三者混戦
頃合いだと思って、賢一はAR15を腰だめに構え、単発連射しながら駆けてゆく。
その彼に向かって、前後左右から大量に、ゾンビ達が、津波が如く押し寄せてくる。
「うりゃああああーー!! 中国拳法を見せてやるぜっ!!」
「ギャアアアア~~~~!?」
「ウアアァァーーーー!!」
「うわあっ! あのバカ、突っ込んでくるわよっ!」
「先に、ヤツを殺さねぇと、俺たちまで食われちまうっ!」
雄叫びを上げる賢一を狙って、フレッシャー&ウォーリアー達は、とにかく走る。
そして、四方八方から迫る、動く死者たちの群れは、叫びまくりながらギャング達にも迫った。
スーパーポーズドを、アラブ系女性ギャングは直ぐさま、彼に向かって撃った。
黒人ギャングは、十四年式拳銃を乱射しまくり、何とか突撃を止めようとする。
しかし、二人の狙いは、充分に定まっておらず、弾丸は全く当たる事はない。
「ああああっ!! 当たるワケないだろうがーーーー!?」
賢一は、相手が素人であり、いきなり突撃すると、対応できないと考えていた。
もちろん、よく狙ってない射撃は、手ぶれにより、上へと少しズレてしまう。
スーパーポーズドの散弾は、彼よりも頭上に向かってしまい、当たることはない。
8ミリ南部弾も、メチャクチャに乱射されたため、一発も命中しなかった。
「このっ! ヤツだけを狙わないでよっ! 他にぃ? きゃああっ!!」
「うああああ、ゾンビ達が攻めて来やがるっ!?」
「ギュアアアア~~~~」
「ゴアアーー!?」
「俺たちも、居るんだぞっ!!」
「済みませんが…………死んで下さいっ!」
クロスボウを射ったあと、ラテン系女性ギャングは、右から現れた、兵士ゾンビに首を噛まれた。
東南アジア系ギャングは、ハリガンバーを振り回しながら、フレッシャーを必死で倒そうとする。
ジャンピンガー達も、ピックアップの横で、戦うギャング達に飛びかってくる。
しかも、プロケト兵士の格好をした、防弾マッスラーまで歩いてきた。
ペティナイフを投げながら、ジャンは群がるゾンビ達を倒しながら走っていく。
メイスーは、パイプガンのポンプを引いて、散弾を放ったあと、駆けてくる。
「私も居るんだよっ! それっ!」
「ぎゃあっ!?」
「グオオオオオオーーーー」
左側から二人が来ると、ピックアップの下から、マチェットが振るわれた。
それは、モイラが放った、一閃であり、太平洋系ギャングの太足に怪我を追わせた。
ただ、半端に攻撃を受けたため、ヌンチャクを落とした奴は、マッスラーに捕まれてしまった。
そうして、もがいている間に、他の人間や群れなども、続々と集まってくる。
「ガウッ! ガウッ!」
「グオ、グオ、ウオン」
「ぎゃああああっ!」
「ゴアアーーーー!!」
左右から、フレッシャー&ジャンピンガー達が、太平洋系ギャングの太腕に、噛みついた。
もちろん、奴は両肩を、マッスラーに捕まれているため、身動きできずに叫び続けるしかない。
「この野郎、放しやがれっ!」
「近付くんじゃないわよっ!」
「グアアッ!?」
「アホがっ! 俺たちを忘れるんじゃねーー!」
「隙あり…………」
十四年式拳銃を撃ちまくり、黒人ギャングは、マッスラーの防弾ベストに、何発も弾を当てる。
アラブ系女性ギャングも、スーパーポーズを撃とうと、銃口を奴に向けた。
放たれた、8ミリ拳銃弾は、ジャンピンガーの背中にも命中して、奴を倒す。
しかし、そんな連中を狙って、ダニエルは両手で構えた、トンプソンを撃ちまくった。
その援護射撃を受けながら、ハチェットを片手に、エリーゼは走っていく。
二人は、ピックアップが前後に並ぶ、右側から一気に攻めてきた。
「ぐわああっ!?」
「きゃっ!」
トンプソンの弾丸を、黒人ギャングは、左から右にかけて、腹に何発も喰らってしまった。
アラブ系女性ギャングは、迫るハチェットの刃を、スーパーポーズドで何とか受け止めた。
「このっ! 死ねっ!」
「ぎゃっ! でも、負けないわ」
スーパーポーズドの銃身を振るい、アラブ系女性ギャングは、エリーゼを逆に押し飛ばす。
だが、彼女は散弾が放たれる前に、再びハチェットを左手に握り、前に飛びだしていく。
「グルアッ!」
「ギャアア」
「このくらいっ!」
当然、エリーゼの行く手を、フレッシャー&作業員ゾンビ達が止めようと、細腕に噛みついた。
しかし、攻撃を受けても、彼女は止まる事なく、アラブ系女性ギャングに向かっていく。
「ちょっ! まだ、来る? うわっ! ぎゃっ!」
「私は噛まれても、平気なのよっ!」
アラブ系女性ギャングの体に、作業員ゾンビ達が群がり、彼女は顔や肩を噛まれてしまう。
一方、腕に絡みつく、ゾンビ達を払いのけ、エリーゼは高く飛び上がった。
「うらあっ!? 決まったわ…………」
「うげげ? げがっ!?」
「グルアッ!」
「ギィィ~~~~」
エリーゼの放った斬撃は、アラブ系女性ギャングを袈裟斬りにした。
今度は、彼女を獲物にするべく、作業員ゾンビ達は、勢いよく襲いかかってくる。
「グゲッ! ギギッ?」
「ガガ、ギギギギッ!?」
「来るな、来るなってんだよ」
「助かったわ、後は後ろね」
トンプソンを、腰だめで、横凪に連射しながら、ダニエルは作業員ゾンビ達を射殺する。
こうして、エリーゼの正面から襲いかかろうとしていた連中は、一掃される。
「ウガガッ!」
「グ、アア…………」
「残りは、俺が仕留めるっ!」
「グギッ!」
「ギャ?」
他の兵士ゾンビ&ジャンピンガー達を、射撃しながら足止めしていた、賢一が叫ぶ。
彼は、ゴボウ銃剣を取り出すと、作業員ゾンビの頭を貫き、フレッシャーも同じく仕留める。
「他は、どうなっているんだ…………」
賢一は、二人を助けたあと、ピックアップのフロントに身を隠した。
そして、他の仲間たちも支援するべく、キョロキョロと視線を動かして、彼らや敵を探す。
「やってられないわっ! もう、逃げるわよっ!」
「この野郎、自分だけ生き残る積もりか?」
「グゴアッ!?」
「ほっとけ、どうせ、囲まれちまうっ!!」
ミニボウを背負い、アジア系女性ギャングは、我先にと、ゾンビの群れが少ない方へと逃げていく。
東南アジア系ギャングは、ハリガンバーで、マッスラーの背中を叩く。
ダガーを、何度も前に突きだし、東アジア系ギャングは、フレッシャーを穴だらけにする。
当然だが、ゾンビと戦闘する連中は、賢一たちを相手に戦う余裕はない。
「逃がさないわよ、喰らってしまいな」
「きゅああああっ!!」
モイラが握るコルト45の弾丸を、背後から左足に浴びて、アジア系女性ギャングは転んでしまう。
「ゴアアアアァァーーーー」
「くっ! こうなったら、下がるしかないかっ! うげあっ!?」
「おいっ? このっ! 後ろからは、お前らか? 殺られてたまるかっ!」
「そうだ、悪党を活かしておく必要はない」
「死にたくないのは、こっちも同じですっ!」
マッスラーを前にして、形成不利を悟った東南アジア系ギャングは、奴から素早く離れていく。
兵士ゾンビを、ダガーで突き刺しまくってから、東アジア系ギャングは、後ろを振り向いた。
「逃がさんっ! 悪党は、これでも喰らえ」
「うぐおっ!?」
「痛いっ! ぐあっ! よ、寄るなっ! ぎゃーーーー!!」
「ぐっ! 悪人なら仕方が…………」
モスバーグ500を構えるジャンが、放った散弾は、東南アジア系ギャングを背後から射殺した。
ダガーを突きだしてきた、東アジア系ギャングに、メイスーは丸ノコを投げて、右耳を斬った。
「クソがっ!」
右耳を押さえて、作業員ゾンビ達に噛まれながらも、東アジア系ギャングは、ダガーを振り回す。
その抵抗が上手くいき、連中を振り払うことに何とか成功した。




