ギャングとゾンビ達から逃げて
アンデッド達が走り、機銃掃射が繰り返される中、賢一たちは電気屋の中に潜んでいた。
「よし、この間に進むぞっ!」
「隣の建物だね」
賢一とモイラ達は、ギャング集団とゾンビの群れに発見されないように移動する。
彼らは匍匐しながら、店内を通り抜けて、次の建物に向かうため、窓から路地に出る。
「うらあっ! うらあっ!」
「はやく来やがれっ!」
「弾が切れるまで、撃ちまくれーー?」
「このっ! うぎゃっ!」
「ガアアーーーー」
「ギャッ! ギッ!」
「グルアア~~!?」
「ゲロロ」
黒人ギャングは、M1カービンピストルを乱射しながら、ゾンビの群れを押し留めようとした。
ラテン系のギャングも、フレッシャー達を押し留めようと、鉄パイプ槍を振るう。
テクニカルの荷台から、白人ギャングはM2ブローニングを撃ちまくる。
アラブ系のギャングは、運転席から降りて、バールを振るったが、強酸を顔に浴びて倒れる。
白人女性フレッシャーは、猛烈な勢いで走っていき、目を血走らせる。
黒人ジャンピンガーは、大口径弾を胸に何発も撃たれて、肉片と化す。
防弾兵士ウォーリアーは、鉄パイプ槍を構えながら突進してくる。
建物の屋上に向かって、スピットゲローは飛び移り、そこから鳴き声を上げる。
「連中、撃ち合ってるな? この隙に逃げ出すぞっ!」
「ええっ! ゾンビに見つからないように、行きましょう」
賢一とモイラ達は、路地を通り、ゾンビと出くわさないように歩いていった。
銃声を上げないため、彼らは白兵戦用の武器を構えながら身を低くして去ってゆく。
「ギャアアアアーー?」
「グルアア~~」
「来たぞっ! 隠れろっ!」
「この店に入るんだよっ!」
白人警備員ゾンビが、小走りしてきて、黒人警備員ウォーリアが、ツルハシを振り回しながら走る。
賢一とモイラ達は、何の店かは分からないが、とにかく左側にあるシャッターに入り込んだ。
そこで彼らは、左右の壁や木箱などに身を隠して、ひたすら群れが通りすぎるのを待つ。
連中が居なくなったあと、再び路上に出ていこうとして、路地を見張る。
「撃ちまくれ~~~~!?」
「グアアアアーー!!」
「まだ、撃ち合っているようだ…………」
「はやく離れようぜ?」
「そうです、行きましょう」
ギャングとゾンビ達が、戦っている声や銃撃音が路地に鳴り響く。
駆け出したばかりの賢一は、それを聞きながら、振り返ることなく、真っ直ぐに突き進む。
ダニエルも、後ろをチラ見したあと、すぐに踵を返して、反対側の道路にむかう。
メイスーは、顔に恐怖を浮かべながらも、とにかく前へと走っていく。
「分かってるっ! うわっ! このおっ!」
「ギャオオオオッ!?」
「フッ! 死になっ!!」
賢一の前に、いきなり現れた白人ゾンビは、AR15で、壁に押さえられつけられる。
その首筋を、モイラが多用途銃剣で切り裂き、絶命させて、死体と化した奴が力なく転がる。
「ふぅ、モイラ? 助かった」
「ええ、それより、急ぎましょうっ!」
「後ろから来てるぞ」
「路地を出るしかないわっ! 走って」
「グエエエエーー!?」
「ギャアアアア~~~~!!」
賢一とモイラ達は、間もなく、太陽光の差し込む出口にたどり着こうとしていた。
ジャンは、九九式軽機関銃を乱射して、エリーゼもMP28を連射しまくった。
機銃弾に体を貫かれて、白人フレッシャーと黒人フレッシャー達は、転がりながら死んでいく。
拳銃弾を一気に浴びた黒人ゾンビや白人女性ジャンピンガー達も、足留めされる。
「ああ…………ん? ジープが、まだ残っていたか」
「サイドカーもあるわっ!」
「アレに乗りましょうっ! 乗って、逃げるんですっ!」
「敵を押さえてやるから、はやく準備してくれっ!」
賢一は、路地から出てから、血で汚れているケネディ・ジープに乗り込んだ。
モイラも、赤いサイドカーを見つけると、刺さったままのキーを回す。
メイスーも、車の助手席に乗ろうと走ってきて、後ろに振り向いて、敵を眺める。
ジャンは、九九式軽機関銃を振り回して、敵を牽制しながら、エンジンがかかるのを待つ。
「行くぞ、みんな乗ってるな?」
「私で、最後よっ!」
「ジャン、すぐに乗りなさいっ!」
「分かっている」
「ギャアアアアアア」
「グアアーーーー!」
ケネディ・ジープを、ゆっくりと走らせながら、賢一は後ろに声をかけた。
すると、エリーゼはMP28を撃っていたが、弾切れになると、一気に飛び上がる。
モイラは、ジャンに声をかけたあと、サイドカーを段々と加速させる。
その背後に、ジャンピンガーとフレッシャー達が迫っていたが、車には追い付けなかった。
こうして、危機を脱した車両部隊は、しばらくは襲撃を受けることなく道路を進んだ。
「は? バリケードだ? いや、検問所だった跡だ…………ここも、ゾンビやギャングに殺られたようだな」
「せっかく、車両を手に入れたけど、これじゃ? また歩くしかないわね」
ケネディ・ジープを停めた賢一は、検問所を前にして、鼻腔を刺激する死臭を嫌がりながら呟く。
モイラも、サイドカーを停めると、近くの警察官だった死体を蹴った。
だが、死体に何の反応もなく、ただ普通に死んでいることが分かった。
ここには、ほかに車両突入禁止に使うコンクリート壁が、並べられている。
また、三菱アドベンチャー&トヨタ・イノーバなどが、二台ずつがあった。
「撃たれているし、噛まれた後もある? 戦っている最中に、ゾンビが乱入してきたんだな」
「武器は落ちてないね? 誰かが拾っていったようだわ」
「この先は、また歩きかよ…………トホホ」
「文句ばっか言ってないで、行くわよ」
コンクリート壁には、警察官の死体が凭れかかっており、路上にはギャング達が倒れている。
パトカーには、無数の弾痕が開き、血飛沫などで真っ赤に汚れていた。
賢一とモイラ達は、壁を跨いで向こう側へと進んでいき、敵を探しながら歩く。
ダニエルは、エリーゼに背中を押されながらも、壁の隙間から足を通して、道路を進んでいった。
「ん…………敵か? バリケードがある」
「やだ、怖いっ!!」
「偵察してくる、みんなは待っていて」
道路には、事故車両や残骸などが散らばり、ここでも激しい戦闘があったと分かる。
そんな彼らの前に、木箱を真ん中に起き、両脇をドラム缶で固めたバリケードが見えた。
賢一は左側から近づいていき、メイスーはミニボウを構えて、敵が頭を出さないかと見張る。
モイラも、M4を構えながら素早く走り、足音を立てずに右側から段々と向かっていった。
「誰も居ない? ギャングの拠点の一つか?」
「物質が無いから、恐らくは仮の拠点にしているのかもね」
木箱に囲まれた拠点には、誰も居らず、賢一とモイラ達は、呆気に取られてしまう。
「ゾンビに追われて、みんな逃げちまったか? ふぅーー」
「誰も居ないわっ! 罠も無いから安心よっ!」
「分かったわ」
「なんだ、脅かしやがって…………」
バリケードの中には、パイプが幾つかあるだけで、賢一は溜め息を吐いてしまう。
クレイモア地雷やパイプガン等が、どこかに隠してないか、モイラは隅々まで調べた。
だが、何もなかったため仲間を呼ぶと、エリーゼがMP28を構えながら走ってきた。
気だるそうに背中を丸めて、ダニエルも木箱を乗り越えて、それを椅子の代わりにして座った。
「見つけたぞっ! 私兵の仲間だっ?」
「アイツらを撃ち殺せっ!」
ちょうど、その時、今まで歩いてきた道に路地から、ギャング達が飛び出てきた。
「ヤバイッ!? ギャングが来たぞっ!?」
「すぐに、木箱に身を隠せっ!」
AR15を構える賢一は、しゃがみながら木箱に身を隠して、すばやく射撃を行う。
ジャンも、九九式軽機関銃の二脚を、ドラム缶に置いてから直ぐに連射した。
「な、なんだい? 後ろからも敵の車両が来たよっ!」
「アレは、ギャングじゃないっ! 私兵部隊だっ! ニュースで見たことがある」
「見つけたぞっ!!」
「敵発見、散会しろ」
車輪が回る音を聞いて、モイラが後ろに振り返ると、そこにはテクニカルが走ってくる姿が見えた。
ジャンも、一瞬だけ振り返ると、敵が私兵部隊であると分かった。
連中は、青灰色や黄緑色などの野戦服に、野球帽を被り、黒い防弾ベストを着ている。
白人私兵は、車から降りると、近くの店に隠れて、M4カービンを構えた。
黒人私兵も、荷台から車載されたM1919機関銃を撃ってきた。
■ 武器説明。
⭕️ M1919。
この銃は、第一次世界大戦末期に、アメリカ合衆国で開発された重機関銃である。
第二次世界大戦では、重機関銃だけでなく、戦車や各種車両の車載機銃としても運用された。
また、銃自体の重量を軽くして、航空機銃としても使用された。
アメリカ軍で広く配備が行われて、第二次世界大戦における主力機関銃の一つとなった。
1957年に、M60機関銃が採用されると、徐々に更新されていった。
しかし、ベトナム戦争の頃まで使用された上に、東南アジア等では、未だに現役で配備されている。




