第1話 あれから。
どこか見にくかったり、違和感があるかもしれません。
もし不備があれば指摘して下さるとありがたいです。
恋だと実感したのは中学2年生の頃。ブロック予選で倒れ、肩を負傷して俺は二度とオーバースローで投げれ無くなった。俺はもう野球でピッチャーをやれないと諦めていた。
ーー先輩と出会ってから俺は変わった。
第1話 あれから。
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「よしっ、ナイスピッチング。」
風弥が俺に向かってそう言うとわらわらと先輩たちや同級生が俺に拍手喝采をする。
「す、ずけえ、、、」
「あの、新入生、アンダースローだ。」
「しかも。はやぇぇ…。」
凄く期待されてる…。ここの高校の伝統なのだろう。2、3階窓から覗いて応援してくれてる生徒もいれば、グランド近くにいる運動部も野球部に着目している。それほど、この野球部は力があるのだろう。周りにいる人達に影響力もあたえれるようなピッチャーになるのも良さそうだ。そしたら雪見先輩にも…!
と一思いに耽けていると今度はキャッチャーの風弥にも先輩と同級生に関心を持ち始めた。
「あの捕手、安定してる。」
「肩周りも良さそうだな」
風弥のやつは少し照れてるのだろう。鼻を擦りながら下に目線を向けている。その照れ臭そうな表情でこちらに向かう。
「肩、大丈夫か?」
「平気、平気。少し寒さで筋肉が縮こまってた。」
バッテリー同士のやり取りをしてるつかの間、
休憩を挟んでた女テニがコソコソと話してるのを聞いた。
「あの人、背高くない?」
「よく見るとイケメンだよねー!」
「樋野栄に入って良かったー!」
くそう。全部俺じゃなくて、風弥の事だろう。
プスッと風弥の脇腹に握りこんだ拳を程よい力で擦り付けた。
「…?」
俺は近所で有名な野球強豪校の樋野栄高校に入学。入学して早々、放課後に部活勧誘会に参加し野球部に入部。こうして入部する前に体力テストし、見込みがあるかどうかも確認していた。
「…ッ!」
シュッ
バンッ
「アンダー、大丈夫そうだな。」
「あぁ!何とかなぁ!」
俺はオーバースローからアンダースローにシフトチェンジし投手としてまた野球を始められた。当時の最高124kmだったがシフトチェンジしてからは40kmほど下がって82kmしかない。それでも、野球を続けられることは正直に嬉しかった。
「よし。今からミーティングを始めるぞ!」
この野球部の顧問は入江 雅明先生。
担当教科は英語で俺のクラスの担任でもある。とても面白く明るい先生だ。最初のホームルームでも1番笑いが起きたのはうちのクラスらしい。
そして、入江先生も高校生の頃は野球部でこの学校のOBだ。ポジションはキャッチャーで
風弥に結構絡んでくるみたいだ。
「早速、新入生は先輩に挨拶しようか!右から挨拶してけー。」
適当に並ばされていつの間にか俺が右から1番目になっていた。
…よし、ここは元気よく…。
長岡「初めまして!長岡日跡と言います!志望はピッチャーで、アンダースローを武器に御校の野球部の甲子園進出に貢献します!よろしくお願いします!!」
拍手が部室の中で響き渡る。中には指笛を鳴らして歓迎してくれた先輩もいた。野球部としてしっかり認められてると思うと胸が高まった。
そう自分を鼓舞してる時に風弥も自己紹介をしていた。
「初めまして!白崎風弥です!志望はキャッチャーで、どんな球も受け止められる自信があります!長岡と同じく野球部の甲子園を目指し、この学校の野球部に入りました!よろしくお願いします。」
「三津谷 徹です!志望は、ショート、セカンド。飛んでくる球をしっかりキャッチできる自信があります。また、バッターとしても、安打を出し、盗塁もできます!どんな事でも全力で取り組んでいきます!よろしくお願いします。」
「志田知明です! 志望はレフト、ライト。そして、バッターとして樋野栄の主砲を目指して参ります!よろしくお願いします。」
「岸島 裕哉です!志望は投手で、最高145km!もっと球速を上げていきたいと思ってます!よろしくお願いします!」
一人一人が懸命に樋野栄野球部に精を込めて自己紹介をしている。同じ仲間でもありライバルにもなる。ここで俺はこのチームピッチャーとして頑張っていくんだ…!
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…………。
入江「以上!樋野栄野球部総勢57名。みんな、甲子園目指して頑張るぞ!」
その先生の一言で部室内は掛け声と気合い入れが入っている。すごい。この熱意なら甲子園も行けそうだ
「早速、野球部全員でグランドの整備、部室の掃除を始める。」
そう仕切りをあげたのは3年の部長の元橋輝人先輩。
ポジションはセンター。
打者としても優秀で4割の安打も出せる。
その優秀さでプロチームの人達にも度々スカウトが来るらしい。
去年の甲子園では元橋先輩のおかげで甲子園に出場しトップ16に入ったと入江先生から聞いた。
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「…ふぅ。」
入学早々の疲れからかのため息をつくと低い声で声をかけられた。
「おーい、そこの1年。これ体育館に持ってくれるの手伝ってくれるか?」
話しかけられたのは1つ上の館山翼先輩。
この高校の巷では、時期樋野栄高校の守護神と呼ばれている。ストレートは150kmでスライダーとツーシームも投げれる。
「はい!大丈夫です!」
樋野栄高校の守護神って呼ばれることは正直羨ましい。
「そいえば、見込み見させて貰ったぜ。」
「ありがとうございます。」
こんなすごい人にも見られてたと思うと少し照れくさくなる…。しかし、身長たけえ…。ご飯を何合食べたらこんなに体格が大きくなるんだ? ポカーンと口を開けてると館山先輩は続けて言う
「確かに良いフォームはしているが、まだまだだな。」
「え?」
「特に足回りだ。膝の上げた時の投げる時の体感が少しズレている。投げる時によくぶれてるのはそれが原因だ。」
「…なるほど。」
「まあ、中学野球止まりだ。うちに入って体力と基礎力を上げていくぞ。」
「はいっ!」
良かった!いい先輩だ!こんなに面倒見のいい先輩は中学以来だ…。館山先輩に歓喜していると館山先輩はニヤッと笑っている。
「じゃあ、基礎体力をつけるためには…」
館山先輩は抱えてるベースを俺に手を渡してきた。
「……って、なんで持ってるベースを重ねるんですか!?」
「基礎体力の向上だ。気張ってけ。じゃあ、俺、先に戻ってるわ」
「…ぐぬぬ。」
前言撤回!悪い先輩だ…。
「よう!翼!運び終えたか?」
この人は神耀生先輩。
部活内のムードメーカーでチームがピンチになった時には誰よりも大きな声援を送る。
ポジションは捕手。館山先輩とバッテリーを組んでて館山先輩の豪速球を受け止められている唯一の1人だ。
「耀生。お前はサボってないで手伝えよっ」
「っでぇ!?肩パンやめろよぉ」
「ほらほら基礎体力つけろや」
「へいへい。わかってら。」
そう言って2人は部室の方へと戻っていった。
それにしてもこのホームべース重すぎる…。
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「…なぁ、あの1年に何吹き込んだんだ?」
「別に、なんも言ってねぇよ」
「珍しいよな。先輩にも頼らずに一人でやってきたお前が、あの1年の面倒を見るとは」
「なんつーか、あの1年を見てると何だか放っておけねぇんだよなぁ。すげぇ、キラキラしてて、生き生きとしてやがる。」
「確かに、あいつ結構動いてるし、元気で呑気な奴なんだろうなぁ」
「それによ」
「おぉ?なんだなんだ?」
「鍛えがいのある1年だ!ビシバシ鍛えさせるぞ」(ほら肩パンとか、ランニングとか筋トレとか…。)
「そ、そうか…。」(俺の感動返せよォ)
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先輩に言われたとおりに基礎体力として受け入れ、倉庫の中へホームベースを運んでいく…。
腕がしんどい…。腰痛ぇ…。
そんな身体をボロボロにしながらも俺は部室に
向かっていく。
「……ふふっ。元気そうで良かった。」
まだ肌寒い風で木々同士がぶつかり合う音。
その音の中に微かな女性の声が聞こえたような気がした。
第1話 あれから。 ~完~
思った以上に反応がありとても驚きました^^;
これからもブルーキャップをよろしくお願いします
m(_ _)m