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異種族パーティー、登り詰める  作者: 最上 五月雨
1/6

転移と邂逅

「これでやっと……完成だ!」

 

 薄暗い部屋の中でパソコンに向き合いながら、俺は呟いた。


「主人公と、その配下となるNPCを作り続けて一ヶ月……ようやく纏まったな」


 プレイしているゲームの名は「クリエイト・オリジン・レギオンズ」、通称「COL」だ。一ヶ月前に発売されたばかりのオフラインゲームで、主人公はもちろん、その仲間までも自由にキャラメイク出来る点が注目されている。

 とは言え大抵の人は想像以上に細か過ぎるキャラメイクに嫌気が差し、途中で投げ出してしまうらしいが……


「うんうん、せっかく種族まで決められるんだから、仲間はやっぱり異種族にしたいよな。天使に、狼女に……」


 俺はそのキャラメイクに一ヶ月を掛けた。種族や各種能力の設定、外見に性格……それら全ての要素を設定仕上げた……我ながらよくやったなぁ。

 それだけじゃない。俺はこの1か月、寝る間も惜しんでこのゲームについて研究した。ネット上の攻略情報をかき集め、この1か月の遅れを取り戻すんだ!

 キャラメイクの自由度を売りにしているオフラインゲームなだけあって、キャラ性能も細かく設定出来る。やろうと思えば最初から最強のステータスを設定することだって出来る。

 もちろん、仲間を強く設定する程に、出現敵も強くなっていく。このシステムによってゲームバランスは保たれるわけだ。


「選ぶのはもちろん最高難易度だな。主人公たちがこんなに強いなら、敵も相応じゃなきゃやりごたえが無いだろうし」


 俺は主人公たちを限界ギリギリまで強く設定していた。これで普通の難易度にしてしまったら無双出来てしまうほどだ。


「主人公の設定も完了、配下も全員設定したし……うん、大丈夫だな……始めるか!」


 そう言ってコントローラーのボタンを押したその瞬間――


「……え?」


 突如としてパソコンの明かりは消え、辺りが暗くなる。同時に急激に落下している感覚に襲われる……!


「おいおいおい、何が起きてるんだーーーっ‼︎」


 落ち着け、さっきまでは確かに部屋のパソコンの前に座ってたはずだ。どうしてこんなことになってる?と言うかどこに向かって落ちてるんだ?そもそもこのゲームにこんな機能は無いはずだろ……!

 絶叫しながらそんなことを考えている内に、俺は気を失っていた……



「……ス様! レクス様!」


 聞き慣れない女性の声で、俺は目を覚ます。

 周りは暗い部屋から一変、明るい日差しと緑の平原が広がっている。ここは一体……?


「やっと目覚められたんですね! ずっと気を失ったままだったから心配したんですよ!」


 透き通るようなその声の主は……


「嘘だろ……!?」


 俺がこの一ヶ月で創り上げた六人の配下達のうち一人、熾天使(セラフ)の少女である「モノ」だった。腰のあたりまである銀髪に透き通るような碧眼。白と青を基調とした洋服に身を包む、全体的に清楚な雰囲気の、いかにも天使といった少女だ。


「どうされたんですか? もしかして落下の衝撃で他にもお怪我を!? 大変です、すぐに手当しないと……!」


 あり得ない状況に困惑する俺をよそに、モノは俺の心配をしてくれている。


「……えと、今の状況を説明出来るか?」


 モノは設定上、六人の配下たちの長だ。しっかり者の彼女なら少しでも今の状況を説明してくれるんじゃないか? という期待を込めて質問してみた。


「はい! 先日、レクス様が生誕される時間と場所をトレスが予言したので、私がお迎えに参りました!」


 生誕、予言、そして配下の一人である「トレス」の名前。疑問はいくつもあるが、何よりもさっきから気になっているのは……


「レクス様って、俺のことか?」


 そう言って俺は自分の容姿を改めて確認し、衝撃を受ける。黒のロングコートに、複数の黒蛇が螺旋状に巻き付く大きな杖。確かに俺の姿は、俺が設定したこのゲームの主人公「レクス-ニル-ミデン」と同じだったのだ。


「何を当然のことを言っているんですか? まさか、ほんとに頭を強く打ってしまったんじゃ⁉︎」


 モノにとって俺がレクスであるのは当然のことであるらしい。手を口に当てて可愛らしく驚いている。

 見知らぬ世界に、明らかに意思を持って話すゲーム上のキャラクター、それに主人公そっくりの俺の姿……ここまでくれば、普段からそのジャンルのアニメをよく見る俺ならなんとなく察しがつく。


「俺、異世界転生したのか……?」

初投稿です。

遅筆ながら頑張りますのでよろしくお願いします!


レクス

主人公。種族は普通の人間。


モノ

セラフの少女。快活でしっかりもの。

NPCたちの長であり、個性の強い彼女らをまとめる苦労人。


「面白い!」「続きを読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

筆者のモチベーションに繋がりますので更新が早くなるかもしれません!

ぜひよろしくお願いします!

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