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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第一章 序章
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4話 アルベール家の秘密、絡み合う糸

*評価・リアクション(絵文字)・感想・イチオシレビュー全て受付けしております。


どれでも反応いただけると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします。


王都の一角にそびえ立つ、アルベール家の屋敷。その重厚な扉を前に、アリアは静かに深呼吸をした。今日の出張占いは、この屋敷の主、マーガレット夫人からの依頼だった。


屋敷の中は、外観に劣らず豪華な装飾で彩られていた。磨き上げられた大理石の床、精緻な彫刻が施された壁、そして、至る所に飾られた高価な美術品。それらは、アルベール家の財力と権力を静かに物語っていた。


出迎えたのは、アルベール家の執事、セバスチャン。彼は、完璧な身のこなしと丁寧な言葉遣いで、アリアを応接室へと案内した。


応接室で待っていたのは、マーガレット夫人だった。彼女は、優雅な物腰の中に、どこか拭い去れない憂いを帯びた表情を浮かべていた。絹のように滑らかなドレスを身にまとい、宝石を散りばめた髪飾りをつけた彼女は、まさに貴婦人という言葉がふさわしかった。


「ようこそ、アリア様。今日は、私の未来を見ていただきたくて。」


マーガレットは、穏やかな口調でそう言った。その声は、優雅でありながらも、どこか寂しげだった。アリアは、彼女の手を取り、目を閉じた。


マーガレットの生年月日を心の中で思い浮かべると、彼女の命占の内容が、色のついた光となってアリアの目に飛び込んできた。それは、複雑に絡み合い、絶えず形を変える光の奔流だった。


アリアは、その光を読み解きながら、マーガレットの魂に意識を集中させた。すると、彼女の過去と未来が、映像のように流れ込んできた。


(アルベール家は、代々王宮に仕える名家だった。しかし、その歴史の裏には、複雑な人間関係と、秘められた過去があった。マーガレットは、その過去に深く関わっており、彼女の未来は、アルベール家の運命と深く結びついていた。

アルベール家の歴史は、王宮の歴史と密接に絡み合っていた。アルベール家は、王家の側近として、代々重要な役割を担ってきた。しかし、その一方で、王家の秘密を知りすぎたがゆえに、危険な立場に置かれることもあった。

マーガレットは、アルベール家の過去に深く関わっていた。彼女の夫、先代当主のヴィクトルは、王宮で起きたある事件に関与し、その真相を隠蔽するために、命を落とした。マーガレットは、夫の死の真相を知るために、そして、アルベール家を守るために、必死に生きてきた。)


アリアが目を開けると、そこには先ほどまで見ていた光景が、より鮮明な光の像となって視えていた。それは、マーガレットの未来に現れる、希望と絶望が入り混じった光だった。光は、まるで万華鏡のように、絶えず形を変え、色を変えていた。


「夫人、あなたの未来には、光と闇が入り混じっています。それは、アルベール家の過去と深く関わっているようです。」


アリアは、慎重に言葉を選びながら、そう伝えた。マーガレットは、驚いた表情を浮かべた。


「過去…ですか?それは、一体…。」


マーガレットが問いかけようとした時、応接室の扉が開いた。そこに立っていたのは、アルベール家の長男、ルシウスだった。


「母上、お客様ですか?失礼ですが、私は…。」


ルシウスは、アリアを一瞥し、警戒心を露わにした。彼の目は、鋭く、まるで獲物を狙う獣のようだった。


「ルシウス、この方はアリア様。私の未来を見ていただいているの。」


マーガレットは、息子を宥めるようにそう言った。しかし、ルシウスの警戒心は解けることはなかった。


「未来…ですか。そのようなもの、信じるに値しません。」


ルシウスは、冷たい口調でそう言い放ち、応接室を後にした。彼の背中には、強い意志と、決して揺るがない信念が感じられた。


「申し訳ありません、アリア様。あの子は、少しばかり疑り深いところがありまして。」


マーガレットは、申し訳なさそうにそう言った。アリアは、首を横に振った。


「いえ、お気になさらず。それよりも、夫人の未来について、もう少し詳しくお話させてください。」


アリアは、アルベール家の過去と、マーガレットの未来について、さらに詳しく語り始めた。


マーガレットの未来は、アルベール家の過去と深く結びついていた。アルベール家の過去には、王宮の秘密、そして、古代の怨念が隠されていた。マーガレットは、それらの秘密を知りすぎたがゆえに、危険な立場に置かれていた。


アリアは、マーガレットの未来を救うために、アルベール家の過去を解き明かすことを決意した。




4話:終わり



〈登場人物〉


* アリア:

* 本作の主人公。スピリチュアル能力と命占を組み合わせた独自の占術を使う占い師。

* アルベール家の依頼を通して、王宮の秘密と自身の過去に関わる謎に近づいていく。

* 他者の心情を深く読み取り、真摯に向き合う優しさを持つ。


* マーガレット夫人:

* アルベール家の当主夫人。優雅だが憂いを帯びた表情を見せる。

* 夫の死の真相とアルベール家を守るために奔走している。

* アリアの占いに希望を見出し、自身の未来を託す。


* ルシウス:

* アルベール家の長男。警戒心が強く、アリアの占いを信じない。

* 家の秘密を守ろうとする強い意志を持つ。

* 母であるマーガレットをとても大事にしている。


* セバスチャン:

* アルベール家の執事。丁寧な言葉遣いと完璧な身のこなしで、アリアを応接室へ案内する。

* アルベール家に忠実に仕えている。


____________________



※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。


作中に出てくる文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。


あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。




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