ゾンビ集団に囲まれて…………
増援として、ゾンビ側に防弾装備の強者が現れはじめ、連中は銃撃を弾いていく。
飛距離や、何体ものゾンビ達を貫通する間に、腐肉や防弾ベストなどに、弾丸が止められるからだ。
「はあっ! これなら、武器を集めないで、さっさと車で逃げるべきだったなっ!」
「ヒギャッ!?」
「グエッ!」
顔から、冷や汗を滴しながら、賢一はAR15を撃ち、ゾンビ達の胸を貫いていく。
手も汗だくになり、思わず銃を滑り落としてしまうのではないかと、彼も不安になる。
「賢一っ! 愚痴を言っても、仕方がないっ! とにかく、この群れを倒すんだっ!」
「そうだわ、連中が来ないように、弾がなくなるまで撃つのよっ!!」
「こりゃ、車から降りるしかないぜっ! 座して、死を待ってられるかよっ!?」
「喋っている暇があるなら、撃つのっ!」
「ひゃああっ! こ、こないで…………来たら、う、撃ち殺しますよっ!」
ジャンは、両手で確りと構えるCARー15を連射して、ゾンビ達に弾丸の雨を降らせる。
モイラは、M1ガーランドの照準を、非常に強そうな防弾マッスラーに優先して、合わせる。
ダニエルは、トンプソンを横凪に撃ちまくり、ゾンビの群れを足止めしようとした。
弾丸自体は、貫通せずとも、強力な45口径弾は、相手を怯ませる効果があるからだ。
防弾フレッシャーが走ってくると、エリーゼも必死で、とにかく銃撃し続ける。
メイスーは、パイプガンを一発撃つごとに、次々と散弾が入った、別の銃に持ちかえる。
「グオオーー! ゴアアッ!?」
「グアアアアアアッ!」
「ギュアーーーー!!」
「ギャイイ~~~~」
「ヤバイわっ! 奴ら、体力が高いらしいわね? 突っ込んでくるわよっ!」
防弾マッスラーは、ヘルメットを被る頭部に、大口径ライフル弾を喰らって、前のめりに倒れる。
だが、後ろから別の防弾マッスラーが、銃撃を受けながらも突撃してきた。
防弾ジャンピンガーが飛び掛かってくると、防弾フレッシャーも走ってきた。
また、多数の防弾ゾンビ達が、互いに肉壁となりながら、確実に前進してくる。
それに、モイラは危機感を抱きながらも、M1ガーランドを撃ち続ける。
「心配するなっ! 段々と、数は減っているっ!」
凄まじい群れの突撃により、賢一たちは窮地に立たされてしまった。
しかし、前方から迫る敵は、少しずつ数を減らし、最後尾のゾンビ達も少なくなってきた。
「だなっ! この調子なら行けるぜぇっ! 俺たちの勝利だ…………はあ?」
「来たわね…………後ろからよっ!」
「ギュアーーーー」
「グルアアアア~~~~」
増援のように現れていた防弾ゾンビ達が減ってきたかと思えば、今度は後ろから新たな敵が現れる。
ここは、埠頭の工業区域であるため、アチコチから、作業員ゾンビ達が集まってくるワケだ。
ダニエルは、トンプソンを撃ちまくり、弾が切れると、弾倉を交換しながら後ろを振り返った。
エリーゼも、後ろに振り向きながら、CARー15を連射しまくった。
「グガガガガッ!?」
「グエエ、エ、エ、エ、エ…………」
「ガアガアガアガア」
「ギャギャギャッ!!」
エリーゼの連射により、作業員ゾンビや兵士ゾンビ達は、何発も弾丸を胸に受けて死んでいく。
しかし、それでも他のゾンビ達は、小走りでピックアップを目指しながら走ってくる。
「モイラ、エリーゼ、メイスー、ジャンッ! 前は、任せたっ! 後ろは俺とジャンで守るっ!」
そう言って、賢一はピックアップの後方から攻撃してきた敵を迎撃するべく、荷台から飛び降りた。
「ギャーーーー!!」
「この野郎、かかってこいっ! いててててっ! ウニが刺さっちまった」
「おいっ! 勝手に決めるなっ! ぐ…………このっ!」
「ウギイッ?」
水産職員ゾンビには、前掛けや帽子を被っている頭、肩などに黒いウニが刺さっている。
もちろん、それが両手に付いているため、思いっきり頬を殴られた賢一は、顔から血を流す。
その間、名前を呼ばれて、ジャンは文句を言いながらも、荷台から高く飛び上がった。
ついで、両手に握るハリガンバーのツルハシ部分で、作業員ゾンビを横から勢いよく叩いた。
「ジャン、悪いが頼むぜっ! こっちは数が少ないから二人だけで、充分だしな」
「グギャッ?」
賢一の言うとおり、ゾンビ達は数が少なく、また防弾装備ではなかった。
それゆえ、彼は水産職員ゾンビの腹を蹴りとばし、ゴボウ銃剣を顔に突き刺す。
「だが、油断は禁物だ? はあ? アレは…………」
「な、なんだ、アイツは…………」
「ウゴオオオオ~~~~~~!!」
「ギャアアアアッ!」
「アオォォォォッ!?」
ジャンと賢一たちが、目にしたのは、奇妙な青いクリスタルが体中から生えたゾンビ達だ。
それは仮に名づけるなら、アイス・マッスラーとも言うべき、ゾンビだ。
右側からは、アイス・ジャンピンガーが、ピョンピョンと跳び跳ねながら近づいてきた。
左側からも、アイス・フレッシャーが走りながら、まっすぐ突撃してくる。
「ギャギャアーーーー」
「グオオオオッ!!」
「うああっ! 痛い、しかも冷たああああっ!」
「うわっ! ぐ…………確かに冷たいな?」
アイス・ジャンピンガーによる飛び付きを喰らって、押し倒された賢一は、更なる攻撃を喰らう。
腕や手に生えた、クリスタルで殴られた彼は、相手の纏う冷気を感じて、思わず叫んでしまった。
アイス・マッスラーに腹を殴られて、後ろに下がるジャンも、衝撃を受ける。
もちろん、アイス・フレッシャーも走ってきながらパンチを喰らわせんと構えを取る。
「ギョエエ~~~~グアッ!?」
パンッと、一発銃声が鳴り響くと同時に、アイス・フレッシャーは路上に倒れた。
「コイツら? いったい、どこから現れたんだい?」
それは、モイラが両手で構えるM1ガーランドから放たれた銃弾だった。
「きっと、どこかの冷凍庫から現れたんだろうっ! ここは魚を保管する倉庫や工場だらけだからな」
「だろうなっ! 体に氷が付いているのも、そのためだっ!」
「そうだねっ! 二人とも、デカブツは私に任せてちょうだいっ!」
「グルアア~~~~」
「ゴアアアアーーーー!!」
「ギャギャギャーー」
「グワアアアアーー」
銀色の建物は、そこかしこにあるため、それらに目もくれず、賢一はゾンビ達を睨み続ける。
バックステップで敵から離れて、ジャンは再びハリガンバーを振り回さんと、構えを取る。
彼らの背後では、M1ガーランドで、正面後方から現れるアイス・ゾンビ達を、モイラが狙う。
その数は多く、アイス・マッスラー&アイス・ジャンピンガー達とともに迫ってくる。
こうして、ゾンビの大集団が再び進撃してくる中、銃弾が跳び、白兵専用武器が振るわれる。
「こっちはヤバいっ! もう、押されちまうぜっ!」
「下がるしか無いわよっ!」
「これ以上は、持ちませんっ!! 食べらちゃいますよーー!!」
「ギャイーーーー!!」
「ピギャアーーーー!」
トンプソンを左右に振り回し、機銃掃射しながら、ダニエルは焦った表情で叫ぶ。
エリーゼも、CARー15を乱射しながら、ゾンビ達を近寄らせまいと、冷静に努力する。
ヌンチャクを滅茶苦茶に振るい、メイスーは近づく、ゾンビ達の防弾ベストや腕を叩きまくる。
そんな彼女の顔は、真っ青になっており、かなり恐怖を感じている事が分かる。
ピックアップの正面側では、防弾フレッシャー&防弾ジャンピンガー達が迫っていた。
「ギャアアアアッ!?」
「グルアア~~!?」
「ちくしょーー! これじゃあ、終わりだぜっ! だが、ただでは殺られないぞっ! 万歳アタックしてや…………あ?」
「な、なんだ、何が起きた?」
「車ですっ! 助けが来ましたっ!」
「本当に、助けなのかいっ? だったら助かったわ」
防弾ジャンピンガーは、タイヤに引き摺られながら悲鳴を上げる。
さらに、防弾フレッシャーも追加されている鋼鉄製のフロントバンパーに吹き飛ばされた。
それを行ったのは、荷台に、コンテナと固定機銃などを積んであるテクニカルだった。
賢一は、怒りや返り血などで、顔を真っ赤にしながら戦おうとしたが、それに目を向ける。
ジャンも同じく、いきなり現れた車両に目を向けて、ギャング達が出てこないかと身構えた。
メイスーは突然の援軍に喜び、モイラは銃撃しながら後ろに振り向いた。
■ ビークル説明。
⭕️ テクニカル。
ピックアップに、M60汎用機関銃やM2重機関銃を搭載した反政府ゲリラの兵器。
政府軍や犯罪組織も、滷獲するなどして、運用しており、装甲はないが武装は脅威となる。




