ギャング達の最後
右耳を押さえながらも、作業員ゾンビ達を押し退けるため、東アジア系ギャングは、必死で暴れる。
ダガーを振り回し続ける奴の抵抗は、一度は上手くいったが、二度目はダメだった。
「このっ! クソがっ! 退きやがれっ!」
「ギャギャギャッ!!」
「ガウ、ガウッ!」
「退けと言われて、退くような奴らじゃないんだよ」
アジア系ギャングは、作業員ゾンビ達から、またもや噛まれるが、それでも諦めない。
そんな奴に向かって、ゴボウ銃剣を両手で構える賢一が、真っすぐに突っ込んでいっあ。
「ぐああああッ!!」
「喰らえっ!?」
「ガウ、ガウ、ガウッ!」
「ギュアーーーー!」
東アジア系ギャングは、脇腹に、ゴボウ銃剣の刃を差し込まれて、悲鳴を上げる。
賢一は、奴から反撃されて、ダガー振るわれたが、その一撃は当たらなかった。
何故なら右側から、兵士ゾンビが現れて、奇声を発しながら、右手を刺されたからだ。
反対側からも、作業員ゾンビが近寄ってきて、噛みつかんと、口を大きく開く。
「ギュアアアアーーーー!」
「グアアアア」
「グルアア~~~~!?」
「グオオオオッ!!」
「ぐおおおおっ! こうなったら、道ずれにしてやるっ! 負けるかああアアアアーー!! グアッ!」
「ゾンビ化したかっ! だが、残念ながら俺は抗体持ちなんだよっ!」
周囲から群がるゾンビ達に、もみくちゃにされながら、東アジア系ギャングは叫ぶ。
その最中、奴はウォーリアーへと転化したようだが、賢一は顔を殴りつける。
「グオオッ! グエッ!」
「体を噛むんじゃねぇっ! 痛いだろうがっ!」
すると、手に持つダガーではなく、ウォーリアーは賢一の左手に噛みついた。
しかし、彼はゴボウ銃剣で、ヤツの左側頭部を突き刺してやった。
「お前らも、死ねっ!! 体に、くっつくな」
「グヘッ!?」
「邪魔よっ! 離しなさいっ!」
「退けっ! くたばりやがれってんだ」
「ギュアーー!?」
「グアア…………」
賢一は、作業員ゾンビや兵士ゾンビ達を、力強く振り払いながら押し倒した。
ソイツらに止めを刺すべく、エリーゼは両手で掲げるハチェットを振り下ろした。
ダニエルも、倒れた連中に近づき、トンプソンで、次々と連射していく。
こうして、こちら側のゾンビ達は、三人が活躍した事により一掃された。
「そっちは?」
賢一は、助かったと思いながら、モイラ達を心配して、左側のピックアップに目を向ける。
「ガルルルル~~」
「グルルッ!」
「ぎゃあっ! ギャアアーーーー!!」
そちらでは、作業員ゾンビ達により、アジア系女性ギャングが、背中を噛まれていた。
さらに、そのまま奴は、ウイルスに感染したらしく、目を赤くしながら騒ぎ始めた。
「転化したのかい? じゃあ、他と一緒に撃つだけだよ?」
「ギャッ!」
「グ?」
「ガガギィッ!」
モイラは片手で、マチェットを振るい、転化した女性ゾンビの首を切り殺した。
それと同時に、作業員ゾンビの頭を跳ね、兵士ゾンビには、口に真っすぐ刃を突っ込む。
「グオオオオッ!!」
防弾マッスラーは、腕を振り回したり、咆哮を上げては、ただ暴れ続ける。
その胸や腹には、散弾が二回も当てられたが、もちろん防弾ベストは貫通しない。
「散弾銃が、効かない? 防弾ベストが邪魔をしますっ!」
「コイツは顔が弱点だっ! 任せろっ!」
「ギュアアオオッ!?」
パイプガンを撃ったばかりのメイスーは、焦りながら後退するが、真後ろにはジャンが待ち構える。
そして、モスバーグ500が再び火を吹くと、マッスラーは、顔面を蜂の巣にされてしまった。
奴は、頭を撃ち抜かれた瞬間、体をくの時に曲げながら後ろに倒れた。
こうして、全てのギャングとゾンビ達が、殲滅されて、ここは安全になった。
ようやく、終わった戦闘に安堵した一行は、体から力を抜いて、周囲を見渡す。
「終わったな? 武器を回収しよう、弾や格闘武器は、次の戦闘では使えるからな?」
「ピックアップに載せて、運びましょう…………余った分は商人に売るか? 避難民に分ければ良いでしょうし」
「この武器はっ! まさか、こんな所で、仕事道具を拾うことになるとは…………」
「こっちの武器は、私が持ちましょう? 中国武術の通信講座で、習いましたから」
そう言いながら、賢一は側にある死体から、十四年式拳銃と、予備のマガジンを拾う。
モイラは、M1ガーランドをピックアップの荷台に載せると、大量の武器を集めようと動いた。
二人とも、疲れた表情をしているが、なるべく使える物を収集しようとする。
そして、ゾンビやギャング達から再度襲撃を受ける前に、ここから次の拠点に向かおうと考えた。
路上に落ちていた、銀色の消防道具ハリガンバーを拾い上げて、ジャンは驚いた顔をしながら呟く。
黒いヌンチャクを拾い上げて、メイスーは試しに、クロスさせるように振り回した。
「メイスー? まるで、春麗や? ミシェル・ヨー見たいだなっ!」
「エヘヘ…………女優さんの方は、誰ですか? その…………あまり映画は詳しくないので?」
賢一から褒められて、嬉しくなったメイスーは、顔を赤く染めるとともに、首を傾げる。
「ああ~~アレだ? ポリス・ストーリー3の中国警察の女性警官や、007の中国やベトナムが舞台の奴に出てた人だっ! あと、ムーランを演じたな」
「ああっ! あの人ですねっ? 思いだしましたっ!」
「あのさーー? 仲良く、いちゃラブしている所、悪いけど…………荷物を運んでくれないかしら?」
「よっとっ! そうだぜ? さっさと、仕事を終わらせて~~からなっ! お、これは…………」
賢一とメイスー達は、はしゃぎながら武器や弾薬などを、ピックアップの荷台に積んでいく。
それを見ながら、エンジンが動くか、タイヤがパンクしてないか、エリーゼは調べる。
前方に、止まっている車両に上がり、長い収納ボックスを開けながら、ダニエルも愚痴る。
そうして、さまざま弾薬や食糧品などを、彼は見つけて、やったと思いニヤけた。
「あ~~? 悪い悪いっ! モイラ、見張りを頼めるか? メイスー、エリーゼ達は運転手を頼むっ! いざと言う時は、逃げなきゃ成らんし」
「は、はい、分かりました」
賢一は、謝りながら駐車場の方に向かうと、メイスーも、運転席に向かう。
「分かったわ? で、あっちの武器を集めてくるんだね? でも、それなら罠を警戒して、私も行くべきじゃないかしら? 軍人なんだし」
「そうよ? 死体が動き出す以外にも、銃の下に罠があるかも知れないのよ」
「わ、わわ、私は残ります…………怖いから」
モイラとエリーゼ達は、自分たちも戦えると意気込みながら、待機させられる事に抗議する。
一方、メイスーは死体だらけの駐車場や路上を見て、ピックアップから離れようとはしない。
「ああ? でも、モイラは銃の腕前が良いからなっ! 選抜射手を頼みたいんだ」
「それなら、私は納得するけど? エリーゼ、アンタはどーーするのよ」
「私は、スウェーデン人なのよ? 徴兵制のある国だから軍務経験はあるし、戦場ジャーナリストとして、イラクでは罠も解除したわ」
後ろに振り返りながら、賢一は、ピックアップの屋根に陣取るモイラに声をかけた。
M1ガーランドを両手に握る彼女の手前から、エリーゼは歩きながら話す。
「分かったよ? じゃあ、エリーゼも着いてきてくれ? ジャン、ダニエル、行こう」
「俺も、爆風や炎に対する訓練も受けているからな、消防士だし…………行くのは問題ない」
「へいへい、行きますよ」
「ダニエルは残しておいてね? 彼のトンプソンと、運転手は、もう一人必要だから」
賢一は、駐車場に停めてあるトラックや乗用車などへと、ゆっくり歩いていく。
クロスボウや矢筒を背負いながら、ジャンは死体から武器を回収しに向かう。
ダニエルも、面倒くさそうな態度で、二人に続いていき、ボロナイフを片手に握る。
だが、そんな彼を必要として、すぐに、モイラは呼び止めるのだった。
■ ゾンビ説明。
⭕️ 1 ゾンビ
一般的なゾンビだが、種族や性別に加え、職業により、走る速度や体力に若干の差がある。
例に出すと、男性ゾンビは動きは鈍いが、体力や腕力が少しだけ高い。
女性ゾンビは、体力が低い代わりに動きが素早く、腕を振るう攻撃も速い。
また、中には包丁や拳銃を装備しており、狙いは不正確だが、近づくと危険なタイプも存在する。
全身防弾装備ほどではないが、重プレートアーマーを装備しているゾンビは、銃撃や打撃に強い。
これは、防弾ゾンビと言って、他のタイプよりも、ダメージが効きにくく倒しづらい。
しかし、特殊感染者ほど、素早く動けないし、防弾装備も硬くない。
大抵は、警官や兵士、テロリストや反政府ゲリラなどと言った者たちが、ゾンビ化すると成る。
これ等の人間は、防弾アーマーや対暴徒鎮圧用の鎧を着ているからである。
ゾンビ。
武器ゾンビ。
消防士ゾンビ。
警官ゾンビ。
兵士ゾンビ。
防弾ゾンビ。
上記のゾンビ達が、該当する。




