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食事を楽しんだ後部屋に案内してもらおうと思いエリーゼに声をかけようとすると
「ラルクさん!実はですね家にはお風呂がありまして、良かったら入りませんか?」
「お風呂!ぜひ入らせてくれ!!!」
反射的に返事をした、ラルクとして村にいたときは水浴びしかしていなかった。元日本人として入浴できるのはとてもありがたい。 あまりの返事の勢いにエリーゼは驚きの表情をしていた。
「は、はい、こっちです」
エリーゼ連れられてお風呂にやってきた。シャワーはないが立派な浴槽が目に映る。横には石鹸も置いてあった。
「使い方わかりますか?」
「うん、大丈夫だよありがとうゆっくり堪能させてもらうよ」
「それじゃごゆっくり」
服を脱ぎ浴室に入る。蒸気が体にめぐる心地いい。桶で浴槽から湯を掬い頭から被る。ふう、と息をつく。気持ちいい、石鹸を手に取り頭を流す。あまり泡立ちは良くなく、香りもほとんどしないがそれでも汚れが落ちていくのを実感する。そして体を洗おうとしたとき浴室のドアが開いた。驚いて振り向くとそこにはエリーゼが立っていた。
「エ、エリーゼ!ど、どうしたの」
「ラルクさん、お背中お流ししますね」
そのままエリーゼは浴室に入ってきた、顔を真っ赤にし、タオル1枚を巻いただけの姿で。
エリーゼに背中を流してもらい入浴する、お湯加減はいかがですか?とエリーゼ。
「ああ、最高だよ」
「それは良かったです、ではわたしはこれで失礼します。」
それから20分ほど入浴を楽しんだ。浴室からでると、入る前に着ていた服はなく新たに小奇麗な麻の服とズボンが用意されていた。お母さんが買ってきてくれたんです、とエリーゼは言う。
「私はこのままお風呂入るので部屋はお母さんに聞いてくださいね、それでは」
勢いよく扉を閉めるエリーゼ。着替えて今にいるエリーゼのお母さんに声をかけた。
「新しい服を有難うございました」
「いいのよぉ、サイズは、ちょうどいいみたいね、娘を助けてもラったのだもの、これくらいしてあげなとね、それと部屋は2階に上がって左に曲がった突き当りよ」
お風呂に入ってさっぱりしたら急に眠気が襲ってきたので部屋で休むことにした。ふかふかのベットに体をうずめる。目を瞑ると一瞬で眠りに落ちた。