養生訓について
【養生訓】
正徳二年(1712年)に福岡藩の儒学者であり、医者であり、本草学(薬学)者でもあった貝原益軒(1630年12月17日~1714年10月5日)が83歳の時に記した心と体の為の養生指南書。
健康長寿の秘訣だけでなく、『人としての道』についても書かれている。
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≪【養生訓】の内容≫
〖第一巻 総論上〗
・欲を抑制すること
・内敵と外敵について
〖第二巻 総論下〗
・規則正しい生活を送ること
・偏ってはいけないということ
〖第三巻 飲食上〗
・適切な飲食や休息について
・適度な運動をすること
・身の回りを清潔にすること
〖第四巻 飲食下・飲酒・飲茶付たばこ・慎色欲〗
・体に良い食べ物や飲み物について
・色欲を慎むこと
〖第五巻 五官・二便・洗浴〗
・心は体を司るということ
・体のつくりについて
・入浴について
〖第六巻 慎病・択医〗
・病について
・予防について
・医学について
・医者を選ぶこと
〖第七巻 用薬〗
・薬の効能と害について
・薬に頼り過ぎず、薬を飲まなくてもよい体を保つこと
〖第八巻 養老・育幼・鍼・灸法〗
・老後の過ごし方について
・子供の育て方について
・鍼灸について
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≪【養生訓】以外の著書≫
【黒田家譜】
・1671年~1688年
・福岡藩第三代藩主・黒田光之の命により編纂された黒田家に関する記録
【筑前国続風土記】
・1688年~1709年
・筑前国(福岡県)に関する地図や風土を記した書物
【花譜】
・1698年
・四季ごとの植物の育て方などについて書かれた書物
【大和本草】
・1708年
・日本の植物や鉱物について記した日本初の本草書
【和俗童子訓】
・1710年
・日本初の教育書
【南遊紀行】
・1713年
・1699年頃、貝原益軒が京都や大和(奈良県)、紀州(和歌山県)などを旅した際の紀行文
【慎思録】
・1714年
・人としてどう生きるべきかが書かれている書物
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江戸時代、日本人の平均寿命は30歳代であったと言われている。
そんな中、貝原益軒は84歳まで生きた。
貝原益軒は幼少の頃、とても虚弱であった。
其の為、人一倍健康に気を使った。
其の実体験を基に、貝原益軒は『養生訓』を書いた。
また貝原益軒は読書も好きで、博識であった。
ただ貝原益軒は本による知識を得るだけでなく、自然の中で暮らし、歩くことも好きで、外に出て自分の足で歩いて、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、多くの体験をして、多種多様な知識も身につけた。
父親の仕事の関係で、転居も繰り返した。
もしかしたら其れにより、色々な場所へ行くことに抵抗がなかったのかもしれない。
もともと好奇心旺盛でもあり、様々なことに興味関心を抱いていたことが、彼の後の人生に大きな影響を与えたのであろう。
旅行も好きで、京都へは24回、江戸へは12回、長崎へは5回行き、行く先々で多くの学者から訓えを受けた。
貝原益軒は、儒学、経学(儒教の訓えが書かれた経書について学ぶこと)、医学、本草学、歴史、民俗学、地学、農学、教育学、言語学を学び、其れらの知識と自分の経験を以て生涯に60部270余巻の著書を遺した。
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自分にとって有益な情報があったとしても、其れが『合う』『合わない』、其れを『やる』『やらない』、其れが『出来る』『出来ない』、其れを『選ぶ』『選ばない』は、自分の状態や自分を取り巻く環境によって異なる。
其れは、人それぞれである。
何かを決断する時、自分にとって『何』が最善であるのかを自ら判断し、自ら選択しなければならない。
『答え』は、自分自身で見つけなければならない。
そして自分で選んだ『答え』は、自分で『責任』を持たなければならない。
先人の言葉や歴史には、もちろん嘘偽りもある。
しかし其の中には、必ず『真実』が隠されている。
先人は、必ず『真実』を遺してくれている。
『真実』は、記録と記憶に残っている。
『真実』は、歴史の中に必ず残っている。
だから、決して消えないし、決して消せない。
そして其の『真実』には、難局を打開する為の、そして≪未来≫を生きる人達の為に≪未来≫を残す為の『糸口』や『答え』が必ず在る。
私達は、【其れ】を見つけなければならない。
一見、何の関係もないような歴史上の出来事である『点』が、何処かで必ず時代や場所を越えて『線』で繋がっている。
≪過去≫の『点』が≪今≫と≪未来≫の『点』に、≪今≫の『点』が≪過去≫と≪未来≫の『点』に、≪未来≫の『点』が≪過去≫と≪今≫の『点』に、全てが『線』で繋がれている。
私達は、【其れ】を大切にしなければならない。
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〖参考文献〗
貝原益軒 松田道雄 訳 『養生訓』(1977年)中央公論新社




