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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第四章 王宮編 Ⅱ
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48話 繋がる想い - 三つの千里鏡

王都に穏やかな時間が流れる中、ユリウスも元気を取り戻した頃、エレノアはアリアを魔術師団長室へ招いた。


部屋の中央には、不思議な輝きを放つ三つの鏡が置かれていた。

一つは背丈ほどもある大きな姿見、一つは卓上にも置けそうな中型の鏡、そしてもう一つは手のひらに収まるほど小さな手鏡だった。傍らには、冷静沈着な雰囲気の男性がいた。


「アリア様、ご紹介します。こちらは魔術師団副団長の、カイル・アルベールです」


エレノアはにこやかに紹介した。


「カイル・アルベールと申します。そして、ルシウス様とユリウス様の従兄弟にあたります。この度は、従兄弟であるユリウスを本来の姿に戻していただき、心より感謝申し上げます」


カイルは静かに頷き、アリアに丁寧に挨拶をした。


「カイル副団長と共に、アリア様のために特別な魔道具を開発したのです!」


エレノアは誇らしげに言った。


「名付けて『千里鏡(せんりきょう)』です!」


カイルが説明を引き継いだ。


「これは、遠く離れた場所にいる者同士が、まるで目の前にいるかのように会話できる魔道具です。アリア様がお持ちになる小型の手鏡、そして王都の露店に設置する中型の鏡、そして私の団長室にある大型の鏡が、特殊な魔力波で繋がります」


エレノアが補足する。


「映像と音声がほぼ同時に伝送されます。これで、アリア様が遠い地にいても、王都の皆と顔を見ながら話すことができますし、占い処も続けられるでしょう?」


カイルは続ける。


「ある程度の距離までは問題なく通信できますが、強力な魔力干渉がある場所など、一部繋がりにくい場所もあるかもしれません。通信には微量の魔力が必要ですが、そちらの手鏡はアリア様の魔力で、王都側の中型と大型の鏡は我々が供給しますのでご安心ください。簡単な静止画や文字のやり取りも可能です」


エレノアは開発の経緯を語った。


「アリア様が再び世界を巡る旅に出ると聞いて、とても心配だったのです。せめて安否確認だけでもできるようにと、カイル副団長に協力を頼み、昼夜研究を重ねてきました。彼の論理的な思考と魔導工学の知識、そして私の魔法理論が合わさって、ようやく試作品が完成したのです」


カイルは、アリアに小型の手鏡を手渡しながら言った。


「使い方は簡単です。魔力を込めて意識を集中させることで、王都側の鏡と繋がります。何か困ったことがあれば、遠慮なく連絡してください」


アリアは、二人の温かい心遣いに胸が熱くなった。


「エレノア様、カイル副団長、本当にありがとうございます!こんなに素晴らしい魔道具を作ってくださるとは…」


アリアは、目の前に差し出された小さな鏡を、両手で大切に受け取った。

エレノアの温かい心配と、カイルの冷静ながらも優しい心遣いが、彼女の胸に深く染み渡る。


「エレノア様……カイル副団長……!本当に、ありがとうございます!こんなに素晴らしい魔道具を、私のために作ってくださるなんて……」


彼女の瞳は、温かい涙で潤んでいた。

この不思議な鏡は、ただの道具ではない。

それは、遠く離れていても、大切な人たちとの繋がりを保つことができる、希望の象徴だった。

アリアは、その小さな鏡を、宝物のように、しっかりと握りしめた。


数日後、アリアは、エレノアとカイルと共に、王都の一角にある自身の占い処にいた。

カイルが手際よく中型の鏡を店の一番見やすい場所に設置していく。

鏡面は磨き上げられ、周囲の景色を美しく映し出していた。


「これで、準備は完了です」


カイルは、最後に魔石を鏡の背面に慎重に取り付けながら言った。


「アリア様がこの手鏡をお持ちであれば、いつでも王都と繋がることができます」


エレノアは、満足そうに頷いた。


「これで、アリア様が遠くへ行っても、私たちはいつも繋がっていられますね。寂しくなったら、いつでも顔を見せてください」


アリアは、設置されたばかりの不思議な鏡を見つめ、温かい気持ちで微笑んだ。


「はい、ありがとうございます。この千里鏡があれば、どこにいても皆さんと繋がっていられる。本当に心強いです」


彼女は、手のひらの上の小さな鏡をそっと撫でた。

それは、ミストラル村で温かく迎え入れてくれた人々や、王都で共に困難を乗り越えてきた大切な仲間たち、そして占い処に訪れてくれる、かけがえのないお客様たちとの絆を繋ぐ、かけがえのない宝物になるだろう。

アリアは、この小さな鏡を、感謝の気持ちと共に大切にしようと心に誓った。


アリアの心は、感謝と、そして未来への希望で満ち溢れていた。




ーーー49話へつづく

〈登場人物〉


* アリア: エレノアとカイルから遠隔通信魔道具「千里鏡」を受け取る。

* エレノア: 魔術師団長。アリアの安否を案じ、千里鏡を開発する。

* カイル・アルベール: 魔術師団副団長。魔導工学の知識で千里鏡の開発に協力する。ユリウスとルシウスの従兄弟。

* ユリウス: 怨念から解放され、回復している(間接的に登場)。


✦✦✦✦✦


※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。


✦✦✦✦✦✦✦✦


✪読んでくださり、ありがとうございます。

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