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建築現場から漁協へ


 賢一は、乾いた地面の上を歩き、黒服を着ている司祭に近づいていこうとする。


 だが、その前に仲間たちに、見張りや車番を頼もうとして、彼は後ろに振り返った。



「モイラ、悪いが右側にある建設途中の建物に向かってくれないか? 選抜射手を頼むっ! ジャン、お前も上から見張っててくれ」


「あいよっ! 私の射撃の腕を、見込んでの頼みなら断り切れないね」


「分かった、何かあったら直ぐに知らせるっ! 任せてくれっ!」


 後ろの仲間たちに、賢一はゾンビに対して、警戒して貰うこと頼む。


 それを聞いて、モイラとジャン達は、Mガーランドとクロスボウを背負いながら歩いていく。



「あの? 私は…………」


「私も、どうする? 見張りはするわよ」


 不安げな表情で、メイスーは運転席から窓だけを開けて、ゆっくりと呟く。


 荷台の上で、座席を覆う屋根に腰掛けながら、エリーゼはCARー15を構えて、左右を見張る。



「メイスーは運転手を頼む? ダニエルもだ、また直ぐに逃げるかも知れないからなっ! エリーゼは車から見張っててくれ」


「へいへい、逃げ足だけは早いから任せてくれよ~~~~」


 真剣な賢一とは対照的に、ダニエルは呑気にピックアップの座席から顔を出して答える。



「さっきは助かったぞ、俺は自衛隊員《JSDF》の賢一だっ! あと、海兵隊員も居るが、騒動に巻き込まれただけで、救助隊じゃない…………」


「俺たちも、アンタらと同じサバイバーって、とこだなっ!」


「そうか…………私はヴィラス、ヴィラス・フェイトーザ、布教活動と慈善事業のために島を訪れたんだ」


「私は、デイネ・ブラックよ? 観光ガイドをしていたわ、あっちの太っちょ漁師は、マエワって言うの? 赤ツナギの彼女は、アイリスと言うの?」


 司祭と褐色の女性たちが、こちらまで歩いてきたため、賢一は名前を名乗った。


 車内から、ダニエルも左腕を出しながら、手を振って話し、相手に笑顔を見せる。



 ヴィラスと名乗るラテン系の男性は、ここを訪れた理由を、丁寧な口調で語った。


 デイネも、自己紹介をしながら、仲間たちの名を教えつつ、彼らに指を指した。



「その最中、ゾンビが暴れたため、彼らとともに近くの小学校に避難していたんだ…………だが、軍や警察の部隊を何度も、ギャングやプルケト・イスラム解放戦線が攻撃してきてな」


「とうとう、攻撃に耐えきれなくなってね? しかも、最後はゾンビが大群で押し寄せてねっ!」


 ヴィラスは、賢一たちと出会う前に、何が怒ったか俯きながら話す。


 苦虫を噛み潰したような表情で、デイネも両腕を組ながら、疲れたような声色で語る。



「それで仕方なく、整備士のアイリスが兵士からの頼みで、ジープを改造して、テクニカルを作ってくれたの? そして、この車に乗りながら、皆で逃げてたワケなの」


「ジープ? どう見ても、ピックアップに見えるが?」


「そうだぜ、ジープには見えないぜ?」


 デイネの話を聞いて、賢一とダニエルは、テクニカルを見ながら頭に?マークを浮かべる。



「ここでは、フィリピンの影響で、軽トラやピックアップ、中型トラックの荷台を、キャンピングカー見たいに改造したのをジープと呼ぶの? 元は、米軍の払い下げジープを改造したのが始まりらしいけど」


 デイネは、テクニカルを眺めながら疑問に思う二人に対して、きちんと答えてくれた。



「それよりも、ここだって、安全では無いだろう? 何処か安全な場所を知らないか? 近くには、まだ幾つか避難区域があるんだが? 何処に向かえば良いのだろうかと、我々は困っているんだ」


「それなら、俺達と一緒に来ないか? ここから結構、離れた場所になるが、軍の部隊が駐留する漁協の建物に向かおうと思うんだ」


 ヴィラスの言葉を聞いて、賢一は自分たちに着いてこないかと、提案してみた。



「そうね? 他の避難場所も近いけど、ここはギャングやゾンビ達が多いし」


「よし、それなら君たちとともに、我々も漁協の場所に向かうとするっ! 早速だが、先導するから着いてきてくれっ!」


 デイネは、提案に賛成して、ヴィラスも直ぐに、テクニカルに向かっていく。



「アイリス、マエワッ! 漁協に行くわよっ! 出発の準備をしてっ!」


「分かったわ、直ぐに準備するわ」


「んあ? ここから離れるのかっ?」


 デイネの言葉を聞いて、アイリスは車載機銃から離れて、荷台から飛び降りる。


 適当に、周辺を歩いているマエワも、CF98をホルスターに閉まった。



「ダニエル、頼むっ! ジャン、モイラ、彼らと一緒に最後の部隊が、駐留する漁協に行くっ!」


「ああ、分かったぜ、兄弟」


「今、そっちに行くわっ!」


「移動か、漁協の方は無事だと良いが?」


 賢一の声を聞くと、ダニエルは直ぐに鍵を回しし、エンジンを始動させる。


 モイラとジャン達も、屋上から向かってくる途中、足場から地面に飛び降りた。



「よっ! とと、向こうも、移動を開始したな」


 荷台に飛び乗って、賢一はAR15を両手に握り、前を向いた。


 そこには、移動を開始して、駐車場をあとにするテクニカルの姿があった。



 こうして、彼らは湾岸部にある工業区域から離れていき、さまざまな建物を通過していった。


 ゾンビ達を警戒しながら進んでいた車列は、ビルの合間を抜けて、漁協事務所に近づいていった。



 ここは、かなり開けた場所であるが、駐車場の周りには、倉庫やタンクなどが建ち並ぶ。


 やはり、沿岸部にあるため、缶詰め工場があった場所と景色が、よく似ていた。



「駐車場には、軍のトラックや装甲車、パトカーまで並んでいるぜ」


 ズラリと並ぶ軍用車両の奥には、ヘスコ防壁が設置されており、どちらにも兵士が立っている。


 大きな建物の屋根は、青色に塗装されており、窓には、スナイパーが何人か見えた。



『それ以上、近づくなーーーー!! 現在、この付近一帯には、戒厳令が出ているっ! 民間人の受け入れは停止中だっ! そこから一歩でも動いて見ろっ! 略奪者と見なして、銃殺するっ!』


 何処からか、拡声器による怒号が鳴り響き、辺り一帯に緊張感が漂う。



「待ってくれっ! ここを確認しに向かえと言われてきたんだっ!」


「私たちは、日本とアメリカの軍人だよっ! 射殺したら国際問題になるわよっ!」


 拡声器の声に対して、賢一は周囲を包囲しているスナイパー達に狙われながらも抗議する。


 同じく、モイラも両手を上げながら、銃撃されないように、自分たちの所属を相手に伝える。



『お前たちか? 刑務所の連中が言っていた免疫者と言うのは? ちょっとまて、連絡する』


 拡声器を握る人物は、そう言ってから少しの間、何も喋らなくなった。


 その間、緊張感だけが漂い、賢一たちは、ビルから狙うスナイパーによる殺気を感じる。



 トラックやハンヴィーの車上に立つ、歩兵からも険しい視線と銃口を向けられてしまう。


 沈黙が場を支配する中、誰も身動きできず、ただ静かに暖かい風が吹くだけだった。



『…………照合が終わった、だが、武装ジープの連中は誰だっ!!』


「彼らは、俺たちの窮地を助けてくれた人間だっ! ギャングじゃないっ!」


 拡声器の更なる問いに対して、疑われぬように、賢一は素早く答えた。



『ふん、良いだろう? だが、武装解除には応じて貰うぞ』


「分かった、両手を上げて待ってるから、早くしてくれ」


 拡声器の言った通り、賢一たちは両手を上げると、周辺から兵士たちが近づいてきた。


 連中に、M4カービンやM16A2を向けられながら、彼らは大人しくするしかなかった。



 やがて、彼らは手錠を嵌められて、武器を取り上げられながら、連行されてゆく。


 そして、自分たちの車両に乗せられると、漁協に移動させれていった。


 ■ ビークル説明。



 ジープ、ジプニー、ジープニーとも言われるフィリピンの乗り物。


 荷台を改造して、キャンピングカー見たいにした物である。



 作中で、仲間が乗っている物は、元がピックアップ&武装しているので、テクニカルと呼ぶ。




 ⭕️ 軽トラ型ジープ。



 ジープと名前にあるが、これは米軍から払い下げられた軍用車両ジープが語源だからである。


 ジープニー、ジプニー等とも、現地人に言われる事もある。



 通常の軽トラと違う点は、荷台に窓が付いた乗車可能なコンテナを積んでいる部分である。



 ⭕️ ピックアップ型ジープ。



 軽トラ型ジープと同じく、荷台に窓が付いた乗車可能なコンテナを積んでいる。


 街中で良く見かけるため、中に隠れたり、アイテムを探すのに利用しよう。



 ⭕️ 業務用ワゴン型ジープ。



 軽トラ型ジープと同じく、荷台に窓が付いた乗車可能なコンテナを積んでいる。


 中型バスとして、利用されているジープであり、当然ながら軽トラ型よりも、車内は広い。



 ⭕️ トラック型ジープ。



 軽トラ型ジープと同じく、荷台に窓が付いた乗車可能なコンテナを積んでいる。


 乗り合いバスやタクシーとして、普及していたが、窓やドアがない解放的な車両となっている。



 ゾンビ災害時では、装甲がないため、物資運搬に使えるが、攻撃に対しては脆弱性がある。

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