第3話 面倒なやつ。
どこか見にくかったり、違和感があるかもしれません。
もし不備があれば指摘して下さるとありがたいです。
第3話 面倒なやつ。
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次の日…。
1年2組。うちのクラスで比較的明るく楽しいクラスだ。そんな楽しいクラスの中でも特に俺は人一倍明るく楽しんでいた。
「いやぁ…楽しかったなぁ。」
「鼻の下伸びてるぞ。」
「へへっへへ。」
「ダメだこりゃ」
風弥が呆れていると後ろの方から何者かの気配を感じた。
「入学早々…きもいぞっ!」
朝から鋭い痛みが俺の頭から響いていく。
俺と秀佳先輩の昨日のキャッチボールの風景から一筋の光が広がった。
おそらくは…。
「痛ってぇ!教科書でぶつなよ…。空乃。」
「えぇ〜?私は楽しいのになぁ?」
ニヤニヤとこちらに悪めいた笑顔でそう言ってきたこいつは時田空乃。
中学の頃からの同級生で俺によくちょっかいかけてくる。小悪魔的で少し意地悪な奴だが、その一方でチアのセンターも務まることもある。
おかげでこの学年の間でも噂になってるらしい。
「おはよー。空乃さん。」
「おはー風弥くん。」
俺のことを差し置いては2人は穏便に挨拶している。なんで俺には優しくねーんだこの人は。
がらがらっと教室のドアが開いて、入江先生がホームルーム始めた。明日からいよいよ高校での勉強も始まる。今日で最後の午前授業。しかしそれと同じくして野球部の練習も本格的になるだろう。しっかりやらなきゃ。
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「じゃあ、今から委員会と係決めます。」
「一人一つ強制的に入ってねー。」
学級委員の千葉 雄真と葉山 凛香(はやま りんか)の指導の元でクラスを動かしている。正直二人との関わりはないけど、これからは関わっていくのも面白そうだ。
とりあえず、隣にいる風弥に声を掛ける。
「委員会と係か…。風弥は何やる?」
「保健委員やろうかな。」
「お前は、毎回そうだよな。小中の頃もそうだったし、」
「そういう日跡は何やるの?」
「んー…。」
俺はあくまでも、高校で野球やりにきただけであって、係と委員会をやりに来たわけじゃない!ソウダソウダ。
ヴヴヴ
俺の右太ももに響き渡るバイブレーション。
なんかの通知かと思い机の下から通知を確認する。
instglam
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空乃「何やる?」
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通知相手は空乃だ。なんで授業中、急にメッセージ送ってくるんだ?
「どした?」
横から風弥に話しかけてきた。
咄嗟に小声で喋る。
「空乃からだ。」
俺はポチポチとスマホをいじって空乃とやり取りをする。
Instgram
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空乃「何やる?」
日跡「特に決めてない」
空乃「一緒になんか
やろ!」
日跡「俺なんかでいいの
か?」
空乃「話せる人も仲良
い人がいないの。」
日跡「わかった。空乃に
任せる。」
空乃「文化祭委員とか
良さげ」
日跡
( ・∀・)b OK!
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ちらっと前のほうを確認する。すると空乃はさっきの表情とは違う笑顔手を大き降っていた。
いつもあんな感じだったらいいんだけどなぁと
不貞腐れながら頬杖立てた。
そうしていよいよ文化祭委員の番がきた。
「それじゃあ、文化祭委員やりたい人。」
サッと仕方なく手を上げた。
空乃もしっかりとあげていた。どうやら罠でも仕掛けでもないと少し安堵した。昔は何故かはめてきたからなぁ。
「えっと、女子は決定だね。」
「男子は5人か……」
「へ?」
気づかなかった…。なんか凄く多い。文化祭実行委員ってこんなに人気なんだと思いながらも
どこかあの人達のよく分からないだけど殺意のあるオーラがひしひしと感じてた。
「「「「……」」」」…ゴゴゴゴ
「じゃあ、希望する男子は前に来て。」
千葉の掛け声と共にあの5人はそそくさと教壇の所へ向かっていく。当然俺も行くはめになった。
「えぇ…。めんどくさい。」
「まあ、頑張れよ。」
ポンっと背中を押されては渋々と俺は教壇へ向かっていく
「へいへい。」
とそのまま、あのオーラのすごい4人組の所へ向かった。
しかし、何をコソコソと話してるんだろう?俺には聞こえないぐらいの声で何かを言ってる。
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「うーん、どうやって決めようか。」
千葉がどうしようか悩んでいると隣にいた葉山が提案した。
「私たちのクラスらしく、エンターテインメント性にしてジャンケンにしよう。」
え、ここは普通に演説とかそういうのじゃないの?じゃんけんってほぼ運じゃないか。
「ってことで大丈夫ですか?入江先生。」
「まここは自己推薦とか演説でやるんだけど、まあ、いいか。面白そうだからね!」
それでいいのかよ!?入江先生は野球と英語のこと以外には興味無いのか?と心の中でツッコんで唖然としているとあの4人組は固まって何かをしている。
「いいか、まずはあいつを蹴落とすぞ。」
コソコソ
「あぁ、アホそうなやつからだな……。」
コソコソ
「さっきも時田さんとイチャついてたし…」
コソコソ
「リア充撲滅だ……」
コソコソ
何話してんだろう?っと思っていると何者かの視線がこっちに向かって1点集中されてるような気がした。ちらっと横の方を見てみる。
「……グヌヌ」
なんだろう…空乃の勝たないと一生恨むぞってオーラが凄い……。その様子を見て風弥は、のほほんとした表情で俺を見てくる。あいつ表情はスンっとしてるけど絶対楽しんでるだろ。
…なんで全員は季節組の奴らなんだ?
「…あいつは野球部だ。ストレートの構えは?」
コソコソ
木下 柚陽。
クラスの中で生粋のオタクだ。
特にラノベとかアニメが好きらしい。
オタクたちの集まり、季節組のリーダー?
らしい…。
「そうか!2本の指……」
コソコソ
岡田 捺実。
季節組のサブリーダー的なやつで
ゲームとVIDOLが好きらしい。
月に何万か推しに貢いでるとかなんとか…。
「つまり、あいつは癖でチョキを出す…」
コソコソ
甲斐田 彰人
季節組の切り込み隊長?らしい
アニメとネトゲが好きなオタクだが
意外とコミュ力があり、千葉とも絡みがあるようだ。
「俺らはグーを出して。その後は恨みっこなしだ……いいな?」
上島 冬樹
季節組の頭脳担当? らしい
オカルトと読書が好きで街でやっている
怪談のイベントでも足を運ぶ。
時田は苦手なようだ…。
「「「「……グッ」」」」
……やっぱり何考えてんだ
「「「「「最初はグーじゃんけんっ!」」」」」
(勝った!)
(悪いな…少年……。)
(お前をここで倒すのだ!)
(空乃さんと近づきたい俺らの為に!)
「「「「「ポンッ」」」」」
「あ、勝った。」パー
「……!」
「……ふっ。」
「じゃあ、文化祭委員は時田さんと長岡くんで…。」
ふう、終わったと思いながら席に着こうとすると季節組がつっかかってきた。
「待て待て!」
「なんでチョキを出さねぇんだ?」
「ピッチャーは普通チョキだろ!?」
「俺らを裏切りやりあがってえ!?」
…何を言ってるんだこの人達は?
確かにピッチャーのストレートも大事だけど、
「…あぁー最近のチェンジアップの癖かも。親指と人差し指で輪っか作って中指と薬指と親指で握って、小指を添えるから…。まあ、とにかく変化球の癖を付けたくて」
「「「「なん……だと?」」」」
「昨日、部活の先輩が他の変化球も覚えとけって言われてて、アンダースローに使えたらと…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2年4組。
「……ヘックション!」
「おいおい入学早々、風邪かー?」
「…うっせ。」
「文化祭委員。雪見さんと頑張れよ」
「……まあ、あいつとはなんとか上手くやれるよ。」
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「「「「……」」」」トボトボ...
なんだろう、さっきまでの殺意なのか覇気なのか、よく分からないオーラから一転、暗くどんよりとした空気が彼らを包み込んでいるような気がした。
「……よしっ。日跡と一緒だ。」グッ
「……。」
空乃は机の中で拳を作っている。
まあ、俺以外の奴と組んでもコミュニケーションが難しいだろうしな。
風弥と目が合う時には何故かニヤニヤと表情を浮かんでいる…何考えてるのかよく分からないけど。
「じゃあ、改めて文化祭委員会は時田さんと長岡くんで決定!」
「はい、拍手ー!」
パチパチパチ
大きな拍手の中、急いで自分の席に着く。少し恥ずかしいのでまた、頭をボリボリ掻きながら
ゆっくりと椅子に腰をかけ大きくため息をついた。
「お疲れ。」
風弥はめちゃ気を使えるやつや。流石バッテリーで相棒だ。
「じゃんけんの時、空乃の奴がめちゃ睨んでたわ」
「…まあ、知らない奴と組むのは女子からしたら嫌だからな」
(ちょっとヤバいやつらだったし…。)
「まあ、それはそうだけど…。」
「あ、手あげなきゃ。」
「…。」
空乃がちらっと俺の方見てきた。なんだ、まだ文句あるのか?と俺は不思議そうに自分でもわかるぐらい首を斜めにした。
「……ありがとう。」
ボソッと何かを行った後に
空乃のあんたやるじゃんていう顔でこちらにピースサインしてきた。心做しかあいつの身体は少し震えている。相当、あの人たちと関わりたくはなさそうだな…。俺もストレートの構えをするかのように空乃にピースサインしていた。
「くそぅまたイチャつきやがって…。」
コソコソ
「次だ!次こそは……。」
コソコソ
「あの二人の邪魔をしてやる……」
コソコソ
「空乃さんに近づきたかった……」
コソコソ
またさっきの4人組の方から何かが聞こえた。
やっぱり何考えてるのかよく分からないな…。
「んーと、保健委員やりたい人。」
葉山がそうみんなに伝えると風弥はすかさず真っ直ぐに早く手を上げていた。
スッ
「お、決まりだ!」
さっきまでとは違い誰も手を挙げてはいなかった。なんでだ?これこそ人気のありそうな委員会なのに…。そいえば風弥ともうひとり誰だろう?
「白崎くんと須見さんだね。はい拍手ー。」
パチパチパチ
「えっと、よろしく。」
「あ、えっとよろしくお願いします…」
風弥は軽く会釈してそう言い、
須見さんはぺこりぺこりとしながらも
挨拶をしていた。
どうやら風弥の後ろの席の須見さんが保険委員か。
あれ?そいえば須見さんって…。
須見 日向子。
確か、部活は吹奏楽部たった気がする。
引っ込み思案でとても大人しい。
いつも一人で本を読んでいるような人だ。
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「よし、全員決まった感じやね。」
「残り時間は20分頃か…。どうします?先生。」
「そうだな…。まだまだ初めましての人が多いから委員会と係で集まって仲を深めみてはどうかな?」
「じゃあ、そゆことで係と委員会で集まってね。あ、集合は適当でー。」
葉山のだるそうな感じでみんなに言い聞かせては、俺はすぐさま空乃の方へと向かっていた。
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空乃の前の席に座り込み対面の状態。
まあ、こいつの顔は特に変わらずむうとした顔で机に頬をくっつけている。
早速、口を開いたのは空乃の方からだ。
「とは、言われたものの何話す?」
「あー。去年の文化祭の出し物見てみるか?」
「あんた、偶にいいアイデア浮かぶよね。野球バカのくせに。」
「バカとは失礼な…。」
空乃はポチポチとスマホで検索して樋野栄高校の文化祭を調べた。うちの高校では受験生や中学生の為に、学校の様子を動画に映している。
当然、俺も受験期の頃もサイトにアクセスしてそれを参考にして高校の面接もやった。
「へー。こういうのもありなんだねー。」
「メイド喫茶は…3年のお約束みたいだな…。男装喫茶?もあるみたい。」
前の学年の様子や部活の様子、ありとあらゆる情報を集めつつ、去年の秀佳先輩を探していた。空乃が動画を少し巻き戻して、指をさして俺に呟いた。
「あ、秀佳先輩だよ。」
「……!」
ボーッと見ていた文化祭から一転して今度は秀佳先輩を見ていた。1年の頃の秀佳先輩…。
去年のクラスでは販売をしていたのだろう。
せっせとポップコーンを作っては接客を華やかに行っていた。
「1年の頃も綺麗だねぇ。一人一人に笑顔も容易くやってるし…天使だねぇ。」
「……。」
「やっぱり凄いよねぇ。学校内のマドンナで人気者だよねぇ」
「……。」
「それに、さ……。」
「……。」
「……が好きになるのもわかるよ。」
空乃が何かを言っていた気がする。秀佳先輩の事を見とれていたあまり、話を聞いてなかった…。ぼーっとしている頭を今度はアスファルトに叩きつけられるような光が走った。
「いつまで何見とれてるんじゃいっ」
「いてっ、今度は筆箱で叩くな」
「全く、秀佳先輩に見とれすぎ。」
「なっ!見とれてなんか…。」
「素直なところは中学の頃とは変わってないのね……」
「……ったく。」
気づかれていたか?空乃はやれやれと手の甲を机に向けて、目を閉じては首を左右に降っていた。まあ、見とれていたのは事実だが、空乃にこの事を言うと、なんて言い返されるのやら。
面倒なやつ。
しかし、見とれてる間に一瞬、どこか弱そうに何かをボソッと言われたような気がした。
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放課後。
めちゃくちゃ腹が減った…掃除を終わらしたあと、帰りのホームルームを終え13時半から部活が始まるので学食で腹をごしらえする。
「日跡、学食行こうぜ。」
「おう。いつでも行ける!」
「空乃さんは…。」
俺と風弥は空乃の方へ視線を向ける。
何やら空乃を中心に賑やかになっている。
「昨日のMステみた?」
石塚 美颯。
イマドキ女子で陽キャな女子だ。
流行に敏感で、SNSやファッションも最新トレンドを押さえているみたいだ。
「うん、みたよー。リセスの歌、良かったよねー!」
「めちゃわかるー!本当に神だよねー!」
「ねね、時田ちゃんのインストフォローしていいかな?」
村田 華香
初めて会う人にも臆せずに話しかけられる明るい性格の持ち主だ。
彼女は自然な笑顔を絶やさず、相手の目を見て丁寧に挨拶することで、相手に安心感を与え
「もちろん!」
「ありがとう!!めちゃ連絡するからそしたらみんなで遊ぼー!」
「もちのろん!」
と女子や男子に囲まれてわらわらとしている。
「あいつ、自分人見知りだからーと言う割には結構喋れてるよな。」
「まぁ、空乃さんはクラスのマドンナ的存在だからな」
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食堂。
空乃を誘いたかったが仕方なく、俺と風弥とで
学食の唐揚げ定食を頬張る。食べていく中で俺は空乃の中学時代を思い出した。
「そいえば、中学の頃とかもやばかったよな。ほら、色んな人から…。」
「あぁ、確かに凄かったな。」
風弥も心当たりがあるのだろう唐揚げを食べ終えた後に口を開いて思い出話をする。
「中学でもあの人、モテていたからな。」
風弥は続けて一人一人の事を話していく。
ーーーーーーーーーーーーーーーー回想と過去
「同じクラスの橘とか」
「好きでした!付き合ってください!」
「ごめんなさい。」
「クラスでも噂になってて居づらそうだったな」
「サッカー部エースのイケメン北島先輩とか」
「良かったら付き合ってもらえるかな?」
「ごめんなさい。」
「めちゃもったいないと思ったんだけどなぁ」
「軽音部の顔 野上先輩とか」
「好きだぁー!俺と付き合ってくれえ!」
「ごめんなさーい!」
「あの時の学園祭の体育館で冷めた会場はやばかったな。」
「学年恒例の最後にやった未成年の主張で付属高校に受かった増田くんも」
「あなたのおかげで高校受かりましたー!付き合ってくださーい!」
「ごめんなさーい!」
「増田くんも恋愛をやってたんだってびっくりしたよな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー現在
「まあ、とにかくモテるって事だ。」
確かにそう聴くと空乃はめちゃくちゃモテてる。風弥といい空乃といいなんでこのふたりはビジュアルがいいのやら…。
俺は風弥に疑問を投げた。
「なんで彼氏作らねえんだろう」モグモグ
「んー。例え告白してきた人がかっこよくても付き合う日にちに連れて素が見えるからな。」
「ほう」モグモグ
「その素が自分のイメージしてるものとかけ離れてるものになったら意外と冷めるからな」
「ふーん。」モグモグ
風弥なりの恋愛論が俺の頭に入っていく。正直、すごく怖い。そう言われるとどこか秀佳先輩に嫌われるのではないかと心がやきもきしている。もし、付き合えたとなって、秀佳に嫌われたらどうしよう。やばい、すげぇ怖い…。
そんな少し恋愛に怯えていると風弥がこんなことを言ってきた。
「意外と空乃は、日跡みたいに裏表ないやつが好きだったりして。」
「…!」フグッ
急に何を言ってるんだこの人は!
びっくりしすぎて唐揚げが喉に突っかかてしまった。
「ケホッゴホッ…。」
「まあ、あくまでも俺の考察だけどな。」
「…ングッ 。驚かすなよ!空乃はそんなんじゃないぞ!」
「まあ、本人がいないと物は言いようだからな」
びっくりした…。そんなことないとおもうけどなぁと思いながら麦茶を唐揚げを押し込むように飲み干した。
続けて、風弥は視線を少しずらし遠くの先を指さして口を開いた。
「あ、秀佳先輩だよ。」
「…っ!どこ?」
視線をさされている場所に首を向ける。
そこには秀佳先輩と先輩の友達か部活仲間か3人組が談笑してご飯を食べていた。そこの空間だけ賑やかで輝かしくなっていると思えた。
「それにしても無いよなー。森のやつ」
「そうそう。めちゃわかる!」
「ほんとデリカシーないよねー!」
「あははー。」
秀佳先輩がふふっと笑いながらも、うどんをすすって頬張っている。やっぱり食べる姿も綺麗だ…。そんな秀佳先輩に見蕩れているのがバレたのか、風弥は俺に言ってきた。
「…周りみてみろ。」
「ん?」
秀佳先輩達が座っている所の周りを見ていると同じくして先輩や同級生女子。他にも午後練をするような部活の人たちが一斉に秀佳先輩の方へ視線を送っていた。
「雪見さん、癒されるなぁ。」
「秀歌先輩と付き合ったらどうなるのかなぁ」
「雪見先輩みたいに肌綺麗になりたぃー」
「雪見先輩って優しいよねー!この前とかさー」」
その状況を見させた後に風弥は俺に言葉をかけてきた。
「男女問わずに人気だからな。秀佳先輩。俺もどういう人かは、気になってたけど、やっぱり美人でとてもミステリアスだけど、とても優しくて相当人気だろうな。」
「うぅ…。」
「だから、俺らみたいなあまり目立たない野球部は大人しく下がった方が…。」
確かに風弥と昔の俺ならそう思う。あんなに楽しそうに食べながらもしっかり周りの人達も秀佳先輩との関わりをも楽しんでる。それでも。
「そんな秀佳先輩にいい試合見せるのは俺ら野球部だろ!」
「…。」
風弥はハッと驚いた表情ながらもそんなのお構い無しに俺は風弥に話す。
「秀佳先輩は吹部で俺らの事を応援してくれるありがたい存在だし、秀歌先輩が頑張れっていうものに応えて行かないと!」
風弥はハッとした表情から一気に穏やかな顔になり、納得したのか頭を下げては言ってきた。
「そうだな。俺が悪かった…」
「だから頑張ろうぜお互い昔からバッテリー組んだからよ。」
「…おう、頑張るか。」
少しばかりか風弥は力強く気合を入れたような声をしていた。
俺らは、手を合わせてごちそうさまをした後、真っ直ぐに野球部の部室へ向かっていく。
明日から本格的な野球部の練習のためにも、
今日も練習に励むんだ。
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第3話 面倒なやつ。 ~完~
一気に登場人物が増えてしまった…。覚えて貰えると物語がわかりやすく、もしかしたら関わりが出来るかも知れませんね…。次回も人は登場しますが…。
これからもブルーキャップをよろしくお願いします。