しようと賢一は考えた。



「M1ガーランドは、車両用に残すわ? 他は売るとしましょう」


「クロスボウは、俺が貰うぞ、散弾銃の弾薬もな」


「私は、ミニボウを貰いますね? 音が出ない武器は、ゾンビに対して有効ですから」


「私は…………あまり、武器を持ちたくないから、無くていいわ」


 モイラは、そう言うと、銃だけを箱から取り出して、荷台に置いた。


 ジャンとメイスー達は、それぞれの好みにあった無音武器を取り出した。



 重たい銃器は、動きが遅くなると思い、エリーゼは、スカンジウムだけを握りしめる。


 こうして、皆が装備を揃えると、賢一は再び漁協に戻ろうとした。



「よしっ! 武器商人の場所に向かうとしよう? ヴィラス、デイネ? 二人は何をする?」


「私は、支援が必要な人間の場所に向かうよ? 元々NGOの慈善事業で、島に来たからね」


「私は、マエワが戻るのを待つわ? 彼とは仕事仲間だし」


 賢一の問いに、ヴィラスは真面目な顔で答え、デイネも、テクニカルに背中を預けながら呟いた。



「分かった、じゃあ? また後でなっ! ダニエル、そっちを持ってくれ」


「はあ? チッ! 仕方ねえな~~」


 収納ボックスを持ち上げようとして、賢一は反対側を掴むように、ダニエルに頼んだ。



「あ、お巡りさん? 武器屋は何処にあるんだ?」


「それなら、事務所内の左側にある」


 漁協の前を巡回する警察官に対して、賢一は質問すると、すぐに場所を教えてくれた。



「ありがとう、そっちに行ってみる」


「なあ? さっさと、持って行こうぜっ?」


 警察官に、礼を言ってから、賢一とダニエル達は、武器を運びに行った。


 他の仲間たちも、二人とともに、自動ドアから漁協事務所内へと入っていく。



「おし、他の連中も運んでいるぞ? はやく、用意しないと」


「上官殿の命令だからな」


 賢一たちが、事務所に入ると、廊下左側から兵士たちが、カートを押してきた。


 その上には、ピラミッド見たいに積み上げられた弾薬箱があった。



「向こうも忙しいんだな」


 賢一は、そう思いながら収納ボックスを、ダニエルとともに武器商人の場所まで、持っていった。


 ■ 武器説明。



 ⭕️ MP5。 



 威力自体は低いが、遠距離での命中率は高く、連射速度も速い。


 近距離での連射時も、集弾性が高く、とても扱い安い銃である。



 元々、G3ライフルを小型サブマシンガンにした物であるため、性能は高い。



 プルケト軍や警察、または特殊部隊などに、広く配備されている。

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