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異種族パーティー、登り詰める  作者: 最上 五月雨
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作戦会議

 城に戻った俺たちは、今回の接敵と今後の行動について話し合っていた。

 俺はテトラの造形魔法によって造られた円卓の一番豪華な玉座に座り、六淑女(ゼクスドミナ)のみんなも円卓を囲んで座っている。俺だけ玉座に座っているのはなんだか申し訳ない気がするが、モノに座るよう厳命されたんだよな。


「まず何より、みんな、よく耐えてくれたな。俺の指示に従ってくれてありがとう」


「ご主人が退がれと言うなら退がる。当然のことだ」


 ソーンがそう言うと、それに同意するようにみんなが頷く。

 一番情に厚い彼女が仲間を侮辱されても耐てくれたのは少し意外だった。それほど俺の指示を重視してくれているのかと思うと少し嬉しくなると同時に、発言への責任感が重く伸し掛かってくる。


「これからの俺たちの行動についてだが……誰か意見はあるか?」


「あるぞ! 奴らが言っていたフィオナ王国とやらに攻め込むのはどうじゃ! わしなら匂いの痕跡を辿るのも容易いのじゃ!」


 フェムが一歩前進して答える。


「でも、城を守るのも、必要」


 それに対抗してテトラが言う。自分が造った城なだけあって守り寄りの考え方だ。


「あんな雑魚共相手に守る必要があるかの? わしらが出向いて殲滅すれば良い話じゃろう」


「あの人たち、今回はただの偵察みたいだった。侮るのは危険。」


 どっちの言い分にも理があるように思える。確かに先ほどの偵察兵程度の戦力なら余裕で相手できるが、相手の最高戦力がどれほどのものかはまだ分からないからな。


「相変わらず慎重じゃのう……」


「フェムは考えが浅すぎ」


「なんじゃとぉ⁉︎」


「はいはい、二人ともそこまで! レクス様の前ですよ!」


 二人が喧嘩し始める前にすかさずモノが仲裁に入る。二人とも一応は引き下がるが不満気だ。


「王国に攻め込むよりも、周囲の探索の方が大事ではなくって?」


 そんな二人をよそにトレスが言う。なるほど、いい案だな。俺たちはまだ誰も周辺地理を知らないわけだし、その情報は早く入手したいところだ。


「そうだな……どれも今の俺たちには必要だ。3つのチームに分けて同時に行おう。俺は王国に攻め入る……というより偵察に行くよ。フェムもそれでいいか?」


 流石にいきなり攻め入るというのは血の気が多すぎる。王国の人みんなが異種族差別を肯定しているとは限らないしな。

 

「ふむ……まぁ、あるじ殿がそう言うならいいじゃろう」


「なら私もご一緒します! フェムは時々手が付けられなくなりますからね……」


 転身によってさまざまな役割をこなせるモノが一緒なのは心強い。あとは残りの割り振りだが……


「私は、城に残る。防御は任せて」


「あ、じゃあボクも残りますぅ。一人じゃ寂しいですもんねぇ」


 テトラに続いてシスも城の守りに回るようだ。まだそれほど大きな組織がこの城を攻めに来ることもないだろうし、ひとまずはこの二人がいれば対処できるだろう。


「分かった。なら残りの二人は探索を頼めるか?」


「ええ、もちろんです。ソーンもいいですね?」


「それで構わないよ、トレス。知性のある生物と遭遇した際はどうすれば良い?」


「俺に【伝達(メッセージ)】を飛ばしてくれ。もしも俺から返事が無かったら、その時はソーンの判断に任せるよ」


 【伝達(メッセージ)】は俺と六淑女六淑女(ゼクスドミナ)の全員が使える第六等級魔法だ。指定の相手と遠距離にいながら会話ができるが、それなりに魔力を使うので不用意な使用は出来ない。


「分かった。出来るだけ友好関係を築けるよう行動するよ」


 ソーンは竜人とはいえ、基本的に仲間に危害を加えられない限りは他種族に対して友好的だし、もし異種族に出会っても上手く対処するだろう。トレスもそこまで攻撃的な性格じゃない。


「よし、頼んだぞ。これで全員、今後の行動は決まったな。あと決めるべきことは……」


「私たちは何者で、何をしたいのかを明確にしておく必要があると思います!」


 少し悩んでモノが言う。確かに、その二点は決めておかないと何かと不便だろう。今後の活動方針を共有しておくのも大事なことだしな。


「そうだな……俺たちは今後『ゼノユニオン』と名乗る。目的はひとまず『迫害されている異種族の解放』だ」


 ゼノユニオン――意味は「異種族連合」。みんなが異なる種族で構成されている俺たちにぴったりだ。

 目的については正直まだあやふやな部分が大きい。実際に異種族が迫害を受けているのかは王国を見てみないことには分からないからな。だが、もしも本当にそんなことが起きているなら……フィオナ王国と友好的に接することは出来ない。

 今の俺にとって一番大事なのはこの世界の人間じゃない、仲間たちだ。そんな仲間たちが「異種族だから」という理由で差別されるなんて許せない。彼女たちにとって住みよい世界をつくるんだ。

 

「何よりも仲間の安全を第一に、必要に応じて俺に伝達(メッセージ)を送ってくれ。あと、出来るだけ出会った相手には友好的にな。」


「……フェムに言ってるんですよぉ?」


「やかましいわい、シス!おぬしもすぐに誰かを捕食しようとしとるじゃろうが」


「ボクだって食べる相手くらい選びますよぉ」


 シスの蟷螂に由来する捕食癖は困りものだが、流石に誰彼構わず齧ったりはしないだろう……と信じたい。


「テトラ、留守番中のシスの監視役頼むな」


「任せて、マスター。ちゃんと監視、しとく」


「ご主人様までひどいですよぉ、ボクそんなに食いしん坊じゃないですからねぇ?」


 ……ちょっと不安になってきた。ほんとに頼んだぞ、テトラ。


「探索は君がペアでよかったよ、トレス」


「あら素直ですわね、ソーン。(わたくし)も貴方が一緒だと助かりますわ……もしもの時に熱くなり過ぎないでくださればもっと助かりますけど」


「うっ……善処するよ」


 ソーンとトレスのペアはなかなか安定してそうだ。やや血の気の多いソーンもトレスが上手く制御してくれるだろう。もしもトレスの魔眼が暴走したときは……いや、変なこと考えるのは止そう。


「ではこれからみんなとは別行動ですね。ちょっとだけ寂しいです……」


「俺たちは王国の内情を少し視たらまた戻ってくるし、離れるのは数日だけだよ。フェムと俺も一緒だしな」


 モノは少しみんなと離れるのが寂しいらしい。六淑女(ゼクスドミナ)のリーダーなだけあって、モノのみんなへの愛は相当なものだ。王国の偵察が終わったらすぐに城に戻れるようにしよう。


「俺たち『ゼノユニオン』の最初の行動だ、気張っていこう。各チーム、行動開始!」


 六人の元気な返事が綺麗に響いた。

 留守番 テトラ、シス

 王国偵察 レクス、フェム、モノ

 周辺探索 トレス、ソーン


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