ギャングと狩猟者
賢一たちは、地下駐車場を後にして、地図を広げながら漁港を目指す。
そして、街中を歩きながら敵を警戒しつつ、アチコチに目を向ける。
「うわっ! また、銃撃戦かっ! 逃げるか?」
「待って…………数が少ないわっ!」
T字路の先では、ギャング達が銃を撃ち合っている姿が、ここから確認できた。
賢一は、なるべく戦いを避けようかとしたが、モイラは聞き耳を立てて、敵が少ないと予想した。
「このまま倒しちゃいましょう?」
「それなら、一気に攻めようっ! もう少し近づいてから銃を撃とうとするか」
「また、戦いかよ」
「もう嫌です…………はあ」
モイラは、姿が見えるギャング達の人数を四人くらいだと見積もった。
賢一も、ARを構えながら背中を丸めて、T字路の先に見えるギャング達に近づいていく。
仕方なく、ダニエルはトンプソンを抱えながら、電柱や看板などに身を隠しつつ走った。
ミニボウを構えて、メイスーも敵を狙い、いつでも狙撃できるように待機する。
「撃ち殺せっ! 敵は、二人だ…………は?」
「撃ち返せっ! ぎゃああああ」
「んんーー!」
「んふーーー!?」
ラテン系のギャングは、グリースガンを撃っていたが、眉間に風穴を開けられて、力なく倒れた。
ソードオフを握る黒人ギャングも、胸を撃ち抜かれると、後ろに吹き飛ばされた。
その側では、口や手足などを縄で縛られて、白人男性が身動きできずに騒いでいた。
アジア系の女性も、同じように拘束されており、地面に横たわったまま、慌てるしかない。
迷彩服&ギリスーツ、ベージュや茶色のベスト&ズボンを履いている連中が、彼らに近づく。
「終わったな? コイツらは、ゾンビの餌にしよう?」
「そりゃあ良い、連中も腹を空かせているだろうからな」
「へへっ! お前ら、助かったと思うなよ?」
「さて、どんな罠を仕掛けてやろうか…………フヒヒ」
「んふんんーーー!!」
「むーーむぅぅ~~!?」
カウボーイハットを被る白人男性は、ヘンリー小銃を構えたまま歩いてくる。
日除け帽を被る黒人男性も、レミントンM870を抱えて、人質たちに近寄っていく。
プーニハットを脱ぎながら、アジア系の男性は、M1903狙撃銃に弾を込める。
麦わら帽子をヒモで、背中側に回している太平洋系の男性は、村田銃を左肩に担いでいた。
白人男性とアジア系の女性は、新たな悪党たちが登場したため、恐怖で震えるしかない。
「奴ら、狩猟者だ? 普段は密猟している連中だろうっ!」
「ええ、たまに警察に捕まえられてましたね? ニュースに出てました」
ジャンとメイスー達は、それぞれの無音武器を構えながら、静かに相手を狙う。
「分かったっ! 二人とも無音武器で狙撃手を倒してくれっ! 行くぞ…………1、2、3」
「えっ! は、はいいっ!」
「ここからなら、射程距離だっ!」
「私たちも撃つわよっ!!」
AR15を構えながら、賢一は無音武器から矢が射出されるのを待つ。
メイスーは、少し慌てながらも、ミニボウから素早く手を離した。
ジャンも、敵を確りと目標に定めると、鷹のように目を鋭くして、引き金を軽く動かす。
二人が射ったあとに、モイラはM4カービンを、三発ずつ連射した。
「うぎっ!!」
「奇襲か? ぐぎゃあっ!」
「うわっ! 撃ち返せ、せ?」
「げぼあっ!?」
白人男性は、胸を弓矢に貫かれてしまい、真後ろに倒れながら白眼をむく。
アジア系の男性も、右肩を矢に貫かれるとともに、勢いよく吹き飛ばされた。
銃撃を受けて、アジア系の男性は吐血しながら、地面に転がった。
背中を丸めながら、太平洋系の男性は、腹から血を滴して、ゆっくりと事切れた。
「んんーー! むふ、むふっ!」
「んーー! んん~~~~!?」
「黙っていろ、今助けるからな」
「縄を切ってやろう」
白人男性とアジア系の女性は、騒いでいたが、賢一が説得すると黙った。
その間、ジャンが右手に握るダイバーナイフを取り出して、拘束を解こうとする。
「はあ? 助かった、アンタらもギャング達かと思ったよ」
「本当に、ダメかと思ったわよ…………」
そう良いながら、白人男性は、狩猟者が握っていたM1903や弾を拾った。
彼は、茶色がかった金髪ロングヘアで、青い目が目立ち、上下に赤スウェットを着ている。
同じく、アジア系の女性も村田銃を拾って、死体を探って、使えそうな物を探す。
彼女の方は、黒髪をベリーショートにしており、白い肌で、茶色いワンピースを着ていた。
「アンタ達は、何で捕まえられたんだ?」
「物資を探しに歩いていたら…………」
「グェェェェ」
「ギャアアアア」
賢一が、白人男性に質問すると、遠くからゾンビ達の叫び声が木霊した。
「はっ! 不味いっ! アンタら、こっちに来てくれっ! 俺は付近で働いているから道は分かっているっ!」
「はあ? …………行くしかないか、行ってみるか」
「ゾンビから逃げられりゃ、どこでも良いわよ?」
白人男性は、狩猟者たちが歩いてきた方に向かっていき、賢一とモイラ達も彼を追っていった。
彼らは、右の道に曲がって進み、立ち止まることなく、ひたすら走り続ける。
「ギャアアアアーー!!」
「グエエーー!!」
「グルルルル」
「ガオオオーー!?」
右側からは、白人女性フレッシャー&黒人ジャンピンガー達が走ってくる。
左側からは、黒人ジャンピンガーと白人ウォーリアー達が突撃してきた。
「ギャアアアアーー!!」
「もう、そこまで来てるわね? ヤバイわ」
「ひぇぇーー! 噛まれちゃいますっ!」
「うるさいわね…………噛まれたくらいじゃ、私たちは死なないわよ」
先っぽが、真っ赤に塗れた竹槍を抱えながら、白人ウォーリアーが、追いかけてくる。
モイラは、地雷を仕掛けようかと思いながらも、ただ真っ直ぐ走る。
敵の叫び声を聞くと、メイスーは物凄く怖がり、逃げる速度を上げた。
冷静な口調だが、エリーゼの額には汗が滲みでており、内心では焦っているようすが伺えた。
「トニー、まだなの? もう追い付かれるわよ」
「シンシア、心配するなっ! あそこだ」
アジア系の女性が声をかけると、白人男性は巨大な建物を指差した。
「ここの管理人だから、鍵は持っているぜ」
走りながら、両ドアまで走っていくと、トニーは急いで、ロックを解除した。
「さあ、君たちも中に入ってくれ」
トニーと呼ばれた白人男性は、中に入るなり、手を振りながら、みんなを誘導する。
「援護する、お前たちは先に入れっ! 行け、行くんだ」
「私も、クレイモア地雷を設置するわ」
「ひぇぇーー!!」
「頼んだぜ、ブラザー!!」
賢一が、AR15を撃ちまくる間、モイラは地面に罠を設置して、敵が来るのを待つ。
そうこうしているうちに、メイスーとダニエル達が、先に建物へと逃げ込んだ。
「ギャアアアアッ!? グエ、グフッ!」
「グワーーーー!?」
「もう、ここまで来たか? ハリガンバーで、頭を潰してやるっ!」
「いや、今は逃げ込むのが先よっ!」
「そうだわ、さあ貴方たちも中に入るのよ」
ライフル弾を、何発も胴体に喰らった白人ウォーリアーは、前のめりに倒れる。
黒人女性フレッシャーは、クレイモア地雷を踏んで、爆風で足が吹き飛ぶ。
ジャンは仲間たちを守るために、敵を迎え討たんとしたが、エリーゼは彼の襟首を引っ張った。
両ドアから、シンシアと呼ばれたアジア系の女性は、二人を心配そうな顔で見ていた。
「俺たちが最後だなっ!」
「ええ、閉めるわよっ!」
「ギャアアァァァァ」
「グアアーー!!」
タイミングよく、賢一とモイラ達は、同時に両ドアへと走り込んだ。
それとともに、中に入れなかったアンデッド達が、壁や窓をドンドンと叩いた。
■ 武器説明。
⭕️ M1903。
射撃場に置いてある、第二次世界大戦時の小銃であり、スコープは着いてない。
しかし、装着してある狙撃銃タイプや、民間人が追加させた物がある。
⭕️ 村田銃。
近隣諸国で、戦前の日本統治時代に、日本人が持ち込んだ物や、輸入した品が今でも使われている。
また、戦後も中古品が流通したため、かなりの数が普及している。
村田銃自体が、旧式の軍用銃や洋式銃などを改造したり、様々な職人が模倣して作った。
中には、火縄銃を村田式にした物もあるため、見た目は千差万別である。
また、プロケトでは近年製造された密造銃も、この名前で呼ばれている。




