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《 蛇の姉妹のお話 》



姉と私は、本当は蛇なのです。




姉は、白い体で青い目の蛇。

私は、黒い体で赤い目の蛇。




遠くに過ぎ去った日々の、ある夜の事。




姉と私が布団に入って 大人になったら何になりたいか?…という話をしながら、なるべく両親の言い争う声が聞こえないようにしていたけれど、いつものように母のヒステリックな声と 父の苛立った低い声が 延々と聞こえてきて、私達姉妹もいつものように 声を押し殺して泣いていたのです。




そして そのまま疲れて眠ってしまい、朝 目覚めたら蛇になっていました。




蛇の姿として見えるのは 姉と私お互いだけのようで、父も母も私達を見て何も言いません。




両親が言い争うばかりになってしまった出来事に…


この理不尽な世の中に…


自分が得をする為なら

平気で他人を蹴落とす人間の 醜い悪意に…




姉と私は、何処にもぶつけようのない悲しみと怒りで、蛇に姿が変わってしまったのです。




姉は、悲しみに凍りついた白蛇。

私は、燃え盛る怒りを放つ黒蛇。




やがて 年月が過ぎ、

両親が言い争う事も無くなり、

貧しくても 家族揃っての生活を維持して、

でも、姉も私も 蛇のままの姿をしています。




姉は 元々の悲しみを忘れて、

今でも 理由の解らない悲しみに囚われています。

そして、

私も 元々の怒りを忘れて、

今でも 理由の解らない怒りに囚われているのです。




笑顔でいながら、心は闇の中。




多分このまま 命尽きるまで。


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