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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第一章 序章
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8話 王都の祭りと予期せぬ出会い


*評価・リアクション・感想・イチオシレビュー全て受付けしております。


どれでも反応いただけると、とても嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします。


____________________

王都セントラルは、年に一度の盛大な祭りを迎え、普段の静けさが嘘のように活気に満ち溢れていた。

色とりどりの旗や提灯が街を飾り、人々は思い思いの衣装を身にまとい、祭りの賑わいを楽しんでいた。


アリアもまた、祭りの雰囲気に誘われ、占い師の仕事を休んで街へと繰り出した。

屋台からは美味しそうな匂いが漂い、大道芸人たちのパフォーマンスが人々を魅了する。

アリアは、綿菓子を片手に、祭りの喧騒の中に身を委ねた。


(まるで、別の世界のようだわ……)


アリアは、異世界の文化に触れ、心が躍るのを感じていた。

祭りの中心にある広場では、伝統的な踊りが披露されていた。

優雅な音楽に合わせて舞う踊り子たちの姿は、まるで絵画のように美しかった。

踊りを見ているうちに、アリアはふと、幼い頃に見た祭りの光景を思い出した。

それは、まだアリアが占い師となる前の、穏やかな日々。


(あの頃は、ただ祭りが楽しくて……)


アリアは、過去の記憶に浸りながら、祭りの賑わいの中に溶け込んでいった。その時、アリアは人混みの中で、見覚えのある人物を見つけた。


それは、幼い頃に別れた親友のセシリアだった。

セシリアは、アリアと同じ村で育ち、いつも一緒に遊んでいた。

しかし、アリアが王都へ行くことになり、二人は別々の道を歩むことになった。


(セシリア……?)


アリアは、驚きと懐かしさで胸がいっぱいになった。セシリアは、以前と変わらない優しい笑顔を浮かべていた。


「アリア!まさか、こんなところで会えるなんて!」


セシリアは、アリアを見つけると、駆け寄ってきて抱きしめた。


「セシリア……!本当に、あなたなの?」


アリアは、思わず涙ぐんでしまった。


「ええ、私よ。アリアこそ、どうしてこんなところに?」


セシリアは、アリアの姿を見て不思議そうに尋ねた。


「少し、訳があって……」


アリアは、自分の身に起きたことを簡単に説明した。セシリアは、驚きながらも、アリアの話に耳を傾けた。


「そんな……アリアが、そんなことになっていたなんて……」


セシリアは、アリアの過去を知り、悲しそうな表情を浮かべた。


「でも、アリアならきっと、乗り越えられるわ。あなたは、私が知っている中で、一番強い人だから。」


セシリアの言葉に、アリアは勇気づけられた。


「ありがとう、セシリア。あなたに会えて、本当によかった。」


アリアは、セシリアに感謝の気持ちを伝えた。


「ところで、セシリアは今、何をしているの?」


アリアが尋ねると、セシリアは少し困ったような表情を浮かべた。


「私は、王宮に仕えているの。でも、あまり詳しくは話せないの。ごめんなさい。」


セシリアの言葉に、アリアは何かを感じた。


「王宮……?もしかして、セシリアは私の過去について何か知っているの?」


アリアが尋ねると、セシリアは戸惑ったように目を逸らした。


「それは……」


セシリアは、何かを言いかけたが、言葉を濁した。


「セシリア、お願い。私に教えて。私は、自分の過去を知りたいの。」


アリアは、必死な思いでセシリアに訴えた。セシリアは、しばらく考え込んだ後、覚悟を決めたように口を開いた。


「分かったわ。でも、ここじゃ話せない。後で、私の部屋に来て。」


セシリアは、そう言って、アリアに部屋の場所を教えた。アリアは、セシリアの言葉に希望を見出し、彼女の部屋へと向かうことを決意した。


祭りの喧騒の中、アリアはセシリアとの再会を喜びつつも、彼女が語るであろう過去の事実に、心の準備をしていた。


(セシリアは、一体何を教えてくれるのだろう……?)


アリアは、胸の高鳴りを抑えながら、セシリアの部屋へと向かった。


セシリアの部屋は、王宮の一角にある小さな一室だった。質素ながらも清潔に整えられた部屋には、セシリアの人柄が表れているようだった。


「どうぞ、入って。」


セシリアは、アリアを部屋に招き入れ、紅茶を淹れてくれた。


「ありがとう、セシリア。」


アリアは、紅茶を受け取り、セシリアと向かい合って座った。


「それで、セシリア。私の過去について、何か知っているの?」


アリアは、単刀直入に尋ねた。セシリアは、少し躊躇した後、ゆっくりと口を開いた。


「実は……アリアの村、ミストラル村が滅んだ事件について、王宮で調べていたことがあるの。」


セシリアの言葉に、アリアは息を呑んだ。


「調べていた……?なぜ?」


「王宮の書庫で、ミストラル村に関する古い記録を見つけたの。そこには、村が古代魔法の実験場だったことが記されていたわ。」


セシリアは、アリアに衝撃的な事実を告げた。


「古代魔法……?そんな、まさか……」


アリアは、信じられない気持ちで首を振った。


「私も、最初は信じられなかった。でも、記録には確かにそう書かれていた。そして、その実験には、王宮が深く関わっていたことも……」


セシリアの言葉に、アリアは愕然とした。


「王宮が……?なぜ、そんなことを……?」


「それは、私も分からない。でも、王宮は、古代魔法の力を独占し、利用しようとしていたのかもしれないわ。」


セシリアは、推測を述べた。


「そして、アリアの家族も、その実験に関わっていた可能性があるの。」


セシリアの言葉に、アリアは言葉を失った。


「私の……家族が……?」


「ええ。記録には、アリアの家族の名前も記されていたわ。古代魔法の研究者だったみたい。」


セシリアの言葉は、アリアにとって衝撃的なものだった。


「そんな……私は、何も知らなかった……」


アリアは、自分の過去が、こんなにも複雑で、闇に満ちたものだったことを知り、打ちのめされた。


「アリア……」


セシリアは、アリアの肩に手を添え、優しく語りかけた。


「あなたは、何も悪くない。過去のことは、もう終わったこと。あなたは、あなたの道を生きればいいの。」


セシリアの言葉に、アリアは顔を上げた。


「私の……道……?」


「ええ。あなたは、占い師として、多くの人を救ってきた。これからも、あなたの力で、人々を幸せにしてあげて。」


セシリアの言葉に、アリアは少しずつ元気を取り戻していった。


「ありがとう、セシリア。あなたに会えて、本当によかった。」


アリアは、セシリアに感謝の気持ちを伝えた。


「私もよ、アリア。あなたが元気になってくれて、本当によかった。」


セシリアは、笑顔で答えた。


「でも、セシリア。私は、過去の真実を知りたい。私の家族が、なぜ古代魔法の研究に関わっていたのか。そして、なぜ王宮は、それを隠蔽しているのか。」


アリアは、決意を新たにした。


「アリア……」


セシリアは、アリアの強い意志を感じ、何も言えなかった。


「セシリア、お願い。私に協力して。あなたの力が必要なの。」


アリアは、セシリアに協力を求めた。セシリアは、しばらく考え込んだ後、ゆっくりと頷いた。


「分かったわ。私も、アリアの力になりたい。でも、王宮は危険な場所よ。十分に注意して。」


セシリアの言葉に、アリアは力強く頷いた。


「ありがとう、セシリア。あなたと一緒に、真実を突き止めるわ。」


アリアは、セシリアと手を握り合い、固い絆で結ばれたことを確認した。


その夜、アリアはセシリアの部屋を後にし、自分の部屋へと戻った。部屋に戻ると、アリアはセシリアから聞いた話を整理した。


(私の家族は、古代魔法の研究者だった……?そして、王宮が、それを隠蔽している……?)


アリアは、信じられない気持ちで、セシリアから聞いた話を反芻した。


「私は、必ず真実を突き止める。そして、私の家族の無念を晴らす。」


アリアは、そう心に誓い、夜空を見上げた。

星々が、アリアの決意を祝福するように、優しく輝いていた。




8話:終わり


〈登場人物〉


* アリア:

* 異世界に転生した元宮廷占い師。

* 祭りで幼馴染のセシリアと再会し、自身の過去に関する衝撃的な事実を知る。

* 過去の真実を突き止めようと、セシリアと協力することを決意する。


* セシリア:

* アリアの幼馴染。

* 現在は王宮に仕えている。

* アリアの過去に関する情報を持っている。

* アリアに協力し、真実を突き止めることを約束する。


____________________


※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。


作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。


あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。


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