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《 腐泥に棲む者 》
陽の当たらない桜の木の陰、
腐った泥の中で、
毒を喰らい 毒を吐く者達を見た。
嬉々として毒を撒き散らしている。
澄水なら その醜悪な姿を、
己で確かめる事も出来るだろう。
けれど 泥は何も映さない。
人間という生き物 特有の、
妬み 侮蔑 あらゆる醜い感情に、
埋もれ 沈んでいる者達。
花が散る 闇桜の木の陰で、
憐れな者同士が 腐り続けている。
醜悪な心だけが一人歩きし始めた、
人の形をした化け物達。
永遠に其処にいるが良い。
人を愛する事を忘れた者達の、
墓場のような腐泥の中に。